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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第7話【怒羅欣、服すら着なくなる】

 随分、久しぶりに会った感じだったけど、ギルドに行くたびに見かけてはいて、イネスさんから声を掛けてくれてたんだよね。


 怒羅欣筆頭者、北藤臣さんの妹さんで、以前、僕が負けて迷惑掛けた人。


 直接迷惑かけたのは、僕じゃないけど、でも、僕に勝ってしまった事で、北海道ダンジョン最強者になってしまって、その後、数々の挑戦者に夜討ち朝駆けされてしまって、中には求婚して来る変な輩もいたらしい。酷い目にあってしまったかわいそうな女の子。


 もちろん見た目でもわかるけど、お兄さんである臣さんとは血は繋がってない、正真正銘のフランス人。北藤さんのお母さんが再婚したお父さんの連れ子なんだって。


 ちなみに、北海道ダンジョンではフランス人との遭遇率はモンスターよりも低いから、それもあってか、一部ではエルフとか言われてるらしいんだよ。


 確かい見た目がね、本当に僕らが想像してるエルフそのものだもんね、綺麗だし、スラッとしてるし。


 もちろん、弓も魔法も使わないんだけど、基本スタイルは、お兄さん同様、殴る蹴る投げる、締める、極める、なんだけど、ギルドに入ってからは真希さんに師事を受けてたみたいで、今ではそんな彼女に挑戦しようなんて輩はいなくなってる。


 本人はあくまで怒羅欣に入る事を希望してたらしいんだけど、兄である臣さんは頑なにそれを拒否ってて、イネスさんが言うには、


 「こんな過酷な修羅の道を、妹に歩ませる訳には行かない」


 って言ってたらしくて、今回のギルドが保護する形でイネスさんを預かってくれたのは、兄さんとしても、いい形に収まったみたいな感じで、四方丸く収まってよかったよ。


 それでもイネスさんに遭うのは久しぶりだったけどさ、なんかちょっと大人になった感じで、ギルドでみんな揉まれてる所為かな、声も柔らかく穏やかだった。


 そして、僕はと言うと、そんな彼女の呟きに、


 「うん、まあ大丈夫じゃないかな?」


 って答える。きっと怒羅欣の人達は満足してくれると思うよ、もしまだ不満なら、仕方ないけど僕が相手になるのもやぶさかでもないしね。


 全部終わったら、北藤さんと戦うのもいいかもしれない。


 まあ、僕としても、あの人との戦いは思うところはあったんだよ。


 だから、いつでも彼の挑戦を受けてるクソ野郎さんとかの気持ちがわかるんだ。


 北藤さん自身も、相当な人格者なんだよね、ちょっと他の怒羅欣の人達とは一線を画してる感じがある。だから今、この時点でも安心はしてるんだ。


 「怪我とかしないといいんですが」


 ってイネスさんが言うけど、


 「でも、怒羅欣の人達だからね、その辺の加減は頼んでおいたけど」


 って、そこまだ話して、あれ? 会話の趣旨としては概ね成立するけど、どこかすれ違っている気がする。対象が違うと言うかなんと言うか。彼らと対峙して酷い目に遭うのは魔物さん達だと思っているから、僕。


 悪いけど、僕はの後に及んで、対怒羅欣としては、もう勝とか負ける以前に、本気で魔物さん達を心配している。


 それに意外な事だけど、怒羅欣の人達って、殺傷を目的にしてないからね。互いに持てる全ての力を打つけ合って、敵すらもその力を高め合うっての基本理念みたいだから、だから、永遠に続くんだ。勝っても負けても、一度でも拳を合わせようなものなら、本当に執拗に、こっちの都合なんてお構いなしに戦いを挑んで来る。


 何より、怒羅欣の人達側にはなんの悪気もないから、透き通るくらいの純粋で、純真で暑苦しい。


 そんな彼らと付き合うにはそれなりの力と心が必要で、どうやら僕も彼らと付き合って行けるイカれた人間の一人みたいだ。


 今でも家には挑戦に来るんだけど、最近はちゃんと手土産とか持って、母さんとも仲良くなってるから、そんな彼らも、母さんには決して挑戦はしてないので、絶対に手を出してはいけない人間の存在ってのを本能んで理解しているんだなあ、って関心はしてるよ。


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