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第15話【勇者にとって必要なモノ】

 結局、『ダンジョンウォーカー、そこそこ使える魔導師計画』はダンジョン内にある魔法スキルが使用できない所とか、魔法を覚えた後の成長戦略とか、様々な理由によって頓挫した。


「いい計画だと思ったのに」


 最後まで不満タラタラの此花椿さんはともかく、


 「やっぱりさ、ダンジョンって言ったら、強い武器とか防具とか、その辺を見つけて、装備する所に醍醐味があるわけじゃない」


 と、葉山が言い出す。


 葉山の場合って、特殊な杖、『バルカ』とか何より僕と同じアキシオンブレードの双剣タイプとか持ってて、最近、回復魔法に加えて攻撃魔法とかも使える様になってきているから、全距離、全敵、全状況、全天候型になりつつあって、たまには『強者』ってこいつの事なのか?って思うのもしばしばな人なので、説得力もある。


 あ、そうか、つまりは葉山の下位互換的な能力があればいいんだ。って無理だよねそんなの。しかも高校行ってからも委員長だし、いや委員長関係ないよね、自分て振って自分で突っ込んじゃったよ。


 この一連の流れで、誰にも気が付かれない様にしてたんだけど、ノリツッコミをしっかり読まれて、此花牡丹さんんい、グゥ!って親指を立てられる。


 「確かにな、特に自分に合った武器、強力な加護、何より攻撃力を持ったそんな物を手に入れたなら、心身ともに強くなるだろうな」


 って、最近、とても強い武器を手に入れた薫子さんがそんな事を言う。


 確かにね、それは薫子さんを見ていたらわかる気がする、薫子さんって、名剣カシナートから始まって、ゼクス様の武器である、あの今一つ使えない『破斧グラウコーピス』に、さらに多紫町での騒動で、ドサクサに紛れて、『白護輝鴟梟初ノ太刀』をフルオーダー宜しく造ってもらってからの安定感が半端なくなってるからね。


 確かに武器を装備するだけで強くなるってお手軽な方法もあるよね。


 でも、装備だけで強くなるっていうのもなあ、素直って言うか、わかりやすいって言うか、割と単純な性格ならありかもしれないね、って思う。


 って納得してると、


 「真壁秋、覚えてろよ!」


 って消え入りそうな声で言って、僕を睨むんだよね。いや、だからさ、思った事にいちいち突っ込むのやめようよ、心の中くらいは僕のプライベート守ってよ。


 確かにいい方法だよねとは思うから、こっちもいいなあって思った。


 すると、僕の背後にスッと現れる影。


 蒼さんだけどね、毎回やられてるのに、わかってるのに、ビクってなる。


 「お屋形様、人を強くするのは、『使命感』です、この蒼も常に心にそれを……」


 とつぶやく様に、自身の胸に手を当てて、そう言った。


 そうだね、確かにね、目的は無きゃあダメだよね、人を支えるって言うか、骨幹になりうる物だよね。


 納得の僕なんだけど、そんな僕を見て蒼さんは誇らしげに、


 「私など、高尚なるお屋形様のおお側にいるだけでも、意識が高まります、もう誰にも負ける気がししません、つまりみんなお屋形様を尊敬すればいいのです」


 と鼻息も荒い。目もキラキラしてるし顔も近い。


 うん、そうだね、でも、きっとそれは蒼さんだけだからね。こんな僕を尊敬して付いて来てくれてるのは、だから本当にありがとうだよ。


 「いや、やっぱりわかりやすくは武器でしょ? 大きな使命には強い武器よ」


 「いえ、使命感です、お屋形様なのです、他に何が必要でしょう?」


 「ねえ、やっぱり魔法じゃないかな、使命とか、武器も面倒くさいでしょ? 魔法スキルなら手ぶらでいいのよ」


 「使命感も特に荷物は必要ないです」


 「武器だって、かさばらないもん、いちいち覚えなくていいし」


 「そうです、魔法スキルは間違えたり、噛んだりしたら発動しません、やはりここは使命感です」


 「魔法スキルだって練習すれば、言い間違えたりしないわよ」


 椿さん、葉山、蒼さんで、ワーワーと言い争いが始まる。


 彼女達それぞれ、全く譲る気もなく言い合ってる。


 それを横目にちょっと考えてる僕がいる。


 「そっか、使命感かあ……、何かあるかなあ……」


 って僕のつぶやきに、


 って考えてると、


 「わかりやすいヤツなら、『魔王討伐』とかだろうな」


 って白馬さんが言うんだよね。


 いや、それ僕じゃん。僕を倒しに来る事を目的に強くするのもアリかって思うけど、できればダンジョン深層部に来て欲しいなあ、基本的に僕を狙うなら、特にここにいるってわけでも無く、日常生活に襲い掛かられるのもなんだろうとは思う。


 すると、再び蒼さんが、


 「お屋形様に歯向かう意思、行動を見せる様な不逞な輩は、『秋の木葉』が人知れず殲滅いたしますゆえ」


 とか物騒な事を言い出すけど、つまりこの時点て使命感を言い出した蒼さん自らの手によって、この説は相殺される。元も子もない状態って事だね。


 「でもさ、武器って話も、そんなに沢山の用意できるの?」


 って素朴な疑問が浮かんで尋ねる。


 だって、全ダンジョンウォーカーの能力の向上だよ、一人や二人の強力なダンジョンウォーカーを作る訳じゃないからさ、それだけの武器をどうやって用意するのさ?


 下手をしたら全ダンジョンウォーカー分を調達しないといけないんだよなあ。


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