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第111話【恐怖も暗がりもダンジョンも、要は慣れ】

 最近だけどね、ようやくこのダンジョンの戦いって慣れてきているんだよ。


 速度とリズムと力が融合しつつあるんだ。


 今まで僕が剣を練習して、実際人として立ち会ったことがあるのって、お母さんくらいだからさ、今でも全く歯が立たなけど、ここに来て紙ゴーレムぐらいから、なんか自分の振るう剣にようやくしっくりと来ていたところなんだよね。


 特に、このマテリアルブレードを扱う様になってから、激しく僕はこのダンジョンに最適化してる気がするんだ。


 加減も調節、修正も、全部、剣がやってくれてる気がするんだよね。僕の意思が乗るって事じゃなくて、この剣自体に意識があって、僕の都合のいいような仕様になってくれてる感があるんだよ。


 振ってる時も重心位置変わるし、今も調整してくれてるみたいな感じなんだ。


 こうして、脇に挟んでるときとかは不思議になにに当たる事もないし、それに剣なのに、そのむき出しの刃が触れても、ケガとかしないしさせないって言う、不思議な自覚もあるんだ。


 本当に変な剣だよ、これ。


 でも、僕の方としてはさ、まだダンジョンに入ってから、思いっきりはやれてないんで、その辺の各省は未だもてないでいるのもまた事実なんだよね。


 今は、この前の敵に集中することにする。


 凄い勢いで襲い掛かってきてるけど、ぜんぜん対応できてるから、なにも問題はないんだけどね。


 さっきの黒い渦の時はともかく、こうして人として切りかかってくる黒い人は、それほどのプレッシャーは感じていない。2人ほど春夏さんが倒してくれたし、僕に襲いかかってくる人もやけっぱち感があるから、落ち着いて対処すればなんとかいなせる。それに、今の現状なら、1対1だしね。


 ひとまず、振るう剣を合わせる。


 うわ、この黒い人、死角死角から剣を振るってくるよ。しかもこれって完全に人に対する剣の使い方だ。つまりこの黒い人が戦う相手は常にモンスターじゃないって事だ。


 本当に、深層階では人間同士、ダンジョンウォーカー同士がこうして戦いあっているんだな、って初めて実感した。


 「すごいですね、秋さん、達人じみた剣の使い方ですね、とても雑魚には見えませんよ」


 なんて角田さんが言ってくる。今、こうして相手している僕に余裕があるのがわかって話しかけているよね、すごい人だよ角田さん、でも言っている内容がさっき僕がうっかり口を滑らせて、『バカな人がお利口さんみたい見える』的な発言の敵討みたいで子供だなあ角田さん。以外に根に持つひとなのかもしれない。何年も前の事をずっと忘れない人みたいな?


 そして、今、ちょっと考えている僕がいる。


 この状況で一体何が起こっているのか、まあ、このくらいの絶命な感じから、なんとかなるだろうっていう生存欲求が満たされてくると、知的欲求が湧いてしまうのは致し方のない事なんだけどさ、今、僕の剣で、この黒い人を切るって多分、間違いなく致命傷になってしまうと思う。


 こんな時だけど、きっと本気を出せば当たるけど、それでも、まだなあ、この程度なら即死させてしまうから、もうちょっと頑丈というか手ごたえのある人来ないかなあって願ってやまない僕だったよ。


 ともかく、ここは凌げそう。


 余裕のある僕はラミアさんを見た。


 うん、大丈夫みたい。浅い怪我だけど沢山あるから、急がないととは思ってる。


 ともかく情報がなあ、ラミアさんも目的果たしたから深階層に返さなきゃ。


 あ、でも今きがついたけど、角田さんが『賢者』だったし、春夏さんは『サムライ(士族』なわけで、ま一応は、僕はニッチモサッチモいかいないけど、『王様』認定されてるって事実を考えると、僕たちみんなロイヤルパーティーじゃない? うわ、ちょっと尊大な感じがしてきたよ。


 なんとかなるんじゃないかな?


 なんの根拠もないけどそんな気がしてきた。


 そんな僕の前をシリカさんが泣きべそかきながら通りすぎて、


 「あうう……、スプーン」


 って呟いていた。


 問題は、まだまだ目白押しだよ。

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