第30話【え? 犯人僕じゃない? クロスクロスのあの二人? あ、ああ……】
また僕のせいにされたらたまったものじゃないからね。
「でも、ダンジョン内の有力組織が消えてしまったのは事実です」
って結論をサッとまとめて雪華さんが言うその横で、八瀬さんが「面目無い」とか言って頭を下げてる。
そしたら、葉山が、
「でも、これで良かったんんじゃない?」
とか言い出す。
「そうですね、ちょっと彼等は、そのうち、ギルドでも手を打とうと思っていましたから、同じダンジョンウォーカー同士ではなく、秋先輩側が対処してくれたことは良かったと思います」
って雪華さんが言うんだよ。
「そうなの?」
って僕は言い出した葉山に尋ねるんだけど、
「うん。だって、こんな暴力集団だったら、異世界接触時に真壁の言うところの守備にはなってくれないと思うよ、返って、全く違う勢力として何かしでかしてた可能性しかないもの」
って言うんだよ。
「本意か不本意か、結果か過程かはともかく、結果的に混沌と混乱を好む彼等が、仮に異世界側に寝返る可能性もありますから」
とか雪華さんも言うから、
「考え過ぎじゃない?」
って言うと、
「そうとも限らないよ、狂王様、あ、今は魔王様だったよね」
って来たのは桃さんだった。
だからもちろん瑠璃さんも来る。
いきなり現れるからびっくりして、
でも、ちょっと雰囲気ってのが違ってて、疲れてるってのかな、ともかく僕の今まで見たことのない表情をしていたから心配して、
「何かあったの?」
って思わず聞いてしまうと、彼女達、完全な魔王配下として金融市場に出てしまう結果になった為に、現状を頑なに守ろうとする、いわゆる既得権益なお金を一定な所に集めておきたい勢力に狙われ始めたらしいんだ。
つまり彼女達の危険が危なくなって危うくなっているって事だ。
瑠璃さんは相変わらず微笑んでるけど、ちょっと頭に来たので、サクッと行ってプチってして来ようかな、立ち上がってる僕の手には察したアクシオンさんが現れる。
すると、瑠璃さんはいつもの、余裕ってのかな、そんな表情で、
「やめてくれ、魔王、そんな事をされると私達がここに逃げて来た意味がなくなる、彼等を含めて、今後はそれも大切な市場なんだ、こっちはじっくり取り組ませてくれ」
って言うから、まあ、瑠璃さんがそう言うならって、ひとまず瞬間給湯してしまった頭を冷やす。
瑠璃さんの言う意味の半分くらいはわからないけど、まあ、そう言うならって怒りの矛先を収める僕がいる。
「ほら、魔王様、約束通りに僕らを配下に収めて、守ってくれるんだろ? 実行の時だよ」
って桃さんが言うから。
まあ、それはね、もちろんね、当たり前だよね。とは思ってるから。
「今後は、私たちは処点を『深札幌』に移すからね、頼んだよ」
って瑠璃さんに言われるから、そうだね、普通に世界の金融市場が敵になってるなら、ダンジョン内にいてくれた方が助かる。
でも、瑠璃さん周辺の人達に手とか出さないよなあ。って思うと、瞬間に、
「彼女の人間関係を更新、保全機能を拡張しました」
ってアキシオンさんが言うんだよね。
「なんだよ、できるなら最初からやれよ、本当に気がつかないよね」
って、そうなんだよなアクシオンさんなら、彼女達が危機的状況に陥る前にそう言うこともできたんだよ、って今更気がついて、ほとんど八つ当たり気味に言ってしまって、それって自分の気が回らなかったせいだよなあと、瞬時に反省しつつ、訂正とお詫びがのりを過ぎる前に、
「ごちそうさまです」
とアキシオンさんから謎のお礼が来るよ。
あ、でも、やってたから、彼女達は無事だったのかな?
って思って、
「もしかして、守ってた?」
って尋ねると、
「はい、ですから彼女達はここへたどり着けたのです」
「そっか、じゃあ引き続き頼むよ」
「彼女達の提供する本契約によって、彼女達の4次までの人間関係を保全しました、これは。大槻蒼、葉山静流、喜耒薫子、東雲春夏、河岸雪華、他と同じ処置です」
結構守ってたんだなアキシオンさんって、思わず感心して、そのまま、
「よくわからないけど、結構、守ってたんだね」
って言ったら、葉山が、
「真壁、うるさい、剣と話すな、気色悪い」
って酷い言われようだよ。