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閑話10-1【札幌(大通公園)紛争に関するレポート①】

 あの悪夢の様な、今は『北海道ダンジョン紛争』と俗称で呼ばれる戦争から、半月ほど経過していた。


 その名称も、政府指導の元、マスコミ各社で右往左往した結果、公的には、『北海道係争(北海道vs北海道ダうンジョン)平和的介入事案』と言う、あくまで「戦争ではない」という事になって、長い名前で呼ばれているのであるが、そこはマスコミも一般市民も、遠慮なく『紛争』と呼んでいる。


 とはいうものの、政府の捉え方としては、『被害が出ていない』=『破壊攻撃無し』=『そもそも攻撃じゃあない』=『戦闘にはなっていない』=『なんだ、紛争じゃあないじゃん』というか超展開な結論となって、各方面とも無理やり丸く収めている。


 あれだけの戦闘があったというのに、すでに札幌の街は日常を取り戻していた。


 あの銃撃、あのミサイル、そして落とさようとしていた衛星兵器。


 被害といえば、道路や、公園内には数発の銃弾や榴弾のかけらもなく、ちょっと大通り公園の芝生が痛んだくらいであり、こちらも特に手を加えることもなく、自然に治るだろうと全く市行政の手を煩わせてはいない。


 何より、住民、そして敵・味方の兵士の被害は皆無である。


 被害といえば消費された弾薬くらい。


 通常なら喜ばしいことでもあるが、この突きつけられた事実をどう受け止めてよいいのか、世界はこの国を中心にこの度に出来事に対して答えというか結論を出しかねていた。


 特に一国を滅ぼせる火力を遺憾なく発揮した国は、莫大な予算を使ってもなお、この札幌の、今にも落ちそうな老朽化したビルの看板一つ落としてはいないのである。


 各国の専門家の分析によると、攻撃は一方的に行ったものの、一人の少年から出力される防衛戦闘能力は圧倒的であり、エネルギーとして換算するなら、あの時の状態でなお、投入された部隊の概ね5、から最大で15倍程度と言われている。


 また、彼の攻撃の範囲についての専門家の意見は、広範囲にしても戦力が分断や拡散により低下もなく、推測の域を出ないものの、この全世界のどこにだろうと届くという一応の結論が出ている。


 何より、あの戦いでの攻撃対象である少年A(未成年であるために国連会議では本名は伏せられている)が自ら積極的に侵略を開始した場合の趣味レーションは、ほぼ2日で世界征服を完了できると試算されている、もちろんこれはあくまで可能性であり、対抗しようと考えない国や地域の状況に応じてこれよりも早くなるとも言われている。


 とはいうものの、撤収してからは、何ら反撃も報復も無く、また、その係争地になった国からもなんの問題提示すらない。


 国連会議場は、ただ、定刻までの時間、一応は発議応答はして会議をしてます体を続ける。結論なんてこの議題に出るわけもないのだ、というか、国連自体が正しい結論を出すような組織ではない。


 各国の無難な顔ぶれは今日も、難しそうな顔をして、座している。

 結果、国連はこの事案の結論を、彼を保有する国に一任という事になり、次の議題に移った。


 それは、人工衛星の軍事利用案件である。


 現在、各種条約により衛星の兵器的利用は厳しく禁止されている。


 正体不明の存在から送りつけられた写真の映像により、このような大きな条約違反が発覚したのであ。もちろん、どこの国かまでもその写真にはわかるように撮影されていない。


もうちょっとで、その特徴というか、それらしい場所が映るんだけどなあ、という絶妙な角度で撮影されていて、鮮明にしてど迫力な映像は、まるで、一緒に落下しているかのような、一緒に軌道を回っているかのように見える。


 その条約違反に対して犯人探しの結論の見えない駆け引きは今日も続けられている。


 つまり各国というか議長国を含む大国はそれどころじゃないのである。


 そして、問題を申し送られたわが国では臨時国会が開催されていた。


 と言うか、今終わるところだった。


 未だもめている他国とは違い、この国の政治家は納得できるできないに関わらず、ひとまず無難に他に影響を及ぼさぬ様に、なんとなく纏めるのは得意なのだ。


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