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第5話【新しいパーティー、新しい仲間】

 ついに、と言うかとうとう、僕を『殿』って呼ぶ人間が現れた。


 普通はさ、殿なんて言葉言わないじゃん。


 いや、歴史上の殿様って言われていた偉人の方々をバカにしているわけじゃないよ、でも現代社会の現実的に実生活の上で、この言葉ってなかなか言わないよね。


 日常生活に登場しない言葉の上に、言われる方の立場としては相当にカッコ悪くて、みっともなくて恥ずかしいんだけど、なんだろう、言われているうちに慣れた。


 そりゃあ、言ったよ、僕も、流石に殿はやめてくれる様に、普通は言うよね。


 以前、桃井くんが初顔合わせの時に、僕を殿って呼ぼうとしたけど、その時はやんわりやめてほしいってお願いしたら、普通に様付けになって落ち着いたんだけど、今回は手強くて、改善してくれる様に頼んだんだけどさ、


 全く、改善される兆しが見えないし、なんか、いう方も堂々としたもんで、ここまで来ると、お願いしている僕の方がおかしいのかな? って思えるくらい、完全無欠に正々堂々と言って来るから、アリなのか? いやナシか? どっちだ? ってだんだんわからなくなってきている僕だよ。


 「殿! 殿! 殿ってば!」


 ああ、今も呼ばれてたよ。


 「どうしたの? 焔丸君?」


 僕は訪ねて、興奮き気味の彼の顔を見た。


 大槻焔丸君、蒼さんの弟さん。


 つい先日、北海道に来たんだよね。


 最初に北海道、札幌の観光案内しようか? って言ったんだけど先にダンジョンって言われた。 


 すごく良く出来た子。小学生だけど、中学生である僕なんかよりもしかっかりしている。


 そんな焔丸君、


 「殿、本日は、私たちに敵はトンボでなんですよね?」


 焔丸君の言葉に、


 「焔丸様、トンボではありません、ハエです、北海道ダンジョンでのドラゴンフライは、ハエの特徴を持ったモンスターです」


 だね、僕もそう考えていた時期がありましたよ。


 でも、まあ違うのも混ざってたし、トンボも一匹くらいはいるかもしれない、とは思う。


 あ、でも、ハエにとってはトンボは天敵か、じゃあ無いかも。


 そんな虚ろな僕の迷走する思考に反して、


 「しっかり、前もってギルドの発行する『教範』を読んで予習しないと、事前の準備は大切です、多月の家を継ぐ者として自覚をもっていただかないと」


 と苦言を呈してから、


 「そうですよね? 殿?」


 そう、話を振って来るのは四胴 空さんだ。


 焔丸君と同様に大槻町の人。


 あと、もう一人、水目柚葉さんと、三人で北海道に来た。


 水目さんの方も政府指導の防衛庁経由で、ギルドに入ってるらしい、きっと今頃、スライムの森で仕事しているんだと思う。


 今、ギルドも新体制に入って大変で、行政から指名された八瀬さんも大変だけど、雪華さんも大忙しで、実際にダンジョンの実務まで手が回らなくて、任意で秋の木葉を貸し出してるから蒼さんもギルドで仕事してるんだよ。


 真希さんがギルドを去ってしまったからね。


 やっぱりダンジョン側である自分が、ギルドに残るのは避けたって形だけど、今でもギルドは真希さんの帰りを待っているって話。


 でも、その当の本人がね……。


 そんな事を考えてると、


 「どうしました? 殿?」


 って四胴さんに心配されてしまう。


 「なんでもないよ、それよし今日は浅階層を余す事なく歩き回ろうね」


 って言ったら、四胴さんも、焔丸君も嬉しそうに「はい!」って元気に答えてくれた。


 本当に、多紫町の子供たちの体力ってすごいよ、標高の高い場所で元気いっぱいに遊んでいたからかもね、それに基礎的戦闘力も大したものだって母さんのお墨付きだからね。


 水目さんも今、ここにいる四胴さんに引き続き、多紫町の子供達は、今後、希望があれば、何人もこの北海道に来て、ダンジョンにアタックしてゆくらしい。


 受け入れ体制は、秋の木葉の人達が整えるんだって。


 あ、だから、四胴さんは、ギルドの立場で、ダンジョンの入場年齢に年齢の満たない焔丸君の教育と言うか指導というか、付き添いみたいない形でついてきているから、正確には僕らのパーティーの一員じゃあない。


 でも、確かさ、四胴さんも小学生じゃなかったけ?


 と言った素朴な疑問はある。


 まあ、四胴さんの場合、何でも防衛省の方からの派遣という枠なんで、色々とありそうな感じなんだけど、まあ、今は一応関係者もいるから、ちょっと聞いてみようと思ったんんだけど、


 「どうなの? 白馬さん?」


 「何がだ? 真壁秋?」


 と質問を質問で返されてしまったよ。



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