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閑話10【札幌(大通公園)紛争に関するレポート②】

 決定内容は、暫定的ではあるが【魔王 真壁秋】の認定と対応、各省庁への伝達、北海道庁への、この案件に対する対応の申し送りと、追加調査の依頼についてだった。


 事実上、この案件については、北海道庁が預かることになり、今後、実対応は全て道政が行うことになった。と言うか、言い方を変えるなら、つまり全権を押し付け擦りつけられたのである。


 国の方針としは、簡単い説明するすなら、『影響ないみたいだからこのままでいいよね』『危険かもしれないけど今は危険じゃないし』的な? そんなフワッとしたところで落ち着いている。例を挙げるなら『安全な原発』みたいな言い方かもしれない。


 結局の所、問題の人物は魔王を名乗り支配を明言するものの、実効性もなく、また悪影響も無い。


 魔王が提案したのは二つの事案だった。


 魔王とも思えぬ腰の低さで「お願いがあるんだけど、いいかな、ほら僕、札幌守ったし、街にも被害出てないでしょ?』と言い出した内容は、札幌市上空(1000m〜500m以下)の空域の使用の許可。


 空港、自衛隊基地、高層建築物など、特別な場所を除く事を条件に問題はない事を伝えると、その日のうちに、札幌の大空を巨大なドラゴンが舞うようになる。


 その盛大な光景の前に、マスコミが押し寄せ、また北海道としても新たな観光スポットとして、『ドラゴンが舞う街、札幌』を前面に、観光に力を注いでいる。


 もう一つが、魔物と呼ばれる、かつて国連から指定された『魔物』の中でも人にその特性が近いも(外見に囚われず、意識的な物を含む)のたちの中から、希望する者達(これは以後、人の形状に限らず表現はできずとも明らかに意思があるもの、もしくは思考するものに拡大された)は、札幌の市民権と同時に、国籍を与えるように申し入れられた。


 これには、苫小牧や小樽、函館等の漁業組合、家畜共済、農協からも多数の意見陳実書などが多く寄せられていて、各団体に法務省から窓口を作り受付を開始している。


 彼らは皆、外国籍ではないものの、それぞれ例外的に生地主義による取得及び帰化による取得も認められている。よって、望む者があるなら、全て受け付ける方向性でいるようだ。特に、ダンジョンで産まれ、現在は北海道札幌市で生活する、俗称【異造子】と呼ばれる子供たちは、直ちに国籍を与えられ、今は北海道民として生活を開始している。年齢によって各学校の転入手続きが進んでいると言う。


 つまり、要求とはいうものの北海道魔王の申し出は、北海道ならびに国に多大な利益をもたらし、また、昨今、少子化に悩む我が国にとっては問題解決の糸口にもなっていたので、すぐさま法案は通され、瞬く間に現実のものとなった。何より、人と魔物の間にも生まれてくるのは異造子の様な人としかみれない特に魔物の特徴(表面上)などは皆無の子供が期待できるために、結婚の高年齢化防止にも一役買っている面もあるので、むしろ大助かりな事ばかりであった。


 つまり、結局のところが実害はないのである。


 もちろん反対する団体はあったものの、北海道ならびに行政からの適切な対応で処置できた。また、


 この団体の中には、今回の事件の切っ掛けを作った、運営上、届出上平和主義者、人権主義者を名乗る、特定の団体、方向的には方針的には差別主義者(カルト的)の団体が多く存在し、そのあぶり出しにも成功し、現在はそれを解体、追放にも向かっている。


 また、真壁秋が魔王を名乗る様になってから、札幌周辺や、その他の地域に点在する様になった魔物達もまた、北海道ダンジョンに集まり、長らく、地上に混ざって隠れて生活していた魔物達と地域の問題も収束した。


 与野党超党派の中には、真壁秋を国家認定『魔王』にして、北海道ダンジョンを国際NPO に指定格上げして、予算をつけてはどうか、とまで論議は拡大している。


 また、征服、支配などのワードに敏感な野党を含む各団体からも否定的な意見が上がってくるが、現実を踏まえて議論すればするほど、それらの意見が的外れなことが浮き彫りとなっている現実が見えて来るのである。


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