第112話【割と裾野の広い話】
そして、この世界にもそう言う人って、つまり未だに異世界の人の血が流れてる人ってだいぶ薄まったけどそれなりに存在してるって話で、そう言う人は自分で気が付きもしないし、日常生活に置いてなんの問題もないし、また今の通常クラスの医療では気が付きもしないって言われてるけど、ただ、統計的に見ると、ほぼ100%その血を宿す人間はスキルが発現するらしいんだ。
それがどの様なものになるにしても何かしらのスキルを保有する様になるんだって。また発現が難しいスキルもあるけど、それでも、北海道ダンジョンに関連する人や神の助力によって簡単に引き出すこともできるって言ってた。
で、これもまだ正式会見とか発表とかされてないんだけど、そのスキルを発現する人っていうのは直ぐにわかるらしい。
DNA検査だって、今は乳幼児に行う血液検査の時に人知れずこっそりやられてるんだって、だから、突然現れた強力なスキルでも政府や防衛省がバックアップする体制は完全に整えられてるんだって。
だから東雲家に限らず、今の世界ではそれなりの数の人間は異世界の影響を何かしら受けているってことになるね。
そして、その東雲家も、長い歴史の中で三つに分かれる。
一つは、今も尚続く東雲家。そして、歴史の中で何度も繰り返される異世界との紛争の中で、時には負けてしまうこともあり、散り散りに散った東雲家の一部が逃げて作ったのが大紫町であり多月の一族。
一度だけ、東雲の人たちも、もうこれは滅亡するんじゃないかってくらい追い詰められた事があって、異世界の人達の中でも征服派が一番勢力を持った時代に、徹底的に叩きのめされて、戦国時代のどさくさで一族は最後の時を迎えそうになっていたらしいけど、その時は異世界の穏健派である赤鬼と追加で送られて来た青鬼は、時間差でこっちの世界に召喚されて、ギリギリ事無きを得たらしい。
赤鬼さんは全ての敵を殲滅して自身も致命傷を負い相討ち。残存戦力を蹴散らし戦いは勝利するものの、たその赤鬼の為に武器を造った青鬼さんはそのまま戻る事もできないで、山林の中で飲めないお酒を煽ってるところで、多紫、かつての東雲の女達に拾われたという史実だから初代微水様ってことになるね。
この時逃れた東雲はその名を隠すことが多くて、地方に逃げる時には、大陸から渡って来た月氏、のちの大月、今は多月と呼ばれる姓を名乗って、そのままその名を利用したのが、あの多紫町。
その名の由来は、東雲色の空、つまり夜(闇)から朝(光)に転ずる夜明けの空、紫色の空を指してる意味なのだそうだ。
だから名を隠しても、その表現方法を変えてるだけで、彼らもまた誰にも気がつかれないように東雲を名乗っていたって事になる。
あとは、細かい所では、多月家から出て行った人のつながりも教えてもらった。
何より、僕らか見ても東雲家と多月家が仲が悪そうに見えるのも、それは古の教えて、多月が東雲と気取られてはならないっていうのが今も尚続いているので、いい意味ライバル関係みたいな緊張感は保ち続けているらしい。
その多月家、というか多紫町、割と早い段階で別れたのは大柴家を名乗る人たち。つまり、現在の大柴クループ。世界のグローバル企業、ってか平たく言うなら、雪華さんの家じゃん。ってさすがにこれは驚いた。
後から聞いた話だけど、実際は裏では、長い歴史の中で大柴商事はずっと多紫町を支えていたんだって、それは雪華さんのお母さんから聞いた。どうも先祖の供養みたいなものだって言ってたけど、長すぎるだろその供養って思ったよ。