第101話【姉弟の戯れ】
いつの間にかと言うか、一体なんんで? 疑問符が散りばめらる室内には、どう言うわけか、見学者が増えていた。
いや、呼んでるのはわかってる。さっきから真希さんが至るところに電話をかけまくって人を集めてるみたいだ。
うわ、瑠璃さんと桃さんまでいるよ。
そして、これもいつの間にかだけど、自身の名前を真冬と名乗ったかつての謎の彼女も。そして、春夏姉も後ろに下がって、見学者の一員に紛れ込んでる。
そして、
「あの! この剣をいただく為には、その、あの、魔王さんに自分の胸を曝け出さないといけないって聞いたんですが?!」
って、滝壺さんが聞いて来るんだよ。しかも大声だよ、みんなに聞こえちゃうよ、もうちょっと小さい声で言おうよ。
で、違うよ誤解だよ、それは誤解の一人歩きだよ、ってか遊歩だね、だからダンジョンウォーカーにはピッタリかもだけど、いや違う、って言いたい僕は、
「そっか残念、僕、おっぱい大好きだけど、無理に見ようとは思って無いから、葉山だったらいつでも見せてくれるしね、本当にありがたいよね」
とか言い出す。欲望がそのまま口に出てしまう。
すると、今度は、葉山の奴が、
「真壁、1人のおっぱいしか自分のものにしたらイケないんだよ」
とか言い出すも、
「あれ? 魔王さんは100組くらいまで良いって話ではなかってですか? だからその1組是非私を加えてくださいよ」
って雨崎さんが言い出すんだよ。もう単位が完全に人数じゃなくて人の特定部位になってるよ。
「そんなの多すぎるよ、ねえ蒼ちゃん」
って言うと、尋ねられた蒼さん、
「いや、まさか、そんな、でも、しかし、だとしても、」
と接続詞を言い続けて、最後に、
「しかし、求められているのなら、それもまた暁光」
とか言ってる。顔真っ赤にして言ってる。
どうにもこうにも、いろいろな倫理とか常識とかが壊れてゆく中で、僕はひたすらこのメディックの効果を打ち消そうと思案を凝らしている。
自分の身に起こっていることとは言え、やっぱりさ、こう言うのは反則な気がして。
人間って、本当に思っている事よりも、いろんなものに気を使って、見栄とかプライドなんかも含めて、そこで言い出している事が、自分のできる事だから、こんな風に本音を聞き出しても意味はないんだと思うんだよ。
ただ自分の欲望を並べたって、できもしない事だって大量に含まれているわけで、例えば、『10兆円欲しい!』だって、きっと誰もが思えるけど、実際に求めて本気で行動している人って稀な訳で。
つまり、僕にとっておっぱいって、そう言うものであって、決して手に入れたいわけではないんだよ。
だからどんなに欲していようと、実際に僕もそれにそって行動するわけもないし、まして現実的に常に求めているわけじゃないよ。
なんて余計なこと考えてたら、いきなり凄いの来た。
ズガン!!!!って感じで頭の上から切り下げてきて、僕がさも当然に避けると、そのまま、僕と切り下げて来た剣の接点を中心軸に、グルンと回って切り上げて来る。
同じ材質の剣、同じ系統の技、そして、僕より長くて大きくと重い相手の剣。
春夏姉だ。
「なんか、お前、また強くなったか?」
「ま、まあ、お陰様で」
これって、多分明日葉さんの太刀筋だと思うけど、かなり編曲で、フェイントだらけ、母さんの太刀筋とはまってく違うけど、母さんと同系列の練度とか持ってるから、結構しのぐのキツイ。
しかも一撃一撃が重いし。
「どうしたよ、秋、かかってこいよ、ここにもお前の大好きなおっぱいがあるぜ」
とか言ってニヤニヤしてる。
そして、言うんだ。
「お前の剣は今日花にそっくりだよな、しかも今日花程の練度も経験も無いからわかりやすくて良いぜ」
とか言ってる。
再び接近、今度は横なぎに払われる。
春夏姉のフランジュベルジュ型って、レンジも広い。だから根本で受けて一緒に回る。
まあ、普通なら春夏姉の一撃を一番速度も遅い根本で受けたとしても余裕で吹き飛ぶくらいの勢いはあるんだけどね。