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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第64話【佐藤和子さん達のしてきた事】

 そして、つぶやく様に、まるで、この街、札幌、そして北海道の大地に語りかけるようにカズちゃんはいうんだ。


 「北海道、楽しかったなあ、ダンジョンも、特にお前が来てから最高だったぜ」


 と僕の肩をポンポン叩いて、下の方ではシリカさんが僕のジャージのポケットに何かを突っ込もうとしている。あ、『草太郎』だ、ダメだよ、強引に入れると潰れてしまうよ、ヨモギと餡子が絶妙なんだよなあ、最近、洋物よりも和菓子系ににハマってるシリカさんのお気に入りだった筈。


 「お別れですので」


 って呟いてる。小さい肩を震わせて、僕の頭ひとつ下にある、その顔はどこか寂しそうだった。


 シリカさんがさ、こう言った行為をして来るってのは本気なんだろうなあ、って思うからさ、それでも、僕としては彼女達と戦う理由なんてなくて、あっち側の人達って言ってもさ、僕だけでなく、ダンジョンウォーカーも、いやそれ以外の北海道の人達だって、カズちゃんなんて、全く関係ない修学旅行の生徒の怪我とかも見てたから、それが敵だっていうのなら、恩しか感じていない人に敵対するのはできな行くて、まして、ここ北海道をどうにかしてしまう訳じゃなくて、今、この世界に出現しようとしている世界を押し戻すってだけなら、こっちとしても都合が良いわけで、でも、


 「不可能ですが可能です」


 嫌な事。いや訳のわからない事を言うんだよアキシオンさんは。


 「わかってる、こっちの、アキシオンさんの力を使えば可能って事でしょ?」


 僕はなるべく聞かれない様に口の中で呟く様に言った。


 けど、カズちゃんの顔がニヤって笑う。


 意識を気取られてるなあ、って理解しつつ、アキシオンさんからの次の答えを待つと、すぐに教えてくれた。


 「剣世の応用です、葉山静流のスキルである剣世界を構築すれば、一定時間のあの異世界の固定は可能でしょう」


 と説明してくれた。


 でも、


 「しかし、押し戻してからの後は責任は持てません」


 「異世界が、異世界の空間に入った後はどうなるのさ?」


 「押し出ようとする力だけで崩壊し用としている異世界です、そこに押し戻そうとした力を加えるなら、その崩壊はもっと早く顕著になって来ます、そして、こちらで固定している間はいいのですが、その後こちらから干渉できない異世界の空間に帰った後、残った慣性の力を受け止め切れず、崩壊すると思われます」


 「じゃあ、ダメじゃん!」


 思わず叫んじゃったよ。だってアキシオンさん、こんな酷い事を淡々と言うからさ、びっくりして口に出してしまった。


 「でもな、私たちだって、死ぬ気で向こうに行く訳じゃないさ」


 とカズちゃん。


 そして、その言葉を繋ぐ様にシンメトリーさんが、


 「私達の力を使えば、命を一部なら救えて、地面を一部残して、一部を借り止めることができるかもしれないだろ?」


 って言うんだよ。


 二人の意見はわかった。でも、


 「シリカさんも一緒なの?」


 って聞いたら、


 「えいえいおー、として私も行くのです」


 って、きっとこの3人の中で、いや三柱か……、一番屈託のない顔してたから、決心は硬いのだと思う。


 そして、カズちゃんは、


 「あっち行ったらもう帰れないからさ、私の彼氏達、彼女達をよろしく頼むぜアッキー」


 って言うんだ。


 これは誰もが知ってる事だけど、カズちゃんには遊んでる彼氏とか彼女が沢山いる。


 ダンジョンが暇な時、ヒーラーが割と集まっているときに、手の空いたカズちゃんはそっとその年の離れた彼氏や彼女達に会いに行く。


 これは土岐にも聞いた話。


 八瀬さんも知っていた。


 何回か会った事あるって、特に親から離されて泣いてる子供に、『大きくなったらダンジョンへ来なよ』って誘うんだって。


 子供にとっては魅力的な話を、楽しそうにするんだってさ、本物のファンタジーな世界がすぐ近くにあって、それを体験しているお姉さんが手振り身振りで説明してくれるんだから、小さな子供にとっては悲しい過去を昔の物にしてくれる冒険譚がそこにあるんだから、そりゃあ夢中になるよね。


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