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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第59話【いたよ、ヘラクレス木下】

 ちなみにアテナはこう見えて、通学の際には必ず、お年寄りには席を譲し、困っている人がいると助ける良い子である。


 何より美穂も、何度もアテナに裏切られて(部活的な意味)も、アテナが困っていると判断すると、こうしてまた一緒にいてくれる良い子である。


 実際の所、勇者の勇であるとこの勇気は、困っている人に手を差し伸べることができる人、と言う意味でも十分機能するのでは無いだろうか。


 それがどの様な些細な事でも勇気に変わりないのだから、つまり彼女達には最初からしっかりとした勇者の資質はあったと言うことになる。


 気持ちはともかく、戦闘力と出立は、すっかり勇者な美保にアテナだった。


 「でもさ、バレーであれだけ頑張ってたのに、レギュラーになれなかった私が勇者してるのって不思議な感じだよ」


 と呟く美保にアテナは、


 「私は、一人じゃ無理だったかなあ、あ、誰でもって事はないよ、美保が一緒に勇者してくれてよかったっとは思ってる、けど、ほら、私って勇者っぽいじゃん名前」


 とか言う。


 「いや、あんたの名前、神様だし、勇者じゃ無いし、それ言うならヘラクレスとかに改名しなよ」


 「やだよ、なんかかっこわる」


 「ええ?、なんで、木下ヘラクレス……強そうじゃん」


 こんな意地悪な言い方をする美保ではあるが、若干、アテナに対しては恨みもある。いつも部活にやグループ、会合などに入りたいが、自分から行く勇気が出せずに、美保を誘う。そして、その美保を残し相談も無しにいつの間にか辞めてしまうタチの悪さであり、救え無い事に反省もしない。だから、こうして勇者にも美保が一緒にいるのではある。


 この程度の嫌味というか意地悪程度で済ましてしまう美穂も、アテナを良く知っていて、最近では振り回される事を楽しんでいる余裕さえ自覚している。


 もとより家も近い幼なじみで、今、こうして付き合えているほぼ本音しか言わない間柄を大切にしたいと思う二人であった。


 そして、仲良く、移動前に装備を点検。


 聖剣配布の後に、『頑張っている勇者様へ』とサイズ記入のメールが送られて来て、瞬く間に返信すると二日後に送り届けられたジャージ型の軽鎧も解れ、壊れも無い事を確認する。


 「じゃあ、いく?」


 そうアテナが言葉を漏らした瞬間に、上空から良い勢いで、巨大な何かが降ってくる。


 それは屈み、着した後、黒光する体を体を起こすと、5〜6mくらいの筋骨隆々の体をさらに開く様に彼女達に見せつけると、その上についている顔、まるで燃える様な赤い髪に一本ツノ、ギロリとした目が、さらに彼女達を睨みつけた。


 そして、牙のはみ出す口が開いて、こう言った。


 「我が生み出す小鬼の霞を瞬く間に倒したのは貴様らか?」


 とか聞かれるので、


 「あ、レッドキャップ倒しました、危ないから」


 と未だにびっくりを引きずっている美保に対して答えるのはアテナである。


 この子、人見知りはするが物怖じしないという、ちょっとわからない性格をしている。つまり良い性格という事だ。


 「ほう、勇者か、なるほど、我の下僕が倒されるのも理解できる」


 と腕組みして感心した様にいう。


 そして、その巨大な鬼は言う。


 「我名は、『木下』、お前達の言う異世界である所のベスト100に入る強者ぞ」


 そう自己紹介すると、


 アテナの顔は、本当に嫌そうな、「うへ〜」と言った顔をしているのに対して、


 「本当にいたね、ヘラクレス木下」


 もちろん、現れた巨大な魔物は木下と名乗るが、ヘラクレスとは言ってない。タイミングだったのでヘラクレスを冠してしまう。あくまで彼女達のイメージである。


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