第11話【兄弟での話し合い】
その茉薙は、僕の顔をジッと見て、
「どうなんだよ?」
って聞いて来るから、
「何が?」
って問いを問いで返すと、
「そんなの決まってるだろ、異世界とか、アレとか色々だよ」
まあ、異世界の方はわかるよ、今もこうして対応してるしさ、アレってなんだよアレって?
でも、まあ、もちろん総括して、
「大丈夫だよ」
って答えると、
「そうかよ」
って言う顔は、僕が茉薙の方を見てないのを確認している上で、茉薙は、穴の開くくらいの勢いでジッと僕を見ている。
で、こっちが茉薙を見ると、サッと視線を外す様に顔を背ける。
なんなんだよ?
「で、でさ、話の続きなんだけど」
あ、続いてたんだ、話。
「俺とお前の顔って似てるじゃん」
とか言い出す。
似てるってレベルじゃないけどな、同じ顔に作られてっていいって良いレベルで、一説には茉薙の方が僕よりも若干、カッコよく、意味不明な補正がかかってるって言われてるんだよね。同じ顔だけど、雪華と生活しているから賢そうな顔してるよね、とかギルドの人にはよく言われているよ、つまり相対する僕は……ってことらしいんだよ。まあいいけどね。
それでも、そんな顔も、今は若干離れつつあるんだよね。
同じ顔してても、どこか似てないってか、別人になりつつあるんだ。もちろん、それは制作主である雪華さんも、茉薙自身も、僕も認識している事実だよ。
これって、最初は茉薙が成長しているせいもあるからって思ってたけど、母さんに言わせると、「お互い様でしょ」って言ってるから、僕の顔もまた成長している所為もあるんだなあって、自分の事ながら今更思っている。
で、その茉薙の用事ってのは、
「お前に、雪華は渡さないから」
??????
そう言う顔をする僕にもう一回、
「だから、お前に雪華は渡さないからな」
って、あ、茉薙、本気だって、顔して僕に言って来るんだよ。
いや、もらう気ないし。
「100人の中に雪華は入れないからな」
って言い出す茉薙だけど、いやいや、そもそも100人ってのは、総理が、ってか、ただのノリというか、口で言ってただけだからね。報道はされてるみたいだけど、僕にそのつもりなんて最初からないから、つまり焼肉食い放題のお店入っても、中では一人前しかいただくつもりもないし、この情報、デマだって事にしてもらいたい気持ちでいっぱいな僕だよ、だからちょっとそんな事を言われて、ムッとする僕に茉薙は何を勘違いしたのか、
「そんな顔してもやらないからな、絶対に阻止するからな」
って本気も本気な顔して言われるから、僕もちょっと大人気なかったけど、まだ小学生くらいの相手に、最近、高校生になった僕も大人気なかった顔だけど、
「いや、いらないし、雪華さん、そんな気持ちこれっぽっちもないよ」
って言い切ってやったら、
「嘘つくなよ、知ってるんだぞ、雪華なんてお前のブロマイド、毎回買ってるからな、いい加減にしろよ、って言ってるのに、毎回買ってるからな」
「そんなの知らないよ、僕が売ってる訳じゃないし、渡してる訳でもないからな!」
「本当か? みんな、『お兄ちゃんに取られないようにしなよ』って言ってるぞ、そもそもお前、俺の兄じゃねーし」
って本当に小憎たらしい顔して言うから、なんかちょっと寂しくなって、
「そっか、顔同じだし、ちょっと歳の離れた弟ができたみたいで、楽しかったんだけどな」
って言ったら、
「え? そうなの」
とか茉薙が言うんだよね。びっくりしたみたいな顔してさ、意外な事を言われたって顔して言うんだ。
僕は、雪華さんが僕の顔を真似て茉薙を作ったののは理由があると思ってるし、それに、僕と茉薙って、一度は命をかけて戦った訳じゃん、でも今はノーサイドで、しかも雪華さんの教育の所為ってわけでもないだろうに、何回も助けられてるし、みんなの話だと完全に姉(葉山静流)離れできて、ギルドで、雪華さんを助けて頑張ってるなんて、いい奴じゃん、茉薙って思ってた。
だから僕と同じ顔、で違う心だから全く違う表情を作るこの子が、真壁秋弟って言われても、特に文句も言ったこともなかった。正体不明の今は元神様の妹もいるし、まあ、別にいいか、って思ってたよ。
「わかった、残念だけど、茉薙は僕とは関係ない子って事でこれから考えるよ」
って、その辺もいつもプリプリしてた原因なのかもって、思って、だから修正しようって考えると、
「いや、いいよ、俺、お前がそう思ってるならいいや、仕方ない、じゃあ弟でもいいや」
とか言い出す。
なんなんだよ、お前は……。
そして、
「いつの日か大人になったら、雪華の家は出て自活しないとって考えてたから、そしたら、俺、お前の家に行くからな」
いや、それ自活とか言わないだろ?