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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第20話【いざ、尋常に勝負!】

 僕と九首さんは、変な感じで見つめあってるけど、ようやく、その大樹な銀杏の木から出て来て対峙してる格好になる。


 「用があるなら言いなさいよ!」


 って葉山が言うんだけどね、まあ、ここは黙って、って手で彼女の口を制した。


 葉山にしてみれば、あの時、バルカを取りに行った際に出て来た、卑怯者な訳で、ちょっといらっとしているけど、僕には一つの推測があったんだ。


 それは、ここに蒼さんがいない事。


 正確に言うなら、秋の木葉の人達、だから、多紫町関係者が一人もいない事。


 いないって言うのは言い方が違うってたかな、いる、でも姿を表してない。


 つまり、ここは九首さんが一人で僕に対して行わないといけないこと、言わないといけないこと、しないとならないことっていう現状なんだね。


 逃げるも、進むも全部見ているって感じかな。


 だから、ここに九首さんが一人でいる事に意味があるって感じていた。


 まあ、異世界も未だ札幌上空から、動く気配を見せないし、ここは時間もある事だから、待ってみようって思うってると、


 「俺は、お前と戦いを挑み、勇気を示さないといけないことになった」


 ボソって言うんだよね。


 「か、家族が、禁止事項を侵した、それは俺の為だ」


 ああ、そう言えば、以前、僕、多紫町で、この九首家の人達と戦った事あったっけ。


 九首さんのお姉さんが、小学校の先生してた気がした、そしてお祭りバトルロワイヤルの時に、ご家族ぐるみで戦ったっな、確か。


 「だって、そう言うお祭りだったじゃん」


 って思わず言う僕に、


 「いや、ダメだ、俺はお前に禍根を残している、その最中にどんな事があろうと、その直系血族が手を出してはダメなんだ、俺たちにそんなつもりはなくても、周りがそう判断する」


 まあ、詳しく聞くつもりもないけど、九首さんの家が非常にまずい事になっちゃうって事でいいのかな? 僕と戦わないと。


 「頼む、狂王、俺と本気で戦ってくれ」


 「いいよ」


 僕の二つ返事に、びっくりした顔してる九首さん。


 いやあ、だって、そうしないとあの小学校のお姉さんや、人の良さそうな両親やら、おじいちゃんにおばあちゃんまでひどい事になるんならさ、止めないと、協力するよ。


 戦うなんて特に難しいことでもないし、って思って、


 「いいよ、どっからでもかかっておいでよ」


 って言ったら、


 「おお!」


 って暗い顔してた九首さんも開き直ったかの様に明るい顔して、


 「俺は、九首丹、九首家の次期党首にして、多紫町の北北東を守護する血族」


 って言う。口上って言うのかな? 黙っって聞く。


 「北海道魔王、真壁秋、いざ尋常に勝負!」


 そう言って飛びかかって来る。


 今日は剣だけで来るみたいだ。魔法は使わないんだね、って言うか、これって多月の剣技だから多紫の技に動きだね、基本に立ち返ったって事なんだろうか?


 僕は防戦するんだ。カンカンと、時計で言うなら、4時と、11時以外の方向からくる斬撃を受けてる。


 ああ、これって、多紫町の小学生とかが振るう斬撃の軌道だね。


 単純で、単調な攻撃。


 でも、なんだろう、雑さが無い。


 振るうその顔も、どこかスッキリしてる。


 「俺、結構、自信あったんだ」


 って言う九首さん。


 「多紫の町では一時期、『神童』なんて言われてる時期もあったんだぜ」


 あ、真上から来た、綺麗な刃の輝きが残像になって残る。早さも申し分ない。


 「しかも、魔法のスキルもあるって言われてよ、だから、もう、町の奴らとは組まないで、自分だけでこのダンジョンに挑もうって思って、色々やってみた」


 悔やみなのか、それとも単純な思い出話なのか、僕は九首さんの剣を受けながら聞いてた。


 「でもさ、深階層に入ってからはびっくりだったよ」


 九首さんの声が上ずる、とても興奮しているみたいだ。


 「あいつら人間じゃねえよ、斬れないし、動きは追えないし、攻撃を躱せないし、受けることもできなかった」


 いや、そうでもないかな、九首さん、自分を卑下してるけど、この実力なら、深階層常連でもいいかも、でも、トップクラスになら手を余すかもね、って思った。


 辰野さんとか一心さん、この前の真々地さんやら北藤さんは、確かに他のダンジョンウォーカーとは一線を画してるからね。


 一度離れて、今度はその身に体重と移動の速度と力を乗せて、横なぎに払って来る。


 ちょっと浅いかな? いや、でも連撃を考えると速度を殺さなくて丁度いいかも。


 「だから、今度は魔法スキルを伸ばしてやろうと思ったんだ」


 と言ってから、


 「でも、そこにも化物みたいな姉妹がいた、俺程度の腕前なら歯牙にも掛けないってツラしてたぜ」


 ああ、此花姉妹の事かな……。


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