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第3話【甦った春夏姉のご挨拶】

 かつて、僕らがマテリアルブレードと呼んでいた大剣を振り回して、春夏さんが僕に襲いかかってきた。


 春夏さん、いや春夏姉の技術と力、と悪辣なその大剣の前には、蒼さんでも荷が重いかなあ、力だけで簡単に吹き飛ばされてしまってる。


 でも怪我とかなさそう、すぐに立ち上がって、こっちに来ようとしてる。


 大丈夫、大丈夫、こっちは心配いらないからね。


 アイコンタクトを送るけど、通じてるかな?


 とか言ってる間に、完全に春夏姉の間合い。


 「死ね! 秋!」


 うわあ、懐かしいなあ。


 春夏姉の汚い気合いに、言葉使い。


 で、それに相反するくらいの基本に忠実で、見た目にも綺麗な、真上からの一撃。で一斬。


 それにしても、今、春夏姉の着ているのって、新しいギルドのジャージだよね。もう、ダンジョンには行ってるのかなあ、でもなんでギルドなんだろう? とか考えてしまった。そんな事を考えつつ。


 僕はアキシオンさんを発生させて、いつものマテリアルブレードね。で、一度受けてみる。


 春夏姉に比べれば、僕のアキシオンって、普通に貧相と言うか脆弱に見えるけど、そんなことは無いんだよ、何より使用に関しては僕の方が上位者なわけで、有利不利なに関して言えば僕の方が圧倒的なんだって、アキシオンさんが言ってた。


 あ、しまった。


 「てめー、余裕で受けてんじゃーねーよ!!!」


 はじき返して思い出す。そうだった、一応、今の攻撃も効いてる形を取らなきゃならないんだった。うわ、メンドくさいくなった。


 昔からそうなんだよね、一応形の上では効果無しって言う形を作ってしまうと、春夏姉はヒートアップするんだよ、凄いムキになる。


 「何するのよ!」


 って葉山が入って来た。


 「てめーは関係ねーだろ!」


 僕もそう思ったんで、


 葉山、下がって、って言おうとしたんだよ。


 葉山が弱いとかって問題じゃあないよ、武器も同じアキシオンだし、僕以外のアキシオン同士の戦いは決着つかない事になってるから。


 双方の安全は担保されてる事になってるから。


 でも、葉山が言うんだよ。


 「ダメだよ、真壁が春夏と戦ったら」


 って言うんだ。


 いや、まあ、その、なんだ、ありがとう。気使ってくれて。


 そこに薫子さんが入って来る。


 薫子さん、ガンガン入れて来る春夏姉の攻撃を余す事なく受けてる。


 しかも、受けながら、春夏姉のゾーン、つまりその間合いを食いつぶして進んでる。凄いなあ、って本気で感心する、この仕様は僕にも母さんにもないから、独自の路線進んでるなあって思う。


 その背後から葉山が出る。


 葉山の攻撃範囲は、フランバルジュ型のアキシオンブレイドの間合いを遥かに凌駕する。しかも、さらにその外側から、上下の動きに強い蒼さんが入ると、全方面からの攻撃が入るから、流石の春夏姉も分が悪い。


 でも、まあ、あの春夏姉だ。ガハハ!って笑ってから、


 「クッソが!」


 離れながら、蒼さんの接近を意識しての2連撃を放つ。


 この攻撃を受ける、避け、さらに前に出る、間合いが混じると、誰か一人即死する。


 そんな一撃で、もちろん、そんなの許す事がないから、攻撃は接点が三つ取られて無効化されて、全員が下がって一定の距離を置く。


 「どいつもこいつも、救われた、って顔しやがって」


 って春夏姉は吐き捨てる様に言う。


 「救われたよ、あなたもでしょ?」


 葉山って、負けないよね。


 春夏姉に平気で言い返してる。


 「ざけんな! 誰がそんな事頼んだよ!」


 まあ、そうなんだよ、僕が勝手にした事だ。春夏姉を生き返らせたのも、その他諸々、その辺全部ね。


 「それにしては、愉しげに剣を振るうんだな、東雲春夏」


 おお? 珍しく薫子さんが口撃に参加してきてる。


 「チィッ、言ってろ!」


 まるで、自分の元に集まれられるのを避ける様に、嫌がる様に下がるそこには蒼さんがいる。


 それを強引に振りはらう様な一撃。


 まるで、何もかもを許さない、そんな攻撃。


 もちろん、食らうみんなじゃないし、そして、最初から、本気で春夏姉をどうにかするつもりも無い。


 っていうか、僕から春夏姉を遠ざけてる?、いや違うな、近づけない様にしている感じ。一緒かもしれないけど。


 だから余計に春夏姉はイラついているのがわかる。


 「どけよテメーら!」


 「嫌よ、真壁には近づけさせない」


 「お前には関係ねーんだよ!」


 葉山と春夏姉の攻防が続く。きっと互いに本気なんて出してないから、決着なんてつくはずが無い。


 あ、でも、蒼さんとか僕の方を察して、こっち来た。


 だからだろうか、薫子さんも剣を収めて、今は葉山VS春夏姉の構図になってしまってる。


 でも二人ともアキシオンだから、無理矢理制動が効くんだ。割と簡単に。


 僕のだからね、どっちの剣も、所有権は僕にあるらしいから。


 「良いよ、ここまでにしよ」


 って二人が剣を重ねた状態に割って入る僕。


 「真壁!」


 「てめ!秋!」


 って無理矢理止めたことを怒られてしまうけど、


 「君たちが戦う理由なんてないでしょ?」


 って言ってから、葉山に、


 「ありがとう、気使っってくれてるんだよね? 僕が春夏さんと対決って形を作らない様に」


 その気持ちは痛いほどわかるよ、だから感謝してる。でもさ、今の春夏姉じゃなくて、かつての春夏さんって、葉山にとっても恩人なんだよ。


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