第91話【春夏姉大憤慨!!!】
特にそれが春夏姉だったら尚更だよ。絶対に誤解だからって言っても聞く耳なんてないんだよね。もう怒りの限りアキシオンさんが丈夫な事を良いことに全力て叩きつけてくる。
なんかすごい怒ってるなあ、て見て取れるから、もう今日は帰ろうかな、って思ってしまってる僕がいる。
一応、今回の英雄に関しては、それなりの一応の目星はついていたみたいで、僕は滝壺さんを探してダンジョンを徘徊していたんだ。
本当なら、シリカさんんのマップでも使えたらよかったんだけど、そのシリカさんのマップの上で派手に掻き回す人の存在を確認したら、なんとそこでいきなり滝壺さんと春夏姉が争ってて、僕と一緒に来た雨崎さんも、「ちょっと面白そうなのでいってきます」って元気に参戦していって、今、この有様な訳なんだ。
推薦枠というか、みんなの押しで、英雄陣でも活躍していたここにいる滝壺愛生さんに白羽の矢が当たったんだよ。
滝壺愛生さん。滝壺愛生さん、愛生さん……。
ああ、石狩川であった人だ。今にも死にそうか顔してた子だよ。
今、思い出した。
確かに只者って感じでもなかったね。
うちの身内とは比べられないけど、スキルも優秀そうだし、この子で良いじゃんって思ってるだけど、なんで戦ってるんだろう?
それに愛生さんでも流石の春夏姉を相手にするのはまだ早い感じだよ。
それでも、僕の仲間からも一押しなんだよね滝壺さん。
特に、蒼さんなんて、
「多少、スキル依存の傾向にありますが、だからこそ基礎能力を上げれば、伸びしろが広いです」
と言っていた。
後、微水様がいうには、
「あいつの剣先の速度に耐えられる金属が無え」
って言ってて、だから僕はアキシオンさんにお願いして、僕と同じ様なタイプでロングソード系のアキシオンをこっそり聖剣配布の時に渡してるんだ。
だから、彼女のアキシオンとか言ってもわからない話で、ここは誤解を解くために春夏姉に言おうかなあ、って姿を出そうとするんだけど、
「私、これで魔王さんのお嫁さんになるんです、奥さんたちはみんなアキシオン持ってますから、婚約指輪みたいなものでしょ?」
って雨崎さんが言い出すんだよね。違うじゃん、葉山経由で欲しいっていうから、確かに君の突きなら必要だね、って事で渡したんじゃん。
「テメ! 秋! なんだよお前は! ちょっと気に入った女の子いたらすぐにアキシオンを渡してるのかよ!」
ってなんかもう逆鱗に触れたみたいになってる。
やばいなあ、これ完全に春夏姉、ブチ切れモードだよ。
ああ、もうこれで完全にここから出れないじゃん。
いや、もう、本当に誤解だってば。
必要な人に必要なタイミングで必要なモノを渡してるだけ。
なんて言っても絶対に人の話なんて聞かないから、こうなった春夏姉は最悪だよ。
「秋! 出て来い!」
ついに索敵を開始し出した。
「今は出ないほうがいいですよ」
っといつの間にか、あの謎の彼女が僕の横に来てた。
「いや! ちょっと、屈んで、ここに君がいたら見つかっちゃうじゃん」
って、割りと真剣に焦って言ってしまった。
すると、謎の彼女は笑って、
「秋さん、私、名前がついたんですよ」
とか言い出す。
「え? そうなの?」
いやあ、それはよかったね、って感じなんだけど、今はそれどころじゃないから気もそぞろになる僕だったりする。
「つまり私は北海道ダンジョンから完全に分離されたってことです」
って笑顔で言うんだよね。
そっか、じゃあ未だ名前の付かないうちの妹とかは、未だダンジョンの一部って解釈でいいんだろうか?
え? それどう言う事?
って疑問を抱くていると、
「今は東雲 真冬ですから」
って本当に嬉しそうに笑うんだよね。
「あ! 秋、そんな所にいやがッた!」
「うわ! 来た!」
って思った頃にはもういたよ、僕の目の前に!
と言うか、春夏姉の豊かな胸が、僕の眼前に迫っている。これ、この間合いの詰め方って、きっとサムライのスキルなんだと思う。
「よお、秋、元気そうだな」
って言われる、もちろん、瞬間に目を逸らす。すごい怒ってる。もう顔を見なくてもわかる。
そして、
「ちょっと元気すぎるんじゃないか?」
って言ってる側で、
「魔王さん!!」
ああ、こっちも早い、遺憾無く自分の能力を全開にして僕に接近して来るよ雨崎さん。