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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第53話【よくある新婚バ〇カップル】

 世間一般にはよくある光景。


 それは新婚夫婦が生活する住まい、玄関での一シーン。


 玄関で靴を履き、この場合、グリーブであるが、まあ似た様なものなので、ともかく外出しようとする夫。


 そして、そんな旦那に妻は駆け寄り、自分で準備した鎧に汚れや解れなどないかチェックしつつ甲斐甲斐しく世話を焼く。


 送り出す言葉は夫の後ろ髪をそっと引っ張り、


 「いかなくては行けないの?」


 夫は言う。


 「ああ、本当ならもっと早く行くべきだろ?」


 それに対して、不満を表情に宿らせて、尚且つ夫に対しても決して反対の意思を持っていないと思われるくらいには不満の表情を出す妻は、


 「私を一人にしてしまうの?」


 と、この別れを惜しむ様な、そして、心の底から悲しむ為にだろうか、瞳が潤んでいる。


 そんな妻の目を見て、夫は、


 「なあ」


 と一言、告げてから、一つため息。


 そして、


 「これ毎回やらないとダメなのか?」


 と別れを惜しむ妻に向けて尋ねると、


 「ああ、そうだ、私はお前の『嫁』なのだからな、嫁となったからには惜しむ、それがどの様な離別であってもだ、1分1秒だろうと惜しむ、夫婦とはそう言うものなのだ、だから対面キッチンのこの物件を選んだ、ずっとお前の顔を見る為だ、トイレのドアも外してしまいたいほどだ」


 とかなかなかおかしな事を言い出すのは、かつては北海道ダンジョンの三柱神の一柱のアモンであり、三柱神は結婚後引退を表明している。寿退社して行くOLの様に今は専業主婦をしている。


 そのアモンのそんな言葉を聞いて半ば呆れているのはかつて愚王として北海道ダンジョンを暴れ回った前住 宝である。


 そして、彼らは現在、中島公園近くで、北海道ダンジョン条例とも呼ばれる特別法によって、若年結婚をして、新婚生活を送っている。


 ちなみに生活費は、かつてアモンが積み立てていた貯金から出していて、概ね宝が望のであれば、多分、一生食っていける程度の蓄えはある。


 もちろん、そんな事実は宝としては知らないし、宝を一生育てて行こうとしていたアモンもそれを話していない。と言うか生活においては宝は、出会って時からアモンに投げっぱなしであり、そのことについては信用しているのでお任せになっている。


 それと言うのも、そもそもアモンが宝を確保したのが、宝が5歳の頃の話で、その時にはすでにん百歳のアモンとしては、母の様に彼を引き取って、育て始めた経緯がある。


 かつて宝は、この北海道ダンジョンの数多い入り口付近位住む家族の子供であった。


 しかし、その両親は、親としての資質は低く、自分たちの生活のリズムを重要視する為に、宝は放置子の様になり、そして、やがて捨てられてしまう。


 でも、だからと行って宝は不幸ではなかった。


 なぜならその生活圏にダンジョンがあったから。


 一般に、北海道ダンジョンは、年齢制限があるとされているが、事実上限はあるのであるが、実は下限はなかったのだ。


 年齢において、低い方の設定はあくまでギルドが発表している事である、それはすなわち、ダンジョンの中で人知れず活躍する、ダンジョンウォーカーを含む、モンスターやダンジョンそのものを管理運営する『運営側』の意思でもあった。


 目的としては、幼児期〜小学生程度では、は少なくともこちら側、つまり北海道を含む現実世界の方の常識やら理性などをしっかり学んでから、ダンジョンに入って来て欲しいと言う意思でもあった。


 しかし、それでも、宝を例に、たまにダンジョンに入って来る子供はいて、浅階層あたりを『冒険』と称して入り込んでくる子供は少なくない。


 もちろん、そんな時は、ダンジョン運営は優しく脅かしてお引き取り願っているのではあるが、宝の場合はそうはいかなかった。


 彼は完全にダンジョンに適応してしまい、僅か4歳程度で各階層のジョージを知恵と勇気とずる賢さで看破。


 深階層まで好き勝手に歩き回るダンジョンウォーカー童子となってしまっていた。


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