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第18話【ブレイドメーカー⑥】


 ここに、正に工場の広い一角に専用の機械とか、造ってくれる人達とか入る訳だし、大きさや人員の数でいうと、あの集霧院なんて比べ物にならない程の規模だ。


 「ちょっと狭くないかしら?」


 って雪灯さんがいうんだけど、


 「一応は、増築も考えているよ、一個、工場自体を増やそうとも案は上がっている」


 「え? 大丈夫なんですか?」


 と言う僕の問いに、


 「もう、お金は受け取ってるよ、資金は潤沢にある、さすが魔王様だな」


 って、肩をポンポ叩かれて言われる。


 「え?」


 って驚くと、


 「君の財務官からすでに入金は済まされているよ、凄いな、流石魔王ともなると、あれだけの金額を簡単に出せるのだから」


 と感心されてしまう。


 あれ? 誰? そんな人いたっけ?


 って、思考停止になりかけたところを、葉山が、


 「HDCU(北海道ダンジョン商取引組合)よ、瑠璃さんだよ、彼女が即金でお金を出してくれたのよ」


 って言われる。


 「え? なんで?」


 間抜けに、意識もせず聞いてしまう僕。


 「なんでって、そりゃあ、これだけの規模の生産ラインを動かすんだから、タダって訳にもいかないでしょ?」


 「うん」


 まあ、それはわかるよ、わかる。でも僕が聞いてる事はそんな事じゃない。


 「その代わり、HDCU(北海道ダンジョン商取引組合)を正式に完全に魔王の配下として組み込むのが条件よ」


 って葉山が言うんだけど、どう言う事だろう?


 あれだろうか? つまり何かあったら瑠璃さんたちを守って欲しいって事かな?


 今までも散々お世話になってるからね、桃さんも含めて、異造子の子たちだって、僕にとっては守るって対象で、それ以上に、もっと多くの物を守れるようにはなってるから、そんなの寧ろ当たり前って思ってるんだけど……。


 そんなのお安い御用だけど、いやそんな事でいいの? 


 別に瑠璃さんが困ったら普通に助けるし、何か言われたらお手伝いするのは当たり前のことだし、そんな事今更配下とか言わなくてもって思うんだけどなあ。


 その件について、ちょっと納得いかないけど、どこか応援されてる気もして、嬉しいような、不思議なような、そんな顔をしてると、


 「あのアルケミストで、無限にお金を生み出せる能力に、現実世界にコミットする財務手腕、すでに経済界にも大きく影響を与える一人で国民総生産みたいな人が真壁の配下に加わるのよ、どうするの? 本気で世界を取りに行けるわよ」


 って葉山に言われる。


 「いやあ……」


 この時点で僕はまだ気がついていなかったけど、僕の周りには、どんなところにも存在し、また入って行く情報収拾、操作、を行う『ファンクラブ』。


 時に隠密に、時に表に立って、実務という荒事を消化して行く『秋の木葉』


 そしてそこに、無限に『金』を生み世界の市場すら操作できる『HDCU』


 という形になって、独裁者としてはこの上ない環境が整ってしまったことになっていたのに気がつくの、もっと後の話ね。


 今は、


 「つまり、あれかな、お金の面で言うところの『おまかせ』、みたいなものかな?」


 くらいの感覚で、そんな無自覚を葉山を初めとする、他のみんなを呆れさせてしまう、まだ、ことの大きさに気がつけてない痛い僕がいた。


 いや、ほんと、経済とか、財務とかよくわかんなから。


 後、勘違いしてるかもしれないけど瑠璃さんのが言うところの価値のある物って意味では、金だけって話、桃さんの話によると、簡単な日常品は作れるらしいからね。


 以前も瑠璃さんTシャツとか作ってたし、センスもいいし。


 そして、さらに朗報という新しい事実があった。


 「今回は、君達の言う所の『聖剣』を作るにあたっての原材料の提供もしてくれるそうだ」


 と直人さんは言うんだ。


 「つまり、向こう側の『魔法鉄』が生成可能なのだそうだ、こちらの準備が整い次第、提供を開始してくれると言っていた」


 おお、瑠璃さん、新しい金属生成も可能になってたよ。


 ん? 向こう側?


 つまりそれは異世界側の金属って事?


 なんだろう? 瑠璃さん達の加入に、その能力のバックアップによる『聖剣』の製作に関して凄い勢いで進んでいて、順調なんだけど、思いの外すんなり行き過ぎて、ついていけないと言うか、乗っていけない僕がいるよ。


 もう既に直人さんとか、微水様とか、聖剣の『形』についての話し合いを始めてるし。


 なんか対応力とか凄いなあ、って、どこかこの雰囲気というか輪から外れて、意味もなく冷静な僕がいるんだ。


 ともかく、ここに、きっと今現在、世界の代表とも言える、鍛治、兵器開発、武器製作所つまりブレイドメーカーが一同に会すしたわけだね。


 人達が集まって、お金も材料も潤沢にあるって状態になってる。


 こうして、僕らの聖剣製作計画は順風満帆に進み出したんだ。


 何もかもが上手くいき過ぎて、かえってヤバイなあ、って思う僕だったよ。


 

 

 

 

 

 


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