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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第3話【割れて開く北海道の空】

 空が割れる。


 空と言う空間がまるで面のように穿つ。


 もちろん破片なんてどこにも落ちはしない、ただ、この光景を表現するならあえてそんな言い方になる。


 そして下から吹き荒れる風。


 と言うか、どう見ても直上に出現した異世界が這い出る隙間の方に空気が吸い上げられて行く感じで、スカート履いてたらヤバイな、って吹き荒れ方で、砂とかホコリまで空に舞いあげてる。


 だから異空間への穴が開いて空気が漏れてる感じ。


 でも、こういった変化もすぐに止むってアキシオンさんが言ってた。


 僕らは防衛庁の車、装甲車みたいな奴で、大通り4丁目ゲートの前まで来たんだ。


 乗せてきてくれた自衛隊の皆さんは、これから大通分屯地前に行くんだって、「気をつけてね」って言って別れた。


 車から降りた僕らは結構な数のダンジョンウォーカー、そして勇者の皆さんに迎えられた。


 うん、いいね、この入り口は絶対に死守しなきゃだよ。


 で、ここ4丁目ゲート、その入り口前には雪華さんがいて、もちろん雪華さんがいるから茉薙もいるんだけど、そこに真希さんの姿はなかったんだ。


 「真希さんは?」


 って尋ねたら、雪華さんはちょっと呆れるみたいに、


 「同窓会行って来るから、こっちは私たちに任せるそうです」


 って、一緒に乗ってきた薫子さんが雪華さんの方に行く、その顔を見て話すから、薫子さんと雪華さんっている新しいギルドの代表に行く末を預けたって感じだね。


 と言うか、こんな時に同窓会って……。いや真希さんだもんな。


 「ちょっと、僕を忘れてない?」


 って八瀬さんが出てきた


 その姿を見て、ん?って思ってしまうのは、いつものクロスクロスの鎧じゃなくて、僕らみたいなジャージ姿だったから。


 八瀬さんて、本当に本場のモデル並みのスタイルだから、僕らと同じジャージが似合わないのなんのって、いや、サイズはあってるんだけど、なんだろう? いつもスーツ姿の先生が、職員室でジャージ着てるとこ初めて見た感じになる。


 なんか……、


 「笑えるかい?」


 って先に言われてしまう。


 いやいやそんな事ないですよ、そう言おうとしたら、


 「それにしても、君たち、こんな良いもの着てたんだね、これ着ちゃうと鎧が馬鹿らしいよね」


 なんて話を気軽にして来るから、なんか僕の方も力がいい感じに気が抜けて来る。


 そして、


 「なんだ、リラックスしてるじゃないか」


 って一応は気を使っているらしい。


 そんな八瀬さんは僕を見て、


 「もうさ、無理な事はしないよ」


 って僕に言うんだ。


 「だから、協十の事はもう追いかけない」


 と言って、その目はまるで僕の反応を伺う様に、じっと見てる。


 だから、


 「どうして、僕にそんな事を?」


 って尋ねたら、


 「いや、ほら、今、君が北海道ダンジョンみたいなものじゃないか」


 とか素っ頓狂な事を言い出す。


 そして、まるで懺悔の様に、


 「君の妹、だから【贖罪と鏖殺の女神ブリド】様から神格を奪ったことも謝るよ、ごめ

ん、すいませんでした、本当に反省してます」


 手を合わせて僕に対して祈るように言うんだけど、全く真剣味が伝わって来ない所がこの人らしい。


 ずいぶん前に、僕は土岐から聞いてる。


 彼女、八瀬さんが言うところの森方 協十さんが、ずっと昔、ダンジョンとは全く関係ないところで亡くなっている事、そして、いつも彼女、鉾咲八瀬という副団長が連れているのは、彼を形取った人形であり、八瀬さんの意思で動いている事を。


 彼女は、八瀬さんはかつての僕なんだよ。


 春夏姉を失って、取り戻そうとしたかつての僕。


 でも彼女の場合、それを叶えようとして、一度、ダンジョンに挑んで、死んだ。


 もちろん、このダンジョンに死はない。


 でも、ダンジョン内で死を経験することは、同時に『最後の扉』へ触れることへの権利を失ってしまう。


 皮肉な事に、その死は同時にスキルのなかった八瀬さんにスキルを添付してしまう。例の金色宝箱を作り出す能力、そして、傀儡を作り出す能力。


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