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閑話12【かつての英雄少女と石狩川とダンジョンの子供達⑥】

 その音に混じって、得体の知れない意識が、ここにいるかの如く雄弁にこう語りかける。


 「優しい子、秋くんみたい」


 この時、初めてその意識が、このダンジョンに接している足、その穏やかな大気に触れる体と、視界を収める目、時折風を切る音が聞こえる耳、何よりこの室内に充満する水の匂いを感じる鼻、その全てからやって来ているのを愛生は感じていた。


 何よりその感情が聞こえた気がしたのだ。まるで微笑む様に、そして喜びに満ちて、彼女はそう言ったのだ。


 何より、音の様に伝わるその言葉に、愛生は、あの時突いた、『秋』の一文字を思い出していた。


 どうしてかわからない、でも、神経伝達するその速度と意識の流れを自覚できた。


 この瞬間、愛生の意識と行動は、光子の波まで加速されていたのだ。


 そして、この広い室内にある全ての人、物、モンスターの距離が消失する。


 愛生の体に刻印される様に身についたスキル。


 いや、与えれれたダンジョンからのギフト。


 スキル同士の優劣であれば、このスキルに対抗できる単一スキルは無いほどの性能を持つ。 


 『光子舞踏(フォトン・ビート)』 他に類を見ない強力凶悪なスキルの誕生であった。


 ギルドの会議室では、和気藹々と釣りをする異造子達と、元英雄陣の滝壺 愛生、そして、未だ顔に白粉を塗り描くられている、出来の悪いピエロの様な姿をした真壁秋の映像が映し出されていた。


 例の如く、現場である石狩川と、ここを空間転移の技術で繋いで、モニタの様に利用している。


 その姿を見守るのは、以前このこギルドの中心にいた、今は引退している工藤真希、そして、現在の代表である矛先八瀬、同、河岸雪華、のギルド側に、魔王側として、魔王側近筆頭者(本人談)の葉山静流、多月 蒼、松橋 瑠璃、そして、この人はどっちだろう? の喜耒薫子がいる。


 今回は、その中でも河岸雪華の提案によって、現在投影されている画像の対象人物、滝壺愛生がその観察対象として選ばれ、この様な事態となっている。


 今の段階をフェーズ3として、とある組織の作戦が進められているのに対して、今後の判断と対応、何よりその組織に対抗するための証拠集めが進められている最中なのである。


 この情報の掴んだのは、魔王軍参謀を名乗る河岸雪華。


 「今、滝壺愛生に起こっている事は、偶発的な事象ではなく、計画的にすすめられている事です、海賀は、有用なスキル持ち、もしくは強力なダンジョンウォーカーをメンタルな方向から叩き潰しに来ていると言う事実がハッキリしました」


 海賀と言えば、この国に君臨する5大財閥の一つで、かつての経営者が問題発言をして辞任、知らない人はいないくらいの有名な海運を中心として世界を股にかけるトップ企業である。


 その時の問題発言の内容は、『この国に、財閥は5つもいらない』だったと思う。


 和を尊ぶこの国の中では、その発言は問題視され、当時の会長はこの発言を機に引退に追いやられたと噂されている。


 現在はその息子がその位置にいるらしいと言う話は世間でもよく知られている事実だ。


 「多くの年齢層、概ね北海道人口の8割での検証によると、確かに一般から集った英雄陣の中には、その装備や、難癖とも言える理由から、対象のダンジョンウォーカーのいる家庭まで崩壊させている事例もあね」


 と言うのは、真壁秋最大の諜報集団、現在はギルドの広報でもあり、概ねダンジョン内では面倒見の良いお姉さんと知られる、『真壁秋を世界へ発信する』を目的に持った、俗称、真壁秋ファンクラブ、ダンジョン内での世話役、そして真壁秋を見守る会の会長として日夜、陰日なたなく無条件で応援する、自称、『魔王の調査室長』、田丸 美琴である。


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