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第89話【混ぜるディア君がここにいる意味】

 僕はギルドで待っていてくれた真希さんにそんな報告をして、その横では八瀬さんが青ざめてた。


 「結構戦力差があるね、大丈夫?」


 見たいな事を言われたけど、まあ、向こうは本物の魔物とかな訳で、かつて数匹とか数人でこっち側に来ては、世界に大きな事件や今も尚も伝説や伝承として残してる様な人達だから、それが大挙してやって来る訳で、だから僕としても大丈夫だよ、とは軽くは言えなくて、「どうだろうね」って曖昧な返事になる。


 この後に及んで、双方に全く無傷なんてあり得なくて、だから、


 「もう覚悟を決めるべさ」


 って真希さんが僕の代わりにそんなふうに言っていた。


 すると、八瀬さん、


 「布陣を、少なくとも防戦と言う形になる訳だから、こちらとしても布陣を考えないとダメだ、数の上の有利は未だ僕らにあるんだろ? なら、ここはきちんと考えないとね」


 そう言った彼女の顔は、いつになく真剣で深く考え込む様にしていた。


 この辺はうまくやってくれるだろうと僕は考えている。もしかして、真希さんがギルドと言うかダンジョンの運営から一歩引いているのは、こういう風に八瀬さんを動いてもらう為なのかもしれないって思ったら、もう既に、真希さんの中ではこの異世界に対するこちら側の形というものができているのかもしれない。


 その上というか、僕が勝手に考えてる上で、真希さんは言うんだ。


 「それでも要になるのはやっぱりアッキーだべ、ともかく落ちて来ながら崩壊して行くその異世界をなんとかしないと、それ以前にこの北海道が埋まっちまうべ」


  異世界は、現れた瞬間に崩壊を開始する。

 というか、もうここが限界であって、きっとこちら側の世界に顕現する頃にはもうすでに島とか陸なんて呼べる代物ではなくなっていて、既に、大量の土砂になってこちらに流れ込んで来るって予想ができる。


 本当なら、一回、こっちから行けたらよかったんだけど、木村さんの話によると、行くのは割と容易で、帰るの不可能な話をしていたからその辺は無理みたいなんだ。


 そして、ここに来て、僕はある程度の向こう側の作戦というか企みに気がついていたんだ。


 それは、こちら側にディアボロスくんがいるという事。


 このタイミングで彼がこっち側にいるって事。


 つまりは、こっち側で彼を運用して良いって事で、それは同時に彼ら異世界がわの意図として透けて見えるんだよ。


 ただ、異世界側にも強硬派というのが存在していて、その立場や能力から、絶対にこちら側に汲みしないものたちもかなりの数いるんだ。


 そんな人たちは、躊躇なくこちらを攻めて来る。


 目的は占領。


 僕達の世界を新たな自分たちの世界にするための、その天変地異にも近い力を行使して、ここ北海道を手に入れようとしている、って木村さんは言っていた。


 つまりわかりやすく敵対する意思って事だね。


 そんな状況下の中、僕らの取り留めのない話ありは続くんだけど、八瀬さんが、


 「英雄がいるなあ……」


 ってブツクサと言っていた。


 「真壁がいるじゃん」


 って葉山が言う。


 すると八瀬さんは、


 「いや、彼は英雄ってタイプでもないし、そもそもが魔王じゃない」


 ってはなっから論外な感じで、話にならないって言い方をされる。


 まあ、僕もそう思ってるけどさ、でも、こうして改めて人に言われると、なんか釈然としないものがある。


 「あ、気を悪くしたかい? でもそうでしょ?」


 よく、そんな意地悪な顔できるよなあ、このお姉さん。それでも笑顔の形でニヤって笑う。


 「君はさ、以前の僕と一緒なんだよ、わかるよ、諦めてしまった、納得してしまった僕とは違って、この状況でも決して諦めてたりはしないんだよね」


 本当に嫌な人だよ八瀬さん。僕の顔にそう書いてあるって感じて言って来る。でもこれってきっと心を読まれている訳でもないんだ。


 正真正銘、この人の底意地の悪あさから来る分析みたいなものなんだよね。


 「だから、彼に責任とかくっつけるの止めてあげようよ、北海道は守つもりみたいだからさ、好きにさせてあげようよ」


 と続けて八瀬さんは言うんだよね。


 「そのための『勇者生産計画』だべさ」


 って真希さんも言うから、ここはさ、余計な事を言わない様にして、肯定も否定もしないでいた。


 きっと僕の企みなんて、この人たちにはすっかりお見通しなんだろうな、絶対。


 でも止められてないから、この辺は好きにやらしてもらうよ。


 いつの間にか横に来ていた葉山が、普通に笑ってるから、少なくとも葉山の問題は解決って形でいいと思ってこの時点ではホッとする僕だったよ。


  


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