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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第25話【黒の集刃の生存戦略】

 たったダンジョン入場数日で、鮫島が手も足も出すことができなかった黒の猟団を全滅させ、さらに、黒の猟団を遥かに上回る戦力を持った、この北海道ダンジョンの代名詞とも言える、ギルドすら敵に回して戦い、あの、凶竜工藤真希が駆けつける瞬間まで、戦力的には圧倒していたと伝え聞いている。


 何より、チケットが手に入らなくて、見にはいけなかったが、中階層で行われたダンジョン最強の一角である葉山静流すら退ける程の力を持った、その本人に初めてあったときは正直拍子抜けするくらいの脱力を覚えてしまう鮫島であった。


 小さい、細い。


 それが一番最初の印象だった。


 さすがに、噂に尾鰭背鰭も、盛りすぎだろうと、彼、真壁秋を見てまずはそう思った。


 勝手な想像かもしれないが、鮫島にとって、真壁秋の話の内容から想像するに、体格的には、少なく見積もってあの怒羅欣の北藤あたりの上位互換だと思っていたから、その辺にいる中学生な姿を見て、本当に驚いて、安心した。


 そして安心して、その安堵に包まれていた気持ちは簡単に裏切られて終わってしまう。


 それはあの、地球蛇の事件。


 鮫島は、地球蛇の代表者に仲間を人質にとられて、真壁秋を地球蛇が罠を張って待ち構える回廊に誘い込む。


 そこには、地球蛇に最大の戦力が、多くの兵隊が待ち構えている。


 しかも、この時点では地球蛇は、真壁秋本人が持つ闇の軍団(秋の木葉)との分断にも成功していた。


 流石の真壁秋も、これでお終いだろうと、そして自分を信じて罠に入って行く彼を見て鮫島も心を痛めた。


 しかし、実際、そこへ導た結果。


 罠を打ち破ると言うより、真壁秋の行っていたのは、罠を含む敵対する者への徹底的な破壊であった。


 罠を突破とかではない。


 そこにある敵を余すことなく残すことなく、見落としなく、まるで掃除でもしているかの様に排除を開始する。


 この時、鮫島は、そんな彼のすぐ横にいた。


 だから、目の当たりにして見ていた。


 たった一人で、気持ちも感情も昂ることもなく、淡々と、待ち構えている地球蛇を倒して行く。


 その数は千とも二千とも、狂った様に襲いかかる地球蛇の信者達を次々と倒して行く。


 鮫島は思う。


 常に深階層にいて、化物だとか、規格違いだとか言う戦力を見たことがある。


 葉山静流や、D &DやD &Wのトップなどもそうだ。


 しかし、しかしだ。


 この男、真壁秋、秋のアニキは違う。


 今までの自分の小ささを知り、まわりの一握りの深階層組がトップだと思っていた、さらにその上を行っていた。


 こいつは、まさに工藤真希すら倒してしまうくらいの力を持っているのではないかと、そこまで思った。


 何より強者特有の覇気とか、漲る様な気力などどこにもない。


 いつもは脇に剣を挟んで、うろうろしている適当な少年。


 初めてあった時の真壁秋が、そのまままに規格外の力を振っている。


 鮫島にとって地球蛇は厄介な相手であった。


 その蛇の名の通り、執念深くていやらしく、そして相当の戦力を保持していて、どこにでも潜伏して、他者を利用してこの深階層を根城にして、その影響力を、特に最近では隠すこともしなくなっていた。


 しかし、しかしだ。


 そんな得体の知れない相手を、躊躇することなく敵に回して、いざ戦争状態になると、振り返ることなく殲滅を開始する。


 もはや、この真壁秋たった一人が、巨大な組織、地球蛇を蹂躙し、いたぶり、いじめている様にしか見えなくなっている鮫島であった。


 あれだけ怖かった地球蛇ですら、真壁秋を、秋のアニキを前にすると可哀想とすら思えた。


 その時鮫島は思った。と言うか意思を硬くした。


 もう、生き残って行く為には配下に加えてもらうしかないと。


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