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第48話【悪夢、再び】

 あの、台車搬入勇者から数日後、本気の勇者がやって来た。


 今度は期待できるよ。


 だって、元、あの英雄陣の人らしいから。


 つまりさ、あのゾンビの大群に数と質量で押されて全滅するって言う最悪な経験を乗り越えてやってくる人だから、きっと期待はできるって思ってた。


 「じゃあ、今日は自分が行こう」


 と白馬さん。


 続けて、


 「四天王最弱だからな」


 と付け足していた。


 ん? 四天王??? いつそんな括りができたんだ?


 まあ、いいや。


 で、白馬さんが出てくれたけど、全く歯の立たないって状況だった。


 相手じゃなくて白馬さんが、普通に負けてた。と言うか瞬殺されてた。


 普通なら、そのまま、勇者の一撃で、胸を突き刺されて、終了って形だけど、一応、白馬さんはディアボロスくんに指名された王でもあるので、何王だったっけ? 確か、クソ野郎さんから次いでいるから、愚王になるのかな? って思っていたら、愚王なんて王はいなくて、本来なら『勇王』もしくは、『蛮王』って言うのが正解で、このどちらかになるらしいんだ。


 ちなみに、能力の種類としては一緒らしいけど、人に支持される事で勇王、ただの乱暴者として、人に嫌われて蛮王になるんだって。


 それぞれ、賢王や聖王も同じく二面性を持っていて、別の呼び名があるらしいんだ。


 『理王』と葉山は、なんだったっけなあ、『性王』だったっけ?


 って思ってたら、


 「字が違うでしょ、真壁がそう思うなら別に私は構わないんだけどさ」


 とか言ってるから、何がどう構わないのか、わからないからちょっと変な笑顔になる。


 で、その王としての白馬さんは、ディアボロスくんからの加護みたいなものがあって、今のところは二人の中は良好だから、特に防御系に、高い耐性があるらしいんだ。


 オフェンスとしては皆無らしいけどディフェンスだけは大したもので、攻撃された所が、同じ力で押し返されるって言ってた。


 以前の大通り対戦の時は、そんなの出なかった訳で、一応、僕としても検証してみようかなあ、って思ったけど、完全に殺す気で剣を振るわないと、この効果は出ないんだって。


 防御系にしても変わった能力だから、何度か僕らも実感したくて試してみようとは試みたんだけどさ、でも、なんせ、相手がディアボロスくんだから、「失敗しちゃった」って言われて白馬さんを瀕死にするのも気が引けて、まあ、あるんなら、それにこしたことないからいいんじゃ無いかな、って言う証明が今された感じだね。


 本当に、ディアボロスくん、白馬さんの役に立ってたんだね。


 ちょっと感心。


 で、今は、様子伺いで、蒼さんが相手してる。


 だから、今、魔王城謁見の間では、派手に剣がぶつかり合う音が響いているよ。


 実際には拮抗してる様に見えるけど、ペースは蒼さんだね、しかも悟られない様にしているから、戦闘能力の上では、今来ている彼女は、蒼さんの足元にも及ばないってのはわかる。


 その蒼さんも、どこか浮かない顔をしているからさ、


 「どうしたんだろ?」


 って言うと、さっきまでの葉山とは打って変わって、その元英雄陣の彼女を見て押し黙ってる。


 だから、気になって、


 「どうしたの?」


 って、今度は横にいる葉山に聞いたんだよ。


 そしてたらさ、


 「ううん、なんでも無い、気のせいだと思うから、こんなのありえないから」


 とだけ言って、彼女と蒼さんの戦う様子を見ながら言う。まるで自分に言い聞かす様に、僕に答える言葉は、僕に向かってはいないのがわかる。


 嫌な感じがした。


 僕は葉山に関して、嫌な思い出と言えば一つしかない。


 まだ、葉山と茉薙がひとつだった状態の時の事、そう、あの事件だ。


 だから、


 「蒼さん、僕が変わるよ」


 と僕自信が前に出る。


 「いえ、大丈夫です、制圧します」


 と言って僕の方を見る蒼さんが、二人の戦闘領域に近づく僕を見て、何かを悟る様に、


 「お館様、御随に」


 と言って、下がってくれる。


 そして、僕は、玉座の横にいた薫子さんに、


 「雪華さんを呼んでおいて、大至急」


 と告げる。こういった時の薫子さんの反応は早い。しかも『どうして?』とか『何故だ?』とかも聞いてこない。


 ただ、何も伝えないで何も知らされない薫子さんは、今起こっている事態の重さを把握しているかの様に動いてくれる。本当に助かるよ。


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