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第19話【ブレイドメーカー⑦】

 聖剣計画の準備の見学と打ち合わせは順調に進んで、直人さんと微水様が何やら話し合っている中、僕はただ見守ってばかりなのだけれど。


 その間に、雪灯さんが僕のところにやって来て、


 「秋先輩、今、アキシオンはあるのかしら?」


 って聞いてくるから、


 「はい」


 って答えると、僕の体というかその周りをまるで舐め回すようには見て、さらに脇にとかも上げて調べられて、


 「母さん!」


 って雪華さんに怒られててて、「もう! いきなり怒鳴る事ないじゃない」不満も顕に雪華さんにつげる。


 で、その雪華さんというと、


 「ごめんなさい、うちの母、常識無くて……」


 と非礼を詫びる。


 こうして見てるとどっちがお母さんかよくわからない母娘に見える。なんかこの立場の逆転って、どっかで見た気が……、ああ、真希さんと雪華さんも、最近、こんな感じだった。周りの大人がしっかりしないと子供って大人になるのが早くなるのかもしれないなあ、って漠然とそんな風に思ったよ。


 「ねえ、秋先輩、アキシオンは家に置いて来たのかしら?」


 って雪灯さんがいうから、


 「いや、もうそういう関係ではないので」


 って言ったら、


 「関係?? どういう事かしら、『兵器』としてのアキシオンは完全に開放型になってる筈だから、剣としての形を維持していないのかしら?」


 とせっついて聞いて来るから、「母さん!」ってまた雪華さんに怒られてた。


 今度はそんな雪華さんの言葉には全く無視して、僕の答えを待ってる。


 だから、


 「いえ、こういう事です」


 って右手をかざして、ちょっと気を使ってなるべく周りの人から距離を取ってアキシオンを出そうとすると、


 ジャッキーン!!!! って凄い音して、しかも周りに一瞬風を巻く様にアキシオンさんが、いつもの形をして剣として姿を現し、僕の手に握られる形になるんだけど……。


 周りの人も空気も裂く様に現れたアキシオンさんにビックリしてる。


 って、何、この音、この風、この現れ方????????


 「次回は、『顕現せよ! アキシオン!』と叫んで見ませんか?」


 と久しぶりにあくまで僕の頭の中限定だけど、声を出すアキシオンさんが僕にそう語りかけて来る。


 いや、今までそんな出現の仕方、ってか、音や演出、一回もしてないじゃん。それをなんで今更やるのさ、しかもみんなの前で。


 「これがこちらの作法だと学習しました」


 どこで?


 突っ込む前に、周りの人を驚かせてしまったなあ、って思って周りを見ると、雪灯さんは、もう感無量って、顔なのかな、ともかく感動していて、


 「あ、ああ……、私の仮説が、こんなにも確実な形になって……」


 とか言ってる。その横では雪華さんが、


 「秋先輩、かっこいいです」


 とか言ってるし、


 「なあ、あれ、俺の剣もできる様にならないか? ジャキーンって、出るの!」


 と茉薙は直人さんにないものねだりをしをして、その直人さんは苦笑いだ。

 それぞれの反応を確認しつてると、


 「おおむね良好の様ですね」


 とか満足げにアキシオンさんが言ってる。それなりの手応えとか掴んだ様だ。これなら、その内、僕を中心に暗転とかして、バックに雷の演出とかやりかねないなあ、って思ってたら、「いいですね」って言ってる。しまった、余計な情報を与えてしまった。


 そんな僕を葉山が見る目がなんか痛い。


 「まさか、中二……?」


 違うから、僕じゃないから、アキシオンさんだから。


 「いや、敵を圧倒するいい演出だな、未熟な相手なら戦意を喪失するかもしれない」


 って感慨深く薫子さんが言ってる。


 うん、まあ、いい感じに取ってくれるのはありがたいけど、多分、その様な意識はこれっぽっちもアキシオンさんには無いと思うんだ。


 「青い稲妻とかどうでしょうか?」


 って聞いて来てるから、それだと僕が責められちゃうから、炎、体、焼き尽くされちゃるから。名曲だから。


 そんな反応を他所に、極めて感極まって、


 「私が手にしてもいいのかしらね?」


 って雪灯さんが聞いて来る。


 「どうぞ」


 って僕はアキシオンさんを雪灯さんに差し出した。


 もちろん、アキシオンさんに「余計な事はすんなよ」って念を押した上でだ。


 すると、「もう彼女は大丈夫ですよ」とアキシオンさが僕の手を離れる時にそんな言い方をするんだ。


 そして、そんなアキシオンさんを持った雪灯さんは、


 「ああ、本当に完成したのね」


 そう呟いて、ビックリしたのは一筋の涙を流したんだ。


 そして、雪灯さんは、


 「ありがとう、秋先輩、私の研究を応援して、そして完成させてくれて」


 僕の方にアキシオンさんを返しながら言われるけど、特に僕は何もしてないんだけどなあ。


 強いていうなら、この剣を渡されてからは僕自身も調子良かったし、葉山との対決の機会を作られてもなんとか乗り切ったし、その後、ラボすら半壊させる様な事して、盗まれたって言うアキシオンの最後の一振りを持った白馬さんとディアボロスくんにギリギリのところまで追い詰められてのアキシオンさんの開放だったから、特に何もしているってつもりも無くて、全部が状況だったわけで、感謝と言われてもなあ。


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