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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第49話【囚われのお姫様が捕らえている悪い竜だった物語】

 きっと自分以外の一族のものがこの地で暮らしていけるかどうか、周りを見て考えているのだろう?


 もちろん、札幌だけで北海道を判断してもらいたくは無い麻生は、日高とか様似とか、ケンタウロスな中村氏の一族にも暮らしやすいところはたくさんある事を教えてあげたかった。と言うより実際にその目でみてもらいたかった。


 だから、


 「なあ、中村氏……」


 そう言いかけた時、上空から、何かが降って来る。例えるなら可愛らしい隕石。


 「麻生!!!!」


 一体、どれほどの高さから降って来ているのか、いきなり現れた工藤 真希その人が大通公園の大地を陥没させて着地するそれは、麻生を巻き込みその前に立つ。


 「麻生! てこずってるべか??」


 と心配そうに言う。


 「あっちは、ババア(今日花)にまかせて来たべ、邪魔扱いするから一人にしてきってやったべ」


 そう、工藤真希は楽しそうに言って、ニコニコした顔で麻生を見るも、周りの花壇やら生け込みなんかはもう完全に崩壊している。


 ちなみに、札幌の隣町である北広島市から、わずか一歩でやって来ているのである。そしてその大きい一歩の衝撃の緩和は大通り公園に依存しているので、もうすでに壊滅状態になってしまっている。


 大きく大地を歪ませて、周りを巻き込んでいるので当然、中村も倒れている。結構なダメージをくらっている様でよろよろと立ち上がる中村。


 そんな姿を見て、


 「あ、なんだべ、あいつらか、ちょっと待ってろ麻生、ちょっと捻ってやるべ、しつこいんだよなあ、あの馬人、あっちじゃ警察機構みたいなもんだからな、権力を傘に来て威張ってるべ」


 とか言い出す。


 そして、その真希を後ろから抱きしめる麻生。


 真希は驚く。トキメキ。え?何このシュチュエーションとか思う。


 「麻生……」


 そして麻生は叫んだ。


 「中村氏! 逃げろ!」


 中村は、立ち上がり、麻生を、真希を体を張って止める麻生を見て驚く。


 「な、なんの真似だ!」


 麻生は言う、おそらくは日高町の方向を指差して言う。


 「ここは俺に任せろ! 日高町に行け! 肥沃でいい土地だ、何より中村氏の様な人にはあっている、そこに俺の実家がある、きっとお前たちの様なものを受け入れてくれる、だから、今は行け!」


 「しかし……」


 「いいから行け! こんなのに潰されても、なんにもならないぞ、それより、お前が中心になって一族を守って行かなくてどうする!」


 そして、麻生に後ろから拘束される真希は驚くばかりで、


 「なんだ? これ、なんなんだべ?」


 とか言うが、


 「すまん、この礼はいずれする、使命から逃れる私を軽蔑してくれ、やはり一族が大切だ」


 と中村氏はそのまま、概ね日高地方の方に駆けて行ってしまう。


 「逃げるべ、逃げちゃうべさ!」


 と切に訴えかける真希に麻生は、


 「いいんだ、それで、真壁氏との協定で、道庁、並びに政府からも、戦う意思の無い魔物は受け入れると言う指示がでている、君も賛成したろ?」


 すると真希は、


 「麻生がやられてると思ったんだべ、焦って来たべ、駆けつけたべ、それに私、お前にとってお姫様だべさ!」


 と言う、珍しく涙目になってる真希に麻生は言った。


 「お姫様は、北広島市から大通公園まで『一歩』で来なーい!」


 麻生の一言で、ショックを受ける真希である。


 その口から出た言葉は、


 「ハシタなかったべか?」


 「ハシタないな、姫どころか女の子としてもあるまじき行為だ、工藤」


 もちろん、こんな事は工藤真希意外は普通にできないことではある。


 そんな麻生の言葉にシュンとして、


 「そっか、ごめんよ」


 としょんぼりする真希であった。


 御転婆の度合いを超えて、世界を滅しかねない竜が同居するお姫様は、聖騎士に連れられて、ギルド本部に帰って行く。


 なお、工藤真希の着地の際に歪んだ大通り公園と一部崩壊したテレビ塔の基礎につての修理費はギルドに請求されることになる。


 囚われのお姫様から、これで一応の決着は着くのだからと、一瞬でも目を離してしまった事を、無責任だったとその後、自分を責める様になるのであるが、そんな麻生に対して、「気にするな!」って言うのもまた、原因となっているお姫様であった。


 そして、麻生は、その後も直実に悪い竜から囚われのお姫様を救い出す努力と心労を続けて行くことになるのは責任感の強い麻生にとって言うまでも無い話だった。

 


 

 

 

 

 


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