第97話【北海道征服完了?!】
頭をペコペコさせながら、二肩さんの方に行く会長さん。これでよかったんだよなあ、確かにさ、彼女のやったことではない、実際は何もしてなくて、多分、多紫町の位置情報とかの暴露なんかだろうけど、でも、そうしたいと思ったのは事実だし、攻撃の内容からも大量破壊、大量殺人につながっていたのだから、許されるべきではないのかもしれない。普通に考えると、会長さんみたいになるのがわかるよ。
でも、僕には、と言うかダンジョンと、この剣にはそれらの問題を解決する手段とかあるから、概ねの人が気がついていないこの事実によって彼女を裁くことはできないし、また彼女が罪を感じるのなら、それ自身が罪なのだろうって思う。気にしないで、とは言えないし、多紫町をちょっとだけしか知らない僕が口を出せることでもないから、でも、
「ごめんね、あまり彼女を責めないでやって」
って蒼さんには言っておいた。
大丈夫、きっといろんな問題があってどうにも出来ないことも多くて、それでもなんとかしたいって思ってるなら、僕がなんとかするから、きっとその為の力はもう与えられてると思うんだ。会長さんに抱かれて、泣いてる二肩さんや、紺さん、そして蒼さんとか見てると本当にそう思う。
そんな折、いつの間にかダンジョンから出てきた、辰野さんと一心さん。
「蒼様、町の人間は皆無事です、ご安心ください」
と告げていた。連絡は取れるみたいで、無事を確認できたんで、皆さんは多紫の町に戻るんだって言ってた。
でも、まあ、公開されちゃったね、多紫町。
これでもう、今までのようにはいかなくなるだろうね。
よかったのか悪かったのかってことは、住んでるみんなで決めることで、これも後で聞いた話だけど、今も昔も一貫して、二肩さんの家系って、こう言う事件を巻き起こす方に加担していたんだって。
ともかく、新しい時代を迎えるんだね、多紫町は。
「ダンジョンも新しい時代を迎える事になったよ、真壁くん」
って辰野さんに言われてびっくりした。同じ事考えてたんだね。
「ギルド長からの伝言だ、いや、伝言というよりは、そうしてくれっと言われているので、ここは私たちに任せてくれないか?」
ギルド長って、真希さんだよね? なんだろ?
って言ってるそばから、ダンジョンからゾロゾロと人が出てくる。
後、公園の外からも、いつの間に来てたんだろう?って思ってたら、
「魔王様、皆の安全の確保はできていますか?」
って一心さんに聞かれた。ああ、そっか僕魔王か、って思ってると、
「存在的敵勢力の撤収、撤退を確認、完全な安全を確保しました、一応は敵視敵対する意思、行動準備まで含めた行為に対するフィルターを展開しますか?」
ってアキシオンさんに言われるけど、そのフィルターって何? でもし敵対行動とか取るとどうなるの? って思ったら、
「即死させます」
って言われるから、その言葉通りに、
「僕と僕側の人間は安全みたい」
って辰野さんに答えておいた。
「辰野さん、じゃあマスコミを公園の真ん中に集めますか?」
って水島くんが出てきて言い出す。あ、紺さんも一緒だね。
「ああ、そうだな、折角だら、皆噴水前に集まってもらおう、一心、会場設置の準備を指示してくれ」
一心さんは、その後ろにいつの間にか待機していた恐らくD &Dの人たちに指示してた。
何が始まるんだろ?
「報道規制とかされてるわね、ネットの方も外部から、特にこの土地から接続できない忌々しいい、これも、『報道しない自由』なのかしらね?」
って此花の椿さんの方に言われる。
「どうする椿、魔法でジャックする?」
と牡丹さんが尋ねると、椿さんは、
「ねえ、狂王、じゃなかった魔王、その剣で、私達の魔法スキルとネットとかリンクできないかしら? 一次情報をオンタイムで流したいのSNSとか使うの」
「完了しました」
早、アキシオンさん、早!
「もうリンクできてるみたい」
「すごいのね、今度貸してよその剣」
って言いながら、此花姉妹は、会場の設置に向かう。
いつの間にか、緊急記者会見とか言う大きな看板が置かれて、その前に長机とパイプ椅子が並べられる、なんかこの辺のオフィスビルの人達も協力してくれてるなあ、って思って見てたら、
「秋先輩、会場設置完了です、着席しましょう」
って雪華さんが来て、
「私も一緒に行くから」
って葉山も来てくれた。
いや、本当に何が始まるの?
「簡単にまとめてきましたので、このメモを元に言葉にしてください」
って紙を渡される。
「お屋形様、全域の守りはお任せ下さい」
スッと背後に現れる蒼さんは、再び消えた。
いや、マジで、なにが始まるの?
「記者会見のようですね、先程の先行した宣誓を国内を中心に、場所と人員を使って行うようです、効果的ですね」
とアキシオンさんが教えてくれた。
なるほどね、そうなんだ。