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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第2話【自衛隊が仲間になった】

 電話の向こうの白馬さんに少しの間。


 「わかった」


 と考えて納得して言ってくれた。


 そして、僕はもう一つ尋ねたんだ。


 「ディアボロスくんは?」


 「ああ、大丈夫だ、すでにダンジョンに、ギルドに預けた」


 「助かるよ、少し貸しておいてね」


 「ああ、上手く使ってやってくれ」


 と言ってから、


 「特に作戦名も計画手順も無いが、そっちの方がやりやすいだろ」


 って白馬さんがいうから、


 「うん、助かるよ、あとは、勇者の人達がやってくれるから、それでいい」


 「では状況開始だ、非常識な方は頼んだぞ」


 「任せて、白馬さんも怪我とかしない様にね、こんな事で死んだら馬鹿らしいからね」


 「ああ、真壁もな、またあの非常識な力楽しみにしてるぞ」


 で、電話を切ってから、僕は葉山が持ってきたジャージに着替えて、ってか、ちょっとあっち行っててよ、パジャマ脱ぐんだから、って思ったら後ろでは、僕のパジャマを脱がそうと蒼さんが悪戦苦闘し始める。


 やめてよ、ちょっと自分で着替えるから!


 って抵抗しようとすると、


 「何を遊んでいる真壁秋!」


 って、薫子さんに怒鳴られたよ、僕、悪く無いのに怒られたよ。


 次に僕の家に飛び込んできたのは、


 「師匠!!!!!」


 と叫ぶ、愛弟子の滝壺さんだった。


 そして雨崎さん。


 「魔王さん!」


 僕に抱きつこうとす雨崎さんと華麗に流して、受け止めた葉山が、


 「なんであんたがこんなところにいるのよ?」


 って怒られてる。


 そうなんだよね。


 「いえ、だって」


 って言い訳するのは滝壺さんだった。


 「だってじゃ無いでしょ、あなたは達は二人とも、英雄陣じゃなかった厳選勇者チームで大通りに配置でしょ?」


 って怒られてる。


 すると、今度は雨崎さんが、


 「魔王さんの顔見たら行きますよ、ねえ」


 って滝壺さんに話を振るも、僕まだ、ジャージの下履いている途中なんだけど。


 だから、蒼さん、ひっぱらないで、スッと履かせて、もうここまで来たら自分の部屋で着替えたいなんて言わないから、そっちに引っ張らないで。


 転びそうになる僕は、なんとなく、小さくなってる滝壺さんを見て、なんか自信なさげだなあ、って、いやそんな風に見えてしまったからさ、


 「どうしたの? 滝壺さん、不安なの?」


 って聞いたら、シュンとして肯くからさ、


 まあ、以前のゾンビ塗れなトラウマが残っている上に、今度はガチに異世界からの魔物だからさ、この子の実力を考えれば、そこは問題無いと思うし、しかも戦闘特化ヒャッハーな雨崎さんもついてるから大丈夫だけど、あんな風に一度負けてから、しかも自分の予想なんてできない相手とくれば、なかなか自信なんて持てないのかもしれない。


 だから、僕は、


 「滝壺さん、剣出して」


 って言うと、素直な彼女は、


 「はい」


 って言って腰から下げらアキシオンをスッと前に出す。


 僕は、その剣に、右手から出した自分のアキシオンを重ねて、


 「うん、大丈夫、今日君は自分の持ってる力を全部出せるよ、きっと相手になる魔物なんていないよ」


 って言うと、


 「はい」


 ってなんの陰りもなく、彼女は、輝くような笑顔でそう二つ返事をしてくれた。


 「兄上様、僕らもダンジョン入り口の防備にあたります」


 って二階から降りてきたのはこの所、彼のお母さんである大槻菖蒲さん、だから蒼さんのお母さんでもあるよね。その人と一緒に結局家に泊まりつづけていた、蒼さんの弟である焔丸組んだ。


 最近、初代微水様に造っていただいた、愛刀『八咫烏』を腰に下げて降りてきた。


 なんか最近、大きくなったなあ、ってちょっと会ってなかったけど、焔丸くんも、今ではすっかり深階層組の強者だね。


 「私は、今回ギルドに協力して、7丁目ゲートの防備に回ります、兄上様もお達者で」


 って言うそばから、


 「焔丸様、私どもは中島公園ゲートです、昨晩もそう説明しました」


 って叱り付けるのは、一生にあの大紫町から来た、四胴 空さんだった。


 うん、彼女の方がずっと大人っぽいね、そしてその手には、彼女もまたこれは焔丸くんよりも早く初代微水様に造ってもらってる『紫雲一烏』が握られている。


 剣を作り続けている初代様には珍しい、薙刀系の武器。


 この形と出来栄えを、蒼さんの持つ秋烏を含めて、この三振りを初代微水様は、自分の集大成だって言ってた。例の勇者へ配布する聖剣の生産に追われていた時に造っていたらしいんだ、自信作って言ったよ。


