第22話【NPO法人化北海道ダンジョン】
幾多の艱難辛苦を乗り越えてここまで来るんだから、僕はきっと喜んでしまうだろうなあ、安易に予想ついてしまう。
その辺は、魔王としてみんなの期待に沿わなきゃだよ。頑張らないとだよ。
魔王城の場所は、深階層最深部、最後の扉の向こう側で、深札幌の前の部屋としての位置らしい。
ここなら色々と便利だし、深札幌側から家にも帰りやすい。
あ、それと、以前は最後の敵だった深階層のジョージは魔王の前の中ボス扱いになってる。
凶悪な強さは以前のままで、最後の扉の前に立ちはだかってるのも以前のまま。
その後ろに魔王城があるって訳。
まあ、木下くんはいたって満足で、新しくなった立場での、対面時、そして倒された時のセリフを熟考中みたい。
実際は、『勇者への道』が完成してからの魔王城のお披露目になる僕が実際に居城にするのはもう少し先になる予定だそうだ。
その間に、ダンジョンの中に新たな施設を作ったというより、再編成をしている最中なんだ。
これから先、ダンジョンウォーカーの勇者化としての戦力拡大の為に、その中階層だ割と重要な階層になるって話しで、ここで、ひとまず戦いが不得手な人にもそこそこ強い敵との戦闘状態に慣れてもらう必要があるんだよ。
今までは、漠然と、僕らはこのダンジョンのおかげで、剣と魔法、そしてそれぞれが持つスキルを使う戦闘には慣れてきてはいるけど、ディアボロス君から相手の現状が知れたから、それ以上の力が必要になった今、最低限、自分の身は自分で守れる人が多い方が、実際に異世界勢と戦いになった場合、前に立って戦う人の負担が減るから、この辺はしっかりやっておかないといけないんだ。
もちろんダンジョンウォーカーは今も十分強いよ。
でも、普通に強いだけではダメなんだ。
そのための勇者だからね。
で、中階層に、『魔法を覚える施設』『聖剣の配布場所』の設置が急がれている。
そしてその聖剣を使った戦闘を馴染ませる為の部屋もまた用意している。
ちょっと中階層には場違いなモンスターを配置する予定。
これで、不安なく深階層へ挑める様になるからね。
そして、今、僕等は何をしているかというと、増改築の申請書類を作ってる所。
「真壁、住所が違ってるよ」
「あ、ダンジョンの場所じゃなくて?」
「違うでしょ、今、住民票のある場所だから、普通に真壁の家だよ、その家の、最後の番号間違ってる」
って葉山に言われる。
一応さ、北海道庁から、『何か変わった事をする場合は、一応は申請してくれると助かります』って言われてるから、北海道庁とはいい関係でいたいし、何より余計な心配をかけたくないし、この辺は積極的に協力する様にしているんだよ。めんどくさいけど。
今回のダンジョンの改造は一応は増改築に当たる様で、しかも、僕も最近位知ったんだけど、この北海道ダンジョンて、公式施設みたいで、その為に、完全バリアフリーって訳でも無いんだけど、ユニバーサルデザインという物への申請で、特定の規模の改築については例え、壁の色や床の形状が変わるだけでも申請が必要らしい。
模様替えってヤツらしい。基本的にダンジョンは主要構造体は改造できない仕様になってるからね。
もちろん、ダンジョンって言う立場を理解した上での申し出なので、細かい図書とかは求められないんだけど、それでも安全に配慮してこの様な形になってしまってる。
まあ、一応、NPO法人化してるからね、北海道ダンジョン。
代表は僕なんだけどね。魔王だからね。書類も頑張らないといけないんだよ。
でも、この事で、北海道庁を通して、ダンジョンの変化を国内外に行政として発信してくれるから、ダンジョンウォーカーの増加には一役買ってるって事になる。