第61話【保健室のカズちゃんからの告白】
僕はあい変わらずと言うか、いつまでもと言うか、大通4丁目ゲートの前、ほぼほぼ駅前通りの前で、テレビ塔にも迫ろうかと、次第にその姿を見せて来る異世界に対して、ひたすら観察と言うか見守りを続けていた。
いよいよ、と言うか、ようやくと言うか、そこそこ、異世界が半分くらいは出て来た感じかな?
空に、大きな島が半分浮いてる感じ。言い換えると、半分くらいかな? 不自然に空から消えてる感じ。
例えるなら、
「食べかけのエクレアかな?」
いや、だって上が真っ黒で、したの方が明るくて、長細いから。
ってそんな呟きをすると葉山が、
「そういえば最近食べてないね」
とか現実的な呟きを漏らしていた。
多分、これ以上出ると現実世界であるこっち側と異世界であるあっち側での支点的に崩壊が始まってしまうことが予想されるから、そろそろかな? とは思って、ちょっと気持ちを入れ始めているところなんだけど、それに彼にも声をかけないとなあ、と思ってると、4丁目ゲートから珍しい人達が出て来た。
おお?って思って、3人揃うなんて珍しいなあ、って思いつつも、3人の佐藤和子さんである、保健室のカズちゃん、そして今まで散々お世話になったシリカさん、ちょっと変わった人で窮地に陥り安いシンメトリーさんが、慎重な面持ちで、間違いなく僕の方に歩いて来る。
どうしたんだろ?って思ってると、ちょっと二人を後ろに残して、カズちゃんがこっち来る。
「もうそんなに出てしまったんだな」
と空を見て呟き、そして、
「実はな、アッキー、お前に話さないといけないことがあるんだ」
と、僕に対してなのか、それとも今の現状に対してなのか、いつも気さくなカズちゃんにしては真剣な表情でそんな風に話しかけるから、
「どんな話?」
って水を向けてみると、
「実はな、本物の三柱神って、私たちのことなんだよ」
ってちょっと複雑な顔して、カズちゃんが言うんだよ。
それを聞いていた僕としては、まあ、心当たりはある。
そうなんだよね、いくらなんでも僕の妹とか神様っぽくはなくてさ、アモンさんとか、角田さんなんて、性格も態度もその行動もどっちかって言うなら鬼とか悪魔そのものだもんね。無理があるなあ、とは思ってたんだよ。
それにさ、真希さんと共に、きっとこのダンジョンの始まりから、誰にも悟られずに違和感も無く、ずっと存在している訳だし、もしかしたら、北海道ダンジョン研究の第一人者とか言われている佐藤和子博士だって、この3人のうちの誰か、いや、もしかしたら、この3人の作り出した影かもって、そんな風にも、今なら考えられるんだ。
だってどう考えても不自然でしょ?
どうして大人の人達が調査に向かったダンジョンで、誰も入れないのに子供しか入れないってわかるの?
誰も死んだ事がないダンジョンで、どうして安全で、蘇りが可能だったなんて知っていたんだろ?
結局のところ、ダンジョンを造った側でしか知り得ない情報が多すぎて、それを調査により理解したと言うかどう考えても、有用な情報を開示して行ったって考えた方が自然だもの。
「なんだ、大して驚いていないな?」
とシンメトリーさんはちょっとがっかりって顔してそんな風に言うんだよ。
「この情報は、かつての春夏も知らなかった筈だ、私たちは、この北海道ダンジョンとい言うよりも、異世界側の勢力だ、最初から裏切っていたからな」
とか言い出すから、
「え? 敵になっちゃうの?」
って聞いたら、
「ああ、私たちは、お前の言うダンジョン、つまり春夏の思惑では無くて、最初から、あの異世界の為に動いていたんだ、騙して悪かったな」
ってシンメトリーさんはそういった。
「この者たち、命、理、界の三分立、文字通り、このダンジョンを地上でありながら、異世界の法則で動かしている神そのものです、お館様」
と、蒼さんが言った。
「なんだよ、忍者ちゃんがちゃんと調べてたのかよ、そうだ、私たちは3身一体の神であり、ここから異世界を救済するために動いている」
すごいな蒼さん、きっと秋の木葉と僕のファンクラブだったっけ? その辺の情報はきちんと取って、その上でこの結論に達していたんだ。
と推測すると、そんな思考を読んでか、
「いえ、初代様からの情報です」
とちょっと頬が赤い。
あ、ごめんねいらない恥をかかせてしまったね。気にしないでね。蒼さんはいつも良くやってくれてるからね。自分の手柄みたいに言ってしまった事を悔いなくていいんだよ。
なんて感じの事を微笑みで返すと、
「真壁、全体的に蒼ちゃんに甘いよね、私にも優しくしてよ」
とか葉山がプンスカして言い出すから、この話はも止め、お終い、次に進むよ、カズちゃん達、待ってるみたいだからさ。