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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第24話【黒の集刃、国道12号線(江別市)を堅守せよ】

 閑散とした街の光景。


 いつもなら、激しく車両が往来する、札幌まで繋がる国道12号線も、厳戒態勢を引かれ、どこにも車など走っている姿が見えない。


 昼夜問わず、何もない、どこまでもガランとした国道12号線の光景は、異常でありそしてどこか寂しくもあった。


 この地に生まれて育っている、黒き集刃の首領である鮫島 修平にとっては珍しく、そして、どこか寂しいい光景に見えるその様が、いつもとは違う時を迎えている事を否が応でも自覚する。


 そして、そのただ広くなってしまった国道の上ではこぢんまりとした戦闘が、繰り返し行われている。


 現在の地点は、江別市の真ん中付近、大きな郵便局の前の道路で待機している黒き集刃の総勢1200名ほどである。


 この人数は鮫島にとって予想外の数字であった。


 元々、黒き集刃の人数は多い。しかし、その人数の全てを鮫島は把握してはいない。


 常に自分の周りにいる50名程度に毛の生えたくらいの数だろう、とは思っていた。


 しかし、秋のアニキに、「江別市を中心に断続的な戦闘が始まるから頼むね、そんなに強い敵はいないと思うから」と、戦力としてこちらに振られて、自分の周りの人間に声をかけたら、これだけの人数になっていたのに、正直、驚いたりもしていた。


 かつて、多月蒼引きいいる謎の闇の集団に組織自体を乗っ取られて、しかも悪の手先の様な真似までさせられて、事もあろうに、北海道で魔王を名乗る秋のアニキに敵対しようとしていたなんて、今、思い出すだけでも、ゾッとする過去でもあった。


 とは言うものの、乗っ取られても、当時黒の猟団として活動していたのは、多月蒼の関係者であり、その時は黒き集刃の人間はほとんど、そこに参加する事なく、組織を離れていたのだから、団体として復帰した時もギルドに目をつけられることもなく、何より、秋のアニキに敵対した行動だって、そもそも、あの蛇女サーヤに騙されていたわけだし、その事については、秋のアニキも特に何を言っては来ないので、和解は成立しているので、今は平和な黒き集刃の鮫島であった。


 最近、数だけ、とか、勢いだけとか、何よりも最近できたクロスクロスにも混同されがちな黒き集刃であるが、一応、行為見えて、その歴史は古く、何よりもれっきとした深階層を根城にできる実力を持った団体でもあり、事実それなりに評価はされているのではあるが、鮫島の人の良さと言うか、ちょっと抜けたところと言うか、そんな部分を利用されて来た過去はある。


 何より、そんなところを脱出できたのは、皮肉にも真壁秋の存在に他ならなかった。


 黒き集刃を蝕んでいた問題組織は、みな彼によって解体されて、平和な黒き集刃が戻って来たのである。


 もちろん、問題は自分達に力がなかったせいであることは重々承知している。


 しかし、多月蒼率いるかつての黒の猟団、そして、深階層深部を根城にしていた、モンスターすら配下に置いていた、地球蛇は、あのギルドすら手を出そうとしなかった、異常な程の戦力を保持した団体で、深階層とはいえ、一ダンジョンウォーカーが手を出せる様なものではなかった。


 言ってみれば、クラスで一番強い奴が、プロのヤクザの事務所に喧嘩を売りに行く様なものである。


 もちろん、こう言う方面に空気を読めると言うか賢い鮫島が手を出せる訳もなく、戦力的撤退と言うか、大人しく引っ込んでいた彼等である。


 一度は、場所を変えて違う団体を立ち上げようかとも思っていたのだが、ギルドの方針で、団体の代表者が他の同時に他の団体を作ることは事実上できなくて、途方にくれていながらも、もう、ダンジョンやめてしまおうかな、なんて思っていた矢先、あの秋のアニキであった。


 深階層の鮫島にも、ヤベー奴が来るって噂は届いていた。


 いわゆる浅階層の悪鬼。


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