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第116話【ダークファクト ダンジョンに魅せられた人々】

なにがなんでもラミアさんを守るって、僕のそんな決意をよそに、その忍者な人は、乾いた笑いを見せる。


 「理由か? そうだな、お前らモンスターを守ってるからな、|ダークファクト《ダンジョンから影響を受けた異常行動者》な奴って事で討伐はOKだよな? 『世界を混ぜよう』としてるって判断できるかなら」


 って言われる。


 僕は角田さんに、


「|ダークファクト《ダンジョンから影響を受けた異常行動者》って何?」


 って口早に尋ねてみた。


 「簡単に言うと、ダンジョンに取り込まれた人の事です、そう言う奴らは、北海道の為とか、人の為、社会の為ではなくて、この北海道ダンジョンを主体に考え行動しますから、例のクソ野郎とかもそんな人間の一人ですよ」


 嘘、僕もクソ野郎さんみたいな感じに見えるって事? うう、嫌だなあ……。


 そっか、じゃあ、僕らもラミアさんを守ってる以上はそう見らても仕方ないって事なんだね。


 まあ、そうなるのか、ダンジョン入って日が浅いけどそうなるのかあ。


 違うけど、誤解されてもしょうがないって事だね。


 モンスターは倒す物、決して相容れない物だものね、ダンジョンの常識ではね。


 「じゃあ、何があってもこの僕らと、ラミアさんを討伐するって言うの?」


 すると忍者さんは言った。


 「ついでに、それもある」


 って言うから、


 「じゃあ、他に目的があるって事?」


 そしたら、忍者さんは声を出して笑った。


 「まあな、強いて言えば、俺たちは、この平和なダンジョンにはウンザリしてるんだよ」


 って言った。


 いや、ダンジョン平和じゃないでしょ? 概ねモンスターは襲って来るし、トラップあるし、普通に危険だよね。何を言ってるんだこの人?


 思わず、疑問が頭の中で拡散するように広がる僕に、彼は言うんだ。


 「お前は何の為に、ダンジョンに入ってるんだ?」


 「そりゃあ、楽しいから? 楽しむ為かな?」


 この答えに思考は必要ない。みんなも、他のダンジョンウォーカーも同じだって思う。


 「だよな、俺たちもそうだ」


 ほら、忍者さんも同意してくれた。


 ただ、ちょっと違うってのか、その時、その忍者さん、変化があったんだ。


 本当に楽しそうにさ、その忍び装束のお陰で、目、くらいしかこっちで見えてないけど、ニヤリって笑うのがわかるんだ。


 僕はその時、確信してた。


 僕と、この忍者さん、同じ事を考えてるって、楽しいとか、面白いとか、その根っこの部分は一緒なんだけどさ、そこにたどり着く為に、大きく地上に広げた、木が枝が葉、幹がまるで違うってわかるんだ。


 「考えてみろよ、ここは誰も死なないんだ、どんなに小さくぶち殺しても、刻んて潰しても、簡単に蘇ってこれるダンジョンなんだ、俺も死なない、お前も死なない、楽しいだろ? こんなの、俺の『町』にも無かったことだぜ?」


 って言う。本当に楽しそうに言った。


 「俺たちは思いっきりやれればそれで良いんだよ、何が正しくて何が間違ってるかなんて関係ねーんだ」


 そして、次にやっとその言葉が来た。


 「驚いたか、小僧! 俺たちはこのダンジョンが、混乱して混沌として、つねに争いあってればそれでいいんだよ、全体がコロシアムになってる、激しく斬り合っても、どんなに派手にぶった切っても、即死しても次の日には学校にいけるんだぜ、ご機嫌だろ?」


 ああ、ここで、『驚いたか……』のくだりが来るわけね。会話がつながってホットしてる僕がいる。


 忍者さんも言いたいことが言えたんで、どこかすっきりした顔をしていた。


 そっか、この人、『死なないダンジョン』だから、殺しても構わないって思考らしい。 


 だから、文字通り、思いっ切り、戦いができるのが楽しくて仕方ないらしい。  


 僕としては、死んでも生き返るって言われてもさ、死ぬより死なない方が良いって考えてたから、これは乗れない意見だね。


 袂を分かつ意識が、互いに伝わったんだと思う。

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