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第10話【新勢力スキル集団『英雄陣』】

 僕の気持ちとしては、ダンジョンでイヤな思いもして欲しく無いんだよね。


 やっぱり、基本、ダンジョンは楽しく無いとダメだからさ。


 それに、新しい強い人が深階層まで来るのは楽しみだし、しかも僕の為に、鍛えて、ダンジョンを冒険して、なんて思うと、ちょっと胸が熱くなる思いもあると言えばあるんだよね。


 何より強い人が増えて行くのは良いことだしね。


 今、ダンジョンでは、絶賛、『勇者生産計画』で、ダンジョンウォーカーの能力向上には余念がないんだよ。


 だから、良い感じでかき回してくれる人の存在はありがたい。


 普通に考えるとこれって僕がやらないといけない役なんだよね。かつての異造子さん達みたいに、ダンジョン内を暗躍して、かき回して、って感じで、多分、蒼さん達にお願いすれば上手にやってくれそうだけど、そんな役を押し付けるのも正直、僕個人の為にそんな嫌な役をやってもらうのも気が引けるからさ、僕的にちょうどよかったよ。


 だから、僕の前に立つ頃には、きっと良い感じにダンジョンも温まってると思うから

感謝だよね。何か、お礼とかしなきゃ、とかも思ってる。


 彼等の目的は、魔王討伐に他ならないから、近いうちに会えるでしょ、とは思ってる。


 ともかく、新しいダンジョンウォーカーは強い人が多くて助かるよ。


 まあ、このまま、異世界が落ちて来るって日まで、入念に準備を進めないとだよ。


 「あの」


 そんな計画に没頭する僕に対して、遠慮がちに声がかかる。


 「え? 僕?」


 って言ったら、もう既に夕食を食べ終わってしまっていた、ダンジョンで拾った謎の彼女が、


 「ほっぺにご飯粒ついてますよ」


 って言われて、え? どこ? あれ? ってちょっと焦って、ご飯粒という存在を自分の顔から探す僕。


 そしたらさ、


 「はい、取りました」


 って指先でつまんで、自分が今運んでる食器に付けて微笑んでくれた。


 「あ、ありがとう」


 って言ったら、


 「どういたしまして」


 って言われる。


 そしたらさ、


 「ぼーっと飯食ってんじゃねえよ」


 って初代微水様に言われるんだよね。


 「婿様は、今、魔王になっているのですから、色々と考える所があるのでしょう、自分の家にいるときくらいは、のんびりさせてあげないと、ねえ」


 って菖蒲さんがニッコリ笑って、そんな風にかばってくれる。



 菖蒲さんって、蒼さんのお母さんね。で、微水様は、言わずと知れた青鬼の人だよ。微水様の大きさって、鬼の名に相応しく、一般人の倍はあるからサイズ的に僕の家に対して厳しいけど、キッチンの吹き抜けの場所を利用して、うまい具合に収まってる。


 いつもは、ダンジョンの、あの深札幌を根城にしている微水様なんだけどさ、こうして毎日、妹に空間をつないでもらっては出て来るんだよ。


 もともと、家は、北海道ダンジョンウォーカーの里親制度を利用して、相当大きく造ってあるんだけど、でも、ここ最近は狭さを感じてしまう。


 もう家じゃなくて合宿所みたいになってる。


 当初、多紫町の人がこちらに来た時は、蒼さんや焔丸くん、四胴さんを含む、大槻家の人達は、どこか纏まって、住まいを探すって話をしていたらしんだけど、そこで猛反発したのが蒼さん。


 それじゃあ、僕の事を守れないから絶対に嫌だって、あんまり表情を表に表すことがない彼女が乱心???くらいな勢いで、一時は自分の部屋の前に五頭さんを配置して、に籠城までする騒ぎに発展したんだ。


 で、そんな様子を心配して、蒼さんのお母さんである菖蒲さんや微水様が様子を見に来て、そんな状態が今も尚続いている。というか常態化したのが今の状況だね。


 もちろん、僕も母さんもみんなといるのは嫌いじゃないから、毎日楽しくはやっている。


 それに、家事や一切の事は、葉山が中心になって女子達で回しているから、僕がやる事なんて、たまにはお風呂掃除とかトイレ掃除くらいのものだよ。もちろん、焔丸くんが手伝ってくれるから、直ぐに終わってしまうけどね。


 食事が済んで、席を立つときに、葉山が、


 「ちゃんと予習しておきなさいね、わからない所があったら、私か薫子で教えるから」


 って流しで洗い物をしている葉山に言われる僕だよ。


 「もう真壁も高校生なんだから、こういうことを習慣化させないとダメよ」


 と釘を刺される僕だったよ。


 ここでさ、お前、僕のお母さんかよ! とか言うツッコミはできないんだ。


 だって、高校進学のときに、本当に葉山をはじめとする薫子さんや、蒼さんには迷惑かけたから。本来、遊び惚けても良いエスカレーター式な学校にいるにも関わらず、日夜つきっきりでお世話してもらってるから。


 もう、この件に関しては、「うん」じゃなくて。「はい」としか言えない僕だよ。


 魔王に、高校に、新しいダンジョンウォーカー。


 やる事は山ほどあるなあ、なんて思っていたら、


 「私が勉強見ますか?」


 そう、謎の彼女に言われてしまう。


 違和感のカケラも無く、僕の家にいる彼女。


 ほんと、この子、誰なんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

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