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第85話【僕も知らない僕の最大の禁忌】

 あ、でも北海道の地名入りTシャツとかはかっこいいかな、ちなみに勇者計画の一環である聖剣にもその名前が使われてるよ。『羅臼』とか『跡永』とか、『神恵内』『斗満』とか、もう音の響きもかっこいいよ。


 僕が、木村さんの情報に、取り止めのない思考を拡散させていると、


 「まあ、私くらいになるとな、この世界でもこの様に上位である苗字を名乗れるのだ、この世界に置いて、一番であるのはもちろん『佐藤』だ」


 とか言う。


 さらに木村さんは、その知識をひけらかせる様に、まるで自分たちの勢力を偉業を自慢するがごとくに、


 「それは、我が世界の三柱神の御身に頂いた苗字であり、かの方たちは、その名までいただいている、偉大なる佐藤の苗字だ」


 とか言い出す。


 あれ?三柱神って以前はアモンさんに、今は角田さんのゼクス様に、うちの妹、最近はディアボロスくんもだよね。


 そもそも、彼らは佐藤なんて苗字名乗ってたっけ?


 ちょっと考えてみる、そして思い出してみる。いや名乗ってないなあ。


 ってことはさ、三柱神は僕らが知っている三柱神とは異なる神様が他にいるって事?


 佐藤なんていたっけ? と言うか、佐藤さんって北海道でも多い苗字だから数限りなくいるとは思うからきっとダンジョンウォーカーの中にも多いと思うんだよね。


 でも、なんだろう、なんか引っかかる。


 北海道ダンジョンの中にいる3人の佐藤。


 なんか身近にいた様な気がするんだよなあ。


 そして、木村さんは、悩む僕を見て、どこか気分がよくなっているのか高揚する声を張り上げて言うんだ。


 「天の時により命を、地の利により空間を、人の和により法を司り、今でもダンジョンを支配しておるわ、創造神である『地底に横たわる名もなき偉大な白き神』など所詮、創造の奇跡、来るべき時に真にダンジョンの力を振るうのは、我らが三柱神なのだ」


 言ってる意味が半分以上わからないけど、彼らが言う所の僕の視点で見た春夏さんを見下しているのはわかる。


 だからちょっとムッとする僕なんだけど。


 まあ、そんなことはどっちでも良いや、少なくとも今は考える時でもない。ともかくこの木村さんをどうにかしないとって思った。


 北海道の上空にある異世界から、既に堕ちてきて、敵対している初めての魔物だからね。それなりの地位があるって事は、結構強そうだし、どんな攻撃をして来るかなんて想像もできないからさ、少なくとも、ディアボロスくんよりは強力な魔物の雰囲気はあるしさ。


 一応の用心。


 でもって、その野獣に近い顔を器用に笑顔に歪ませて、その木村さんは言うんだ。


 「貴様の弱点など、ディアボロスから聞いておるわ」


 って、もう勝ち誇った様に言うんだよね。


 僕の弱点????


 僕が苦手とするもの??


 あ、まず、真希さんの顔とか浮かんじゃったよ。


 苦手じゃないよ、真希さんは苦手じゃないんだ、やり難いだけで。


 「そして、お前が不得手とする物は既に手に入れておるわ」


 とか言う。


 いやあ、なにしようとして来るのかまるで想像できない。


 他に苦手な物ってあったっけ?


 ディアボロスくんからって事は白馬さんからで、その辺になると、三爪さんも絡んできて、三爪さんって事は、秋の木葉の人たちも含まれるから、その辺が指摘しているなら、その苦手とう言うか弱点的なことに割と本気でビビってる僕だったりする。


 こう言っては悪いけど、正直、強さ的に言えば木村さんはそうでもない気もするから、その木村さんの切り札がちょっと厄介だな、って考えていると、その木村さんは、手の中から、一枚のA4紙くらいの紙取り出して僕の方に向けた。


 まるで瞬間の閃光。


 気がついた時には既に木村さんは倒れて、その手にしていた一枚の紙は、最新式のシュレッダーなんか目じゃないくらい細かく分断され、いやしていた。


 そして、その時、木村さんのやろうとしている事を理解した僕は、その恐怖に、全てが終わった瞬間から、ゆっくりと僕の身に伝搬して来て、薄寒さを覚えた。


 よかったよアキシオンさんがいてくれて、お陰で、光の速度すら凌駕できた。


 「いえ、私、何もしてませんが、進級テストのー8点という点数入りの解答用紙を見た瞬間の後先考えないオーナーの振るう慌てる切っ先が光を越え始めたときに、過剰になったエネルギーの処置と周辺の分子を保護しましたが、それ以外は何も」


 ……そうかもしれないね。でも本当にこいつはヤバイかもしれない。


 「アキシオンさん、この前、ブラックホール作ったよね? あれどうやったっけ?」


 こんな手段に出てくるなんて、この木村さん、重力崩壊の渦にでもぶち込んで、原子崩壊でもしてもらわないと安心できない。


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