第56話【すでの異世界側の海賀とそのグループ】
なんでも、最近なんだけど、大柴グループの総裁だから雪華さんのおじいさんに、彼女を中心に戻せなんて話も出てて、すでに企業全体のトップとして、雪華さんを求めてるらしいんだってさ。だから、世界に名だたるグローバル企業を割と自在に操る事もできるらしいんだよ雪華さん。もうすでに、おじいさんの名代としても活動することも許可を受けてるらしいんだ。
こうしてみると、ダンジョンで、っていうか僕の知り合いで、一番、進歩というか進化を遂げてるのって雪華さんかもって思っちゃうんだけど、そんな雪華さんも、真希さんに、「あとはお婿さんの心配くらいだべ?」って言われたら、その横の雪華さんは、「はい、もうすでに心に決めた人が!」とは言って、僕を真っ直ぐ見つめてたけど、やっぱりさ、雪華さんの実家って、財閥で華麗なる一族さからさ、きっと婚約者とか、許嫁みたいな? そんなのがいるんだろうなあって、そうなんだって思って、「よかったね」って言ったら、感極まったのか涙ぐんでたなあ。
まあ、そんな話はいいや。
ともかく、そんなひどい海賀の魔の手にも今は対応しているらしいって話で、今は葉山の方ね、その基礎研究機関の方。
以前は比べ物にならないほどの大きさで、内容だったから、当たり前と言えば当たり前で、そのグループ傘下で、特に医療の部分の協力企業の中には逮捕者、そして、まだ裁判が始まったばかりだからわからないけど、極刑になる人間も出て来るらしい。
生命倫理の問題どころか、文字通り、実験と称して殺されている人間も今の時点でかなりの数出ている。当然の報いと言えば報いだろう。
会社として命令されているから仕方なく、なんて理由は通用しないって、いつもニコニコしている雪灯さんも言っていた。
もちろん、同じ海賀のグループでも、これらの事件を全く知らない人もいる、そんな人には罪は問えない。
だけど、特に医療に携わっていた人達が、どこからともなく持って来られる臓器やそれらの一部が、人の手で作り出したとは言え、生きている人間から取り出された物だと言う事実を知って、カウンセラーが必要なほど、心に大きな衝撃を受けているらしい。中には二度と立ち上がれないくらいの人もいるって話だ。
その傘下のグループ企業の何もかもが、海賀と名のつくものは全てなくなってしまうらしい。
以前、雪灯さんは、だから葉山の時ね。
『戯れ踊る竜と囁き歌う剣が凶つ部屋』での、一応、頂上決戦とか言われているあの戦い以前は、その時は海賀のやっている内容まで深く理解せずに、企業として協力の形を取っていた。
というか、海賀のラボは、あまり詳しい話をして来なかったらしいどころか偽の情報を流していたんだ。
もちろん、胡散臭さは最初から気がついている雪灯さんだったけど、この規模、このレベルの研究ならどこの企業体も探られたくない腹くらいはあるから、くらいには気がついていたらしいけど、それ以上は自分の研究の為にも互いに暗黙しあっていたらしい。
それに、その時はここまで酷くもなかったのもあった。
で、一方の雪灯さんと言えば、僕らの持っている剣、かつては3本で、今は4本になっている、マテリアルブレイドの被験者を探すのに躍起になっていて、一番、難しいとされていた双剣タイプの適合者が、海賀のスキル合成の被検体として登録されていた葉山だったわけで、結局マテリアルブレイドの実験は叶わなかったわけだけど、でもそれが原因となって海賀のラボを脱出するきっかけになったのだそうだ。
今でも葉山は当時の事は話したがらないけど、唯一、僕に教えてくれるのが、『剣に呼ばれた気がした』と言う事だった。