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第16話【聖剣か?魔法か?使命感か?そして最後にゴブリン鍋】


 だから、いまのところお気軽に達成可能なのは、椿さんの言う所の魔法スキルの添付かなあ、って思うんだけど、


 「じゃあ、魔法に耐性のある魔物が来たら太刀打ちできませんね、それに防護障壁がありますから、普通の武器なら大抵ははじき返しますよ」


 って居たのか? ディアボロスくん、な所から意見が出て来た。


 しかも顔は、エッヘン、って感じだ。


 「そうなの? 葉山?」


 ってさっきまで実際にディアボロス君の相手をしていた葉山に確認してみる。


 「うん、多分、ディア君クラスなら、中級クラスの魔法なら辛いかな、普通の剣も通らない、その場合、強力な剣を持つ直接攻撃のそこそこやれる人たちで相手をするしかないかあ」


 って葉山も不安そう。


 「なんだよ、防護障壁を打ち破る『聖剣』を造ればいいんだろ?」


 って思わぬところから声が出て来た。


 そこにはヌウっと姿を現す、初代微水様、その人が居た。


 この部屋は彼女にとって少し、いやかなり狭い様で、窮屈そうに身をかがめにこっちに来た。そして、


 「おい、もうすぐ飯の時間だぞ」


 と妹と一緒に現れた。


 「ああ、しまった、お手伝いできてない」


 と薫子さんが言い出して、妹が設けたであろうゲートに飛び込んで行く。晩御飯の支度をしている母さんの支援に向かった様だ。


 間に合うといいが、妹の様子からすると十中八九出来上がってる感じだ。


 もうそんな時間だったんだね。って、妹にはここと家を繋げるなよって何度も言っておいた筈なんだけどなあ、って思って見ると、流石にそのことは覚えている様で、ちょっと微水様の影に隠れる様にして、


 「仕方ないだろ、今日はゴブリン鍋なんだ、みんな揃わないと食べられないだろ?」


 って言い出す。


 確かにそれは一大事じゃないか。


 早々に対応しないと、事は全員で当たった方がいい、しかも早急にだ。


 僕のそんな焦りを他所に、現れた微水様は、


 「それなりの数の聖剣を造るなんて目じゃねえよ、いくらでも造ってやるぜ」


 って胸を張って言った。とても頼もしい。


 「じゃあ、魔法スキルの一部を添付して、聖剣を持ってもらうって事でいいのかな?」

 取り急ぎ、纏めてみると、


 「回復魔法も一応付けておこうよ、怪我をされた場合、こちらの手間が省ける」


 と此花牡丹さんが追加して言った。


 うん、そうだね。


 すると葉山が、


 「完全自己完結型のダンジョンウォーカーね、いいんじゃないかしら」


 って賛成してくれた。


 「じゃあ、中階層、真ん中付近から、モンスターの強さを調整してみるよ、これならいけそうだ」


 と、木下くんも快諾だった。

 この結果を、真希さんや八瀬さんにも伝えないとなあ、ちゃんとまとめて話さないと、って思ってると、既に葉山がワンペーパーっての? そんな風に結果と経緯みたいなのをまとめていた。


 すごいな、委員長みたいだ。って委員長なんだよな。


 「なあ、坊主、聖剣を大量生産できる環境を整える、できればこっちにも鍛治場があると、いいんだな」


 つまりは、集霧院の様な所が欲しいって事だね、あったかなあ……?


 思わず考え込んでしまうところに、


 「秋先輩、用意整いましたよ、みなさんも」


 って、何故か雪華さんが、ゲートから出て来て、言うんだ。しかも母さんに借りたであろうエプロンを外しながら……、そうだ、雪華さんの家が製作所だったんじゃないかな? カシナートとかも造ってるし、相談に乗ってもらおう。


 それにしても何故雪華さんが?、とかの疑問の前にナイスアイディアがそれを吹き飛ばしてしまったので、都合の方を優先する僕の頭脳は、それ以上の事は考えない。


 此花さん達を始め、木下君たちも続々と、妹が設けたであろう、ここと僕の家のリビングあたりを繋いであろうゲートを潜りぬけてると、一人、と言うか、二人で、ポツンと会議室の机に座ってる、白馬さんと、ディアボロスくんがいるんだよね。


 だから、


 「何やってるの、行くよ、みんなでご飯だべようよ」


 って言ったら、白馬さん、ディアボロス君と顔を見合わせて、


 「俺達もいいのか?」


 って聞いてくるから、本当に何を聞いてくるんだか、って思って、


 「いいに決まってるじゃん、続きは鍋食べながら話そ!」


 って言ったら、ようやく立ち上がり、ディアボロスくんが、


 「いいんですか、僕、『殲滅の今日花』の暗殺も命じられているんですよ、出会ったら彼女の命は保証できませんよ」


 とか言い出してる。


 「うん、いいよ、できるものならやってみるといいよ」


 そう思うと同時に、僕の背後の蒼さんが、とても優しい目でディアボロスくんを見つめていた。


 ともかく、ゴブリン鍋だ。


 一応、話もまとまったし、あとは粛々と行動するのみだよ。


 それでも、ちょっと考えてるのは、今回みたいに、魔導師でも無く、だからとっ言って、純粋な剣士って訳もなく、そこそこ強力な魔法を唱えて、聖剣を装備する人達って、確か、有名な呼称というか、職業枠があった筈なんだけど、それが思い出せない。


 まあ、良いや、ともなく全ダンジョンウォーカーをそんな風に誰もが頼りにする『勇まし者』達に育ってもらうってので、結論は出た。


 ともかく、ゴブリン鍋だね。


 あ、ニラと人参はいらないよ。


 ダメだよ、余計な事したら。


 こっちのさ、ゴブリン鍋に何を入れるかって事を一回、きちんと話合った方が良いなあ、みんなそれぞれ、自分の言い分があるからさ、早急に処置しないと、って、ゲートの方から漂う香りに、僕は新たな決意をしていたんだ。


 

 

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