第27話【アンデットの群れ】
もちろん誤解の程度にもよるんだけど、それ以上ってなるともう謝り続けるしかないって、以前土岐が言ってた。『自分が良いとか悪いとか、そんなの関係ねーから』、って
言ってた。
そう言った意味では土岐って僕なんかよりもっと遠く、先の未来に生きてるな、ってちょっと尊敬してしまうよ。
さて、葉山との信頼回復もできた事だし、続きを見ないとね。
で、最初の方で総崩れのD &Dだけど、左方さんとか石にされてるね。あ、フアナさんがいる。西木田くんも樹脂化してる。
壊滅したD &Dの戦力の無効化を確認すると、今度はためらいも無く、斬っても斬っても数を増やして行くゾンビ化したモンスターは英雄陣に襲いかかっ行く。
あ、三笠竜ゾンビもいるねえ。温泉ゾンビもいる。
英雄陣も結構な人数で、その一人一人がそれなりのスキル持ちなんだろうけど、その大型ゾンビで簡単に蹴散らかされてしまう。
そして、なんと言っても、その英雄陣の代表らしき男の子が、簡単に倒されて、続いて、土岐が苦戦したと言うか敗北したNO,2の女の子も簡単に倒されてしまう。
一応、英雄陣の人たちの為にも言っておくけど、彼等は間違いなく強いよ。
きっとNO,2の女の子ですら、D &Dの左方さんと西木田君が二人でも勝てたかどうかくらい、きっとそのリーダー。悲鳴もあげられず、アンデットの軍勢に飲み込まれてしまった人だからどんなスキルがあるかわからないけど、きっと強いと思う。
その能力を発揮する前に、終わってしまったけど。
ネクロマンサー二人を指揮官に持つアンデット軍団は確かに怖いなあって思ったよ。
でも、多分だけど、辰野さんと一心さんがいたら攻略はできたかもとは思う。
そんな英雄陣がどうして総崩れしてしまったのかと言うと、それは徹底的な『経験不足』。
彼等は、確かに強いけど、対モンスター戦を知らな過ぎる。
特にNO,2の女の子は、斬撃特化のあまり、普通に人相手なら一撃必殺の斬って終わりの形になってる。
対人戦闘なら、それもいいけど、モンスターで、しかも相手はアンデットだから、斬ってもその後があるんだよ。
致命傷って言葉は、命の無い相手には通用しないし、まして痛みすら感じる事は無い、意識も無いから恐怖もなく、だた、淡々と、まるで、水槽に水を貯めるが如く、どこからともなく沸いてできたアンデットは英雄陣という色を、不死者色に入れ替えて行く。
状況はまだ決着って形を見せる前に、英雄陣から一つの悲鳴が上がる。
そこで、この戦線は決定的な物になった。
概ね、自分達のスキルが全く通用しないと思った英雄陣は総崩れになる。
よく考えれば、やり方によっては、あれだけの数のスキル持ちだから有効な手立てはあったかもしれない。しかし。ネクロマンサー夫婦によって、まず、リーダーを潰された彼等にもう成すすべはない。
ものの数分にして、風の砦付近の戦闘は終了する。
そして、意外なことに、英雄陣のリーダー格と、NO,2の女の子は普通に生きいて、アンデット集団が去った後、その広い深階層1階の広場で、立ち上がっていた。
あとで聞いた話だと、彼等はただ押さえつけられていただけって話らしいんだ。
今後の為にも、親切にこの北海道ダンジョンって物を理解してもらおうと言う、桃井君の計らいらしい。
とても不理解な顔をして、互いに顔を見合わせている。
どうして自分達が生きているのかもわからないと言った感じで、誰もいなくなったその場所にただ立ちすくんでいた。
その彼等が、じっと凝視する方向の、まるで果ての闇から現れるよに、そのハイエンシェントモンスターな彼女は現れた。
青い肌、そして、最近はセイコマートの豊富絞りによってアンデットとは思えないほどの血色の良い、健康的な笑顔、だけど、ここにきてのそんな彼女の表情は余計に不気味に見えるよ。




