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第112話【ダンジョンに忍者現る】

 正直、今の状況を知りたいんだけど……。


 この人たち、なんで、僕らを真っ直ぐ襲って来たのかとか、なんで、ラミアさんの胃の中に、桃井って人がいたのか、ちょっと色々知っておかないと、今後大変な事になりそうな予感が止まらない。特に立ち位置的な問題が……。


 で、僕はジッと手を見る。


 だから自分の手の中の剣を見て考えたんだよ。


 すごいからね、このマテリアルブレード。ハンパないからね、切れ味。しかも両刃だから峰打ちとかできないし、さて、どうしたものかなあ。なんて思っていたら、『ゴス!』って物凄い音と共に、この黒い人が崩れ落ちた。


 「秋くん、話聞きたいんでしょ? この人から聞こう」


 って、背後から木刀でこの黒い人を殴った春夏さんが言った。


 すごい上手に気絶させているね。他の人より覚醒が早そうだね。後は喋ってくれるかどうかなんだけどね。


 近づいて、黒い人が被っているフードを開こうとした瞬間に、なんか変な音が響く。


 音ってか、声。


 声ってか、笑い声。


 笑い声ってか、下品な嘲笑うような声。


 そして、そんな耳障りの悪い、ラップ音みたいな笑い声が終わると、


 「なんだよ! 浅階層には誰もいないはずじゃあなかったのか? やっぱギルドはあてになんねーな!」


 一体、どこから現れたのか、僕の目の前にその人物は姿を現す。


 きっと室内の中心から、現れたのはたった一人の人だった。


 特に暗いってわけでもないこの鏡海の間だからさ、この距離まで近づいてくれるとはっきりわかるけど、彼が誰かはわからないけど、何かなのはわかる。


 「秋さん、忍者です!」


 って僕が確信してるのに横の角田さんが、「うわ!」って声を出してから、そんな単語を告げてきた。


 うん、そうだね、さらに、「うわ!」って言葉の前には、『今時?』って言葉もつくんだろうね。


 どうして、僕がそんな事を思い、角田さんが呟いてしまったのかというと、それは、僕らの目の前に現れた人が、そんな姿をしてたからだ。


 だって、もう一目で忍者。


 きっと街ですれ違っても、シーズン中のスキー場、ゴンドラ乗り場で行き来しても、よさこいソーラン祭りで賑わう大通公園だとしても、そんな雑踏、人混み、イカした服装の集団の中にあっても、この姿ならまごうことない忍者ってわかるよ。


 だから、僕としてはある意味、感動にも似たような感情も抱いていなくもなくはない。


 いや、だって、本当に忍者だよ、忍者。


 ダンジョンに忍者って、やっぱりロマンだよね。


 もう私は忍者です、っていう典型的な姿なんだよ。


 漆黒の忍び装束っていうの? 浅い水に浸かる足は足袋まで履いてて、もうね、映画とか時代劇でも見るような忍者のまんま。


 背中に忍者刀ってのかな、刀を背負ってるよ。


 大きな剣なら仕方ないけど、あの大きさ、長さなら、十分、腰周りでやっていけるのにね。


 背中に鞘って使いにくいし、緊急対応出来ないし、即応性ないし、でも、まあ、忍者だもんなあ、そうするよなあ、それしか選択肢ないよね、もし使いやすく、腰に刀下げてたら、『お前、忍者のくせに何をやってるの?』ってなるよ、だから、自分が忍者ってううなら、使いやすいとか使い難いじゃなくて、そうなるよね。


 あ、でも、その背に忍者刀を背負う為の『紐』が、紐じゃないなあ、最近のナップサックの良いやつみたいなショックアブソーバー付きの帯になってる。


 形は変わらいけど、細かいところはちゃんと近代化してるんだなあ、て思うと、ちょっと微笑ましさを感じてしまう。


 いや、ここまで、私は忍者ですって格好はないかもしれないからコスプレって考えた方が、一つの表現としての忍者なのかもしれない。つまりファッションとしての忍者かもしれないって事なんだな。


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