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第90話【アキシオンがいっぱい】

 本当に、どうしてこんなことになってしまったんだろう?


 僕はなるべく身をかがめて、荒ぶる人たち、もう天災クラスて暴れまわる人たちからなるべく発見されない様に、じっとその部屋の片隅で木石の様に意思すら消しさる様に固まっていた。


 よかった、ここに宝箱とかあって。


 しかも大きいし、すっぽり隠れる。


 一番、話がわかりそうな人。


 でも完全にケツにきた!


 って感じで怒ってる。


 それでも彼女は言い続ける。


 「だから、私、そんな人知らないし、関係もありません!」


 すると、その人に鋭い突きを入れながら、


 「じゃあ、なんでアキシオンを持ってるんですか? 説明してくださいよ!」


 と丁寧に語りかける彼女ではあるが、その質問者に対する攻撃の威力は全く侮れないものがある。


 完全に人を殺せる突きだよ。


 「そう言うお前もだよ、なんだ、レイピアタイプのアキシオンって、ふざけてるのか!」


 とフランベルジュを振り回すのは僕もよく知ってる、春夏姉だった。


 「そこに隠れてる奴、お前にもあとでゆっくり話聞くからな」


 ってこっちを一瞥もしないで言われたよ、ばれてるよ僕、ここにいるの。


 「あ、魔王さん、いるなら出てきてくださいよ」


 って雨崎さんが気さくに声をかけて来る。


 「こんなところに魔王はいません、今も居城につめてるってギルドから情報を得てます」


 彼女どっかで見た事あるなあ……。


 ともかく、3人、どう言う訳か言い争っていると言うか、もう完全に斬り合ってる。


 「アキシオンの大剣タイプってことは、あなた、東雲春夏さんですね」


 と綺麗に春夏姉の切り込みを交わしながら、雨崎さんはそんなふうに話しかける。


 「だったらどうなんだよ? それがお前に関係あるか!」


 斬撃以上の大声で斬り付けられながら、その細い剣で器用に受け流しつつ、雨崎さんは言った。


 「いや、ほら、正妻さんに挨拶を忘れたから怒ってるのかなあ、とか」


 って申し訳なさげに呟く様な言葉が、春夏姉の怒りの炎に油を注いでいる。


 「ふざけんな!」


 そして、


 「秋! 私はお前をそんなふうに育てた覚えはないぞ!」


 って言われて、


 「え? 私ですか?」


 って、真剣に、本気で僕の事を心配してるから尚更、もう一人の子が言う天然のボケな一言にカチンを通り越して、ガチンと来たらしくて、


 「シャシャリ出てくんな!」


 って春夏姉はさらに怒りを燃やしてる。


 すると、その子の仲間なんだろうか、少し距離をおいて、そんなやりとりを心配そうに見つめていた二人のうちの一人の女の子が、


 「愛生!」


 って叫んで、


 一瞬、????ってなった春夏姉が、しばし考えた後、


 「なんだ? お前、アキって言うのか?」


 と自分に斬り込まれて、まともに受けてしまって力で押されて体勢を崩す女の子にそんな事言ってた。


 そして、


 「じゃあ、なんだ、秋と付き合ったら、おんなじアキちゃんか?」


 ってなんか一瞬、ほっこりとして笑顔になったのも束の間、更に般若の様相になって、 


 「ふざけてるのかテメーは!」


 って、理不尽な怒りをぶちまけてた。


 いや、名前が同じって、別に彼女がふざけてるわけもないから、言いがかりも良いところだよ。


 「秋! テメー出てこい! 今日花に変わってヤキ入れてやる!」


 もう怪獣が咆哮を上げる見たいに叫んでるよ。


 出るわけないじゃん。今の春夏姉の前になんて出る訳ないじゃん。


 ともかく、僕は今、かなり緊迫している状況に追い込まれていたんだ。


 一体、どうしてこうなったって話からなんだけど、ほら、この前さ、八瀬さんが『英雄』がいるなあ、なんて話から、表の方でダンジョンウォーカーと言うか、今回、生産された勇者をまとめる顔が必要だなって話になって、僕らはそんなちょうど良い人を探していたんだよね。


 今は深階層の一室。


 なんでか僕が見つけた時にはみんなで仲良く斬り合ってた。


 特に共闘も一騎討ちもないんだけど、春夏姉と、滝壺愛生さん、そして雨崎さんが、順番にというか、自分以外はみんな敵な感じで三つ巴みたいに戦いあってる。


 一体、なんなのさこの状況は?


 特にさ、春夏姉の醸し出すオーラというかその怒り見たいのに当てられて、僕は咄嗟に物陰に隠れてしまったんだよね。


 いや、だって、怒ってる女の子の前に立つなんて、僕に出来るはずがないんだよ。


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