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第122話【なぜ、彼は女子全員から無視されるに至ったか?】

 北海道の地を再び踏んだのは、私が中学一年生の終わりくらいから、こちらの方で行えわれる、今年から北海道道本部での大会参加を機に、私は母と共に秋くんのいる中高一貫校へ転校してきた。


 クラスは違うので、その時は秋くんも気がつかなかったみたい。


 ともかく、私は一番最初に秋くんに会いたくて、でも、実際会える距離にいると、半径20m程度から足がすくんでいるのがわかる。


 私はこの反応に驚く。


 会えて嬉しいのは間違い無い筈だ。


 でも、その耳に声が聞こえて来ると、この体が大きく動揺する。


 心臓が大きく脈打ち、その音が胸から聞こえてしまいそうで、何度も止めてしまった事すらある。


 そして、何より体は、秋くんから遠ざかる事を選択する。


 近づけない。


 近づく事ができない。


 私は、この反応、この心境に大きく動揺した。


 どうして?


 何度も自分に問いかける。


 もちろん、答えなんて私の中にあるわけもなく、当然、母であり、春夏の親、そして何より女子としての先輩である明日葉に尋ねると、大笑いされる。


 そして、


 「そんな事だったら秋くんと一緒にダンジョン入ったら死んじゃうかもしれないわね」


 と言われた。


 笑えない。


 本当に、折角、ここまで大切にしていた、こうも馴染んでいた春夏の体が、心臓を中心に弾け飛んでしまう恐れに私は震撼する。


 対処方法や、もしもこの体独特の病理などであるなら処方を尋ねるも、尚もひどくお腹を抱えて笑い続ける母、明日葉だった。また、父が不機嫌になっているのも不思議だった。


 この動悸や動揺、口の中の乾きに私はしばらく悩まされることになる。


 でも、この学校の中に、たった数十メートルの距離にいられる事が嬉しかった。


 何より、札雷館の北海道大会の中高生の部で優勝した時も応援い来てくれたから、とても嬉しかった。きっと、母が気を遣ってくれたのだと思う。


 思った以上の結果を出せた。大会参加者の中には、東雲の組織である札雷館と知って、まるで道場破りの様に参加する多月の家の人たちには驚いたけど、あの二肩の家の者がいた時には本当に驚いた。


 しかも決勝で、西洋剣と私の部である公式剣道の部との一騎討ちの様な形になって大いに盛り上がった。


 父に聞くところによると、相手はあの多月の直系を下した手練れだという。


 そして、この北海道にはかなり多くの多月の手の者が入り込んでいるという事実も父から聞かされていた。


 私は、この春夏の体の操作に関しての練度という集大成を見る為に、割と軽い気持ちで望んだのが功を奏したのかもしれない。勝負の行方は拮抗したものの、なんとか下す事ができた。


 地元のローカルな大会なのにも関わらず、地元のテレビや新聞の取材が来ていた。


 そして、ここ、北海道に来てからの師範に言わせると、今後、ダンジョンに臨のなら、これ以上、大会には出られないと釘を刺されるも、最初から私はそのつもりだったので、大会など私は興味がなかったので、ダンジョンを優先させる旨を説明すると、札雷館でも違う部になるとう説明を受けて、私は納得した。


 しかし、しつこく食い下がる札雷館の、特に君島という男子大学生には激しく反対された。


 しかも、「どうしても北海道ダンジョンに入るというなら、俺を倒してから行け!」と言われたので、師範の立ち合いの元、君島の取り巻きを含めて、完全に倒して決着をつけた。つけたのではあるが、それでも、あの君島という男は何かをいいたそうで、納得したと言う表情はしていなかった。


 それでも一応の決着は付いたと安心する私の耳に、一つの情報が舞い込んで来た。


 それは、とある女子の派閥の中から、かなり上位(女子として性能の高い)の者たち、その中の一人が、秋くんに告白すると言う情報だった。


 この情報は高等部の女子まで根回しされていた様で、それはどうも、この中高一貫校である学園のルールであり、私たちの世界で言う所の仕来りの様なある意味この学校が始まってからの女子同士の盟約でもあった。


 それは、『告白ルール』と呼ばれるもので、男子には適応されないルール。


 私も、この学校の卒業生でもある母に聞いた。


 女子が、男子に対して告白をすると宣言した場合適応されるのだという。


 簡単に説明すると、男子に告白をしたい女子が、他の女子に応援してもらえると言う内容らしい。


 まず、女子が、男子に告白しようとした場合、まず周りにそれを宣言する。友達や先輩後輩、所属するクラブや部による連絡が全女子生徒の隅々まで行き渡り、状況の開始がされる。


 この時、かぶっていない場合(告白しようとする男子に他に告白する女子がいない場合)その日のうちに状況は開始される。


 学校の女子に対して厳戒令が敷かれることになるのだそうだ。


 これは、『人間関係の凍結処置』とも言われていて、その告白の瞬間まで、現在の人間関係を固定させて、公平中立な告白を行える様にする処置だと母は言っていた。そしてその後、「まだ、そんな風習が続いているのね、廃れないものねえ」と割と呆れた顔もしていた。


 これが発動される、この告白を受けるまで、その成功不成功に限らず、その女子が告白するまで、相手の男子に対して、女子は喋りかけてはいけない。学校生活に必要な事項については、そのクラスの委員までは例外とされ、女子委員が必要最小限度の会話になる。


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