 何よりみんな一緒のジャージだね、勇者仕様のジャージ、みんな間に合ったみたい。


 生産品だから、僕らの大柴声製みたいにフルカバータイプじゃ無いけど、肩と首、胸のあたりは新素材プラスチックらしいけど、それらを補填する意味で強化されてて軽鎧みたいで結構イカすしカッコいいね。それでも、僕に近い人たちには個別のデザインがされてる。


 僕が一眼でわかるようにだって、雪灯さんが言ってた。


 その焔丸くん、


 「私たちも大通りです、一緒に行きましょう!」


 「だから焔丸様、中島公園です! 駅2個手前です!」


 「わかってるよ、うるさいな!」


 「うるさいってなんですか!」


  4人ともけたたましく出て行く。


 外にはすでに防衛庁の車とか数台止まっていて、そのまま仲良く彼女達は、それぞれの目的地へと向かって行った。


 で、今考える事でも無いんだけど、どうして僕の周りには、女子の尻に敷かれているような男子が多いんだろう?


 いや、気のせいか? 気のせいだよね。少なくとも僕は違うし。


 「ほら、顔 拭くから、もう、ちゃんとこっち見て!」


 って葉山がホットなタオルで僕の顔をゴシゴシするよ。もっと優しくやってよ。でもスッキリする。ありがとう葉山。


 で、僕の気持ちを理解してくれた蒼さんがようやく僕を解放してくれるから、ここでやっとジャージの下も履けた。


 そして、今更気がついたけど、僕、洗って無い顔、そして下もパンツ出しっぱなしの姿で、滝壺さんにカッコいい事言っちゃったなあ、って、どこに向かえばいいのかわからない後悔をしてしまう。いいや、忘れてしまおう。 


 今はそれどころじゃ無いんだ。


 って思ってると、僕の背中のジャージからはみ出していたインナーを葉山が無理やり押し込め始める。


 「ちゃんと振動緩和のインナーは着てたんだね、えらい、えらい」


 って言われる。


 人のお尻に手を突っ込ま無いでよ、びっくりするじゃん。


 って葉山の近すぎる顔を見たら、


 「ごめん、大切な所だから心配になって」


 とか言う。


 で、


 「代わりに私の方も確認する?」


 とか言って来るから、馬鹿じゃ無いの? って本気で思った。葉山のお尻に手を突っ込む訳ないじゃん!


 「ほら、バカ言ってないで、私たちの迎えも来たぞ」


 って言われて、僕らは外に出る。


 ここからでも十分に見える。


 大通も近いから、本当に細かくわかる。


 距離は、そう地上300mくらいの微妙な距離。


 そこには、まるで山の切れ端のような巨大な土塊が出現していた。


 きっとその塊は、もう自分自身を保こともできないでいるのか、黒い土を撒き散らしながら、時折、大きな塊がバラけるように落下して行く。


 あれ一つでも、きっと豊平川あたりなら堰き止めちゃうくらいの量だよ。


 そして、そんな周りを、マスコミと自衛隊のヘリが命懸けで飛んでいる。


 さあ、始まったぞ。


 落ちて来る異世界。


 そして落下される北海道。


 これは、どちらの窮地なんだろうね、春夏さん……。


 スッと息が整う。


 体が落ち着いて来る。


 大丈夫。


 僕はやれる。


 それは春夏さんとの約束で、願いなんだから、絶対にしないといけない事なんだ。


 「じゃあ、行こうか」


 と僕は葉山に、蒼さんに、薫子さんに、そしてアキシオンさんに声をかける。


 後、母さんに、


 「行ってきます」


 って言うと、


 「行ってらっしゃい」


 こっちの顔も見せないで、玄関から出ていた僕らに母さんから声がかかる。


 母さんも準備があるらしい、どうも親友さんに久しぶりに会うって話だから、朝からパタパタとしていた。


 なんか、母さんはいつも通りだなあ、って思ってしまう。


 そして僕の足にしがみつく妹。


 一緒に行く気満々だ。


 ここから、僕は行く。全てを終わらす為に。


 その覚悟を、決心を、自分の心の中から探す僕は、諦めるとは違う境地にいたんだ。


 「大丈夫、春夏はきっと帰って来るよ」


 と葉山は笑う。


 また変な事考えてるな、終わらすのは葉山の事だって含まれてるからな、って思うから、ちょっと睨んじゃったよ。


 まあいいや、じゃあ、出発するよ。

  


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