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第58話【検体としての僕達】

 研究者としてやっている事はどっちもどっちだけど、規模を考えるとこの時点でも雪灯さんのやってた事はどうかとも思う。


 今は結果オーライだけどね。それでも、この種の人たち。研究や探究を生業にする人達の考えることって、まともな人格を持っていては、と言うか元々持ってないか心の大事な部分が欠けてないとできないことって気がして来るから、深く考えてみるとその危うさにゾッとする。


 それでも、葉山を使った『スキル』の研究の事実を知った時は、そんな雪灯さんですら、同じ子供を持つ親として、驚き、そして憤ったらしい。


 当時の葉山は既にその移植されまくった他人の部位と、数々の実験のおかげで相当肉体的にも疲弊していて、そんな事実を知った雪灯さんは、「流石に限界では無いですか?」みたいな事を、直接、企業グループの頭である海賀会長に顔を見て提言したらしいんだけど、知らない、もしくはしらばっくれると思った雪灯さんだったけど、これは企業グループの一研究者が行っている事ではなくて、どうやら、海賀の経営者一族主体の元行われていたって話なんだって気がついたらしい。


 しかも確信的にやっている事だって知ったんだ。


 その海賀の会長は、


 「代わりはいくらでもある、対して有益でもない人間なんて有象無双にいるだろ?、それにこの案件は大体罪に問われ事もない、生まれていないはずの人間だ」


って、当時も70歳を越えた会長は、とても好々爺な顔して言ったたそうだ。


 彼はこの手の言葉の後に、必ず言うのが、


 「人類の進歩には多少の犠牲はつきものだろ?」


 とつけく加えるのだそうだ。学者さんにとって、この言葉を否定できる人はいないって、雪灯さんは言ってた。ちょっと残念な顔してそう呟くように言ってた。


 それは意識して犠牲を生むか、結果として犠牲が出てしまうのか? 卵と鶏みたいな問答になってしまうのだそうだ。


 そして、同時に雪灯さんは、海賀の行うこれらの計画の測りしれない闇の深さを見た気がした。


 それでも知ってしまった以上、その後は葉山の確保を急いだらしく、その続きは、あの時の騒ぎに続くんだ。


 雪灯さん曰く、一応はマテリアルブレードの限界突破(偽装金属からアキシオンへの原型回復)を目的に三つ巴を目指そうとしていた。


 この辺は一言で説明するのは難しいけど、3体に分かれたアキシオンはその使用者の相互付与のストレスを与える事で、その真価を引き出せるって考えていたらしいよ。


 だから、まずはアキシオンへの使用者の意思の出現、疎通、相互理解、って言う流れて、最終的には僕の身体能力と経験則を混ぜた白馬さんのフランベルジュ型のマテリアルブレイドがその扉を開いた結果になる。


 持っている時間が短かった白馬さんはともかく、僕だけがアキシオンさんへの変化を促せたのは、きっと接触の仕方、多紫町での初代微水様との邂逅、何より、アキシオンさんと相思相愛なところが良かったらしい。


 自覚ないけど、まあ、最初からアキシオンさんは剣として、僕に誂えて造ってくれてるみたいだし、『使う』、と言うより『一緒』ってイメージだからかな? だからこそ思うけど、最初こそ、傘立に入れててごめんね。反省はしてる。


 まあ、僕の方はいいや。


 その後、葉山の肉体の管理も含めて、大柴の北海道ラボでやろうとしていたらしいんだ。


 もちろん被験隊として大切に扱って、人権も尊重するつもりだったんだって。


 あの時の雪灯さんはとてもそう言う風には見えなかったなあ。


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