閑話10【札幌(大通公園)紛争に関するレポート④】
つまり鋭意継続中と言う形を取れれる、つまり国民に向けては、「この問題については、一応は頑張っていますよ」と言う形を取られた事になる。
だから、決して対処していないと言う事でないのだ。
もちろん、この処置には色々と痛い目にあった組織や個人には口に出せないでいるのもまた事実であった。特に、人工衛星を兵器に転用するのは、条約によって禁じられている為に、自称、魔王の剣によって全ての証拠は抑えられている為に、そこに大義など出せる状態ではなく、二つあった衛星のそれぞれの国は、どちらか一方に情報が公開された場合には、世界のパワーバランスが、それを支える政権がひっくり返らない事態にもなってしまうので、戦々恐々としているというのもある。もちろん、剣を名乗る懐刀とも言える人物は、そんな効果を見越して悟らせているので、全く動けず、今回の事件はなかった事にしておきたいくらいらしい。
つまり、現在、権威とか権利を主張こそしていないが、真壁秋は全世界に公認されている魔王という事にもなっていた。
しかも、一部報道によると、彼の持つ組織は世界のマスコミを利用して、もともとあったファンクラブを世界に拡散して、その会員数を爆発が如くに増やしているという話もある。一部、カルトと指定するものの、すぐにその枠も解除されてしまい、何より、教義も危険思想もなく、各国にTシャツやらペナントが売られるくらいなので、現在は放置されている。
また、各国政治家の間にもその輪は広がっていると言う。
何より、北海道にダンジョン目当てで留学を希望するものたちが増加していると言う。
中には、子供を中心に家族で北海道に定住する人間も増えていると言う。
北海道の人口は激増し、初心者用とも言われる大通公園は、常にお祭りの様にに人が、ダンジョンウォーカーがあふれる時代に、と思われたが、それにはダンジョンが対応し
た。まるで都合のいい様に、的確にゲートを増やしたのだ。
札幌の隣である北広島市にはボールパークゲートが出現、江別市にも野幌森林公園ゲート、旭川駅前ゲート、富良野ラベンダーゲートそして以前から外国人が多くて有名だったニセコにはアンヌプリゲートが出現して、札幌の各所入り口周辺の混雑は緩和されて行った。
しかしそれは同時にダンジョンの管理を預かるギルドも対応を迫られ、他の組織を取り込む、もしくは協力を要請する、そして大規模な人員の補給を強いられることになった。
現在も尚、対応は続けられている。
ともかく順調に物事は進んでいる中、問題もいくつか浮上している。
特に、北海道の中で常用化しているのがモンスターの問題である。
ペット化したモンスターの北海道外への持ち出しが相次いている。
特に多いのは新しい犬種として登録をした方がいいのではと言われるヘルハウンド。
このモンスターは人に飼われる事で、小型化(本来は大型犬クラス)ポメラニアンクラスになって、賢く人に懐くことから、広範囲に人気が高く、表向きではないものの、ネット上では高値で取引されている。
もちろん、これには北海道行政も、モンスターの拡散、帰化生物化によるところの、持ち込まれた場所への自然被害など多くの観点から禁止している。ヘルハウンドをはじめとする、比較的、持ち帰り安く、人気が出ているモンスターとしては、紙ゴーレムなども人気がある様だ。
場所を取らない、紙だけに丸めておける。
何より主人となった者の命令には従順に答えるなど、一部セレブの間では爆発的な人気で、古紙によるゴーレムが高値で取引されていると言う。
特に和紙の入った物、頭の文字が漢字で書かれているものが人気があるそうだ。
これらの例を顕著とな物とせず、一部の勢力がいうところの、ダンジョンによる汚染は、つまりのところが、ある意味現実の物となりつつあるようだ。
これらにより、北海道の観光客は倍加していて、北海道観光協会も対応が追いつかない現状もあった。これには政府指導による新しい第三セクタの設立が噂されている。
政治家、そして、有識者からの意見は北海道ダンジョンの管理をギルドに一任していたという反省も込められていた。
つまりは、ダンジョンが外に漏れだす原因を作った魔王の誕生を許してしまった責任は大きいという意見が出されている。