第119話【全てを虚無へ『匪』という最凶スキル】
全てを混ぜ合わせた時、私は彼の中の収納されていた東雲への過去の全ては開示された。
これは予想外のことだった。
この体、私の作った東雲春夏は機能を開始し、そして東雲となった事を意味している。
そして、それは彼女自身が知る記憶ではなく、ここに至るまでの人の歴史がこの体に流れ込んでくる。
もちろん、この事自体は予想外の出来事だった。
そして、この復活と、記録とも言える肉体に刻まれる記憶の復元は、この体が完璧に東雲としてでもなく、この東雲の血脈自体が、永い時を経ても、未だ私たちの世界の住人だと言う証明にもなる。
魔物の復活と全く同じ仕組みで蘇ると言う事に他ならない。
そして知った。
今はこの新世界を守ろうとする東雲もまた、私達のいた世界によって捨てられたのだ。
それは、異造子達と同じ様にこの世界の人に寄ってしまったからかもしれない。
だからだろうか、その意識は強く、まるで呪怨の様に彼らの体を縛り付ける。
それは何代にも折り重なる様に綴られた記録、東雲としての本当の目的。
その事実の前に、異世界側である私はそこに向けられて来る意識を願いや思いを、驚愕を隠せないほど驚いていた。
全てはここに合わせていた。
この場所に、だから北海道に、そしてこの時に、この人物に……。
私がこの地に降り立つもっと遠い過去から、この計画は組み立てられて、そして、私の、異世界を含む私たちの計画とその中に含んでしまう憂いなど、なんと矮小な事だと、そう思ってしまう。
彼ら東雲は最初から力を滅してしまう計画はここだと決められていたのだ。
つまり、私である地底に横たわる名もなき偉大な白き神が、北海道に根を下ろす事すら、偶然でもなく彼らに取っての必然だった。
東雲春夏から見た、真壁秋と言う少年の事。知っている事実だ。
この子はまさに東雲の集大成である。
力、技、それだけではない、それを運命を増幅させるための彼の装備ですら、その歩みに合わせて存在している事実を知る。
私たちをかつて蹂躙したあの殲滅の凶歌すら、この子を作り上げる上での一つの部費品に過ぎず、真壁秋に内包する能力は母となったかつての凶刃の力を持ってしても、育成は至難を極めた。
私達に対応する個。
たった一人で何もかもなしえてしまうその少年。
私達に終わりの安寧をもたらせてくれる真壁秋と言う存在は、彼の父親のスキルと東雲
の力を元に、自分の中で対消滅を繰り返す膨大な力を持っていたのだ。
そして、それを表すように、偶発的にしか存在し得ない最後にして究極のスキルはすで父の体によって運ばれて、そして互いに打ち消す事なく小さな東雲に混ぜられ、既に新世界に存在していた。
驚くべき事に、何もかもの能力を消し去る最後のスキルは、この子の中に私の全知全能を混ぜてもそれは発現しない。
なぜなら、この子の中には全てのスキルを打ち消し、どの様な奇跡すら否定する『匪』のスキルがあるからだ。
これは、私を媒体とするスキルだけでなく、魔物の力や神の奇跡すら消し飛ばす能力だ。異世界そのものの力すら食い尽くしてしまう私達側には発現しなかった異能力。
何もかもを破壊する赤黒い感情となって、真壁秋の中に眠っている。
幾重にも重なる、永い時を経た必然は、私達と、散り散りになったかつての私たちによってここに形になり既に用意されていた。
その操作部としての装備は、素粒子に干渉し、既に調整は終了し、後は、この最後の東雲の少年の意識により覚醒する手筈が整えられている。
何よりそれが証拠に、先の未来のその剣は、既に過去である今にすら干渉を及ぼし、現在の難局な場面を易々と切り抜ける様に、未来のオーナーの前に姿を現す、小さな彼の手にあって、鬼族最強であるゼクトすら安易と倒してしまう。