表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
1185/1335

第4話【八瀬と土岐と、昔話】

 八瀬さんのスキルって、形はどうあれ、自分にとって都合のいい箱を作り出す能力って事になる。


 でも、結局、箱だから、動きはしないししゃべりもしない。


 それでも操る事はできるから、このかつて所属していたクロスクロスって組織の頭に据えていたらしいんだ。


 これは、春夏姉に春夏さんが入ってない僕の時と同じだね。


 でも違う結果になって、今は協十さんの死を受け入れてる。


 あの時の、僕らに散々迷惑を掛けてゴブリンキング騒ぎの時の試みってのはまさに自分の身に起こった事を他の人間で試したに他ならなかったんだ。


 でも、僕はもう一つ知ってる。


 これは土岐と、当時の彼らを知る人たちから聞いた話。


 森方 協十って人として、あまりいい人間じゃなかったって事。


 土岐なんていつも殴られたって、そして八瀬さん本人も。


 最後に、彼が施設の車を盗んで、自損事故で亡くなる瞬間も、悲しむ人間なんていなくて、これから降りかかる迷惑と、後、乱暴者がいなくなった安心からホッとしてる人間が多かったって。


 でも八瀬さんだけは、


 「ダメだよ、協十が生きてたって事残さないと、出ないと彼本当に死んじゃうよ、彼はいつもダンジョンに行くぞって言ってたからさ、みんなでダンジョンに行こうよ」


 って言い続けて、八瀬さんが育った施設はダンジョンに子供達を入れるのを反対していたから、自活のために外に出て市の補助を受けながら、ようやくダンジョンに行けた訳で、土岐は心配で付いて行ったらしいって話。


 そして、事実上、二人で造ったのがクロスクロスって組織。


 それは、亡くなった森方 協十の名前から取り出した2個の十字架を使った名前。


 そして八瀬さんは言うんだよ。


 「ダンジョン使って、誰かを蘇らせるのも、神様殺してしまうのも、みんな君を真似たはずなんだけどねえ、なんで上手く行かなかったんだろ?」


 って大袈裟に手を広げで不思議そうな顔をする八瀬さんは続けて、


 「本当に、協十といい、君といい、連夜といい男の子って思ったように動いてくれないよねえ」


 ってしみじみと言う。


 「君もそう思うだろ?」


 って、僕の横にいた葉山にもそう声をかける。そういえば、ダンジョンとして僕よりこの八瀬さんの方が葉山と付き合いが長いんだったね。


 クロスクロスの仄暗い仕事をしていた時期もあるんだよね、自分の体を維持して行く関係上、お金が沢山必要だったから、葉山。それでもそんな蟠りも本人達にはもうないみたいだ。ダンジョンの事はダンジョンでだよね。


 そしたら、その葉山が、


 「男の子の動きに制限つけちゃダメですよ、伸び伸びとさせて、こっちで広くして受け止めてあげないと、それでも、なかなか甘えてくれませんよ」


 とか言い出す、ああ、そうなんだ、でも、それ僕の事じゃないよね? 


 そしたら、八瀬さん大笑いして、


 「そっか、僕、女子としての度量が足りなかったね、これは失敬」


 なんて言ってる。


 その八瀬さんは急に真面目な顔して、


 「で、どうだい? 今度もうまくやれそうかい?」


 って聞いて来るけど、まあ僕だけの問題じゃないし、自衛隊も、勇者群の皆さんも、ダンジョンウォーカーOBなんてのもいるから心配はしてないけどね、だから頷いてみる。


 すると、八瀬さんは特に心配もなさそうに、


 「そうだね、君はいつでもそうだね」


 って言ってから、


 「君がさ、狂王なんて言われている理由がさ、ちょっとわかる気がするんだよ」


 とか言い出す。もちろん、僕はどの三柱神にもそんな王たる使命を受けてはないから、この正体不明のスキルによってそのように呼ばれているだけってのはわかるんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