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第85話【町の宿命に揺れる多紫町女子達】

 それにしても、アキシオンさんってマジ有能。これって、もしかしたら、最初からこの事件を無かった事のようにもできたんじゃないかな? って思える。


 すると、


 「一度、時間の流れは安定させる必要があります、今見えているだけの材料でオーナーの意思を尊重して、先を作ろうとすると未来は確実性が失われ不安定になります、できない事はありませんが、リスクが高く、こうして事後処理をした方が、確実で安全です」


 と言う話らしい、そしてそれに付け加えて、


 「さらに付け加えるなら、そんな事したら、オーナーに褒められてしまうではありませんか」


 と、顔とかないけど、表情とかわかんないけど、恥ずか気に言ってるのはなんとなくわかる気がした。


 「オーナー、今の温い湯に、差し込むように混ざる事なく注がれる冷水のような感情、ありがとうございます」


 そんな風に思ってないから、ちょっと引いたけど、助かったって思ってるから。


 じゃあ全部終わりでいいんだね。


 みんな軍隊さんたちも撤収してしまってるし、残ってるのは報道関係の人達だけだね。


 「お屋形様……」


 蒼さんが、不安げに僕の顔を覗いて来るから、


 「もう大丈夫、全部終わったよ」


 と言うと、しばらくは深く考え込んで、それでもそんな僕を信じてくれるのか、微笑んでいた。本気で安心したって顔してた。


 そして、


 「紺さん、藍さん、二肩さんは無実だよ」


 と言ったら、僕の後ろからスッと二人は姿を現した。


 「だから、そう言う事しなくていいよ、彼女、関係なんいんだ」


 彼女達の存在に、僕は今の今まで気がつかないでいたんだ、でもアキシオンさんが、


 「オーナー、いのちだいじに、ですよね?」


 って事で、裏切り者である二肩さんを討つ為に音もなく接近して来た彼女達の存在を前もって教えてくれてた。こう言うの本当に助かる。


 だって、僕だけなら、今のこの現状としてさ、二肩さんと蒼さんの事でいっぱいいっぱいだから、攻撃されるまで気がつかなくて、で、紺さんと藍さんくらい気配を消せてたら、以前の蒼さんとやりあった時みたいな凄惨なことになりかねないから。


 そしたらさ、紺さんが、


 「そんな事しないっす、お屋形様、二肩と、千草と話したいんですけどいいですか?」


 って言うから、いやそう言うのは止めなし、僕にそんな権限があるとも思えないけど、この人達ってそう言う事気にするから、この場合は、


 「いいよ」


 って許可を出す。偉そうに言ってるわけじゃないんだよ、こっちの方が早いから。


 すると、紺さんは、


 「どうして、相談してくれなかったす?」


 って詰め寄ってた。


 粛清とか、罰をとか、そんなふうもなく、普通にやらかした友人を責めるくらいの勢いで、二肩さんに詰め寄ってた。


 そんな紺さんに、


 「紺、待て、この事は一度、多紫の町に持ち帰ってだな」


 「蒼様は黙っててください!」


 びっくりした。


 だって、この人達、多紫の人達と言うか秋の木葉の上下関係って絶対なものって思ってたから、わかりやすく上位の蒼さんに食ってかかるなんて初めてみたよ。


 で、その蒼さんとは言うと、怒るとか、悔しがるではなくて、シュンとしてしまってるから、何がどうなっているのかわからない。


 そんな紺さんを制するのは、意外にも二肩さんだった。


 「紺、ダメよ、そんな言い方」


 と、窘めるように言って、紺さんの言動に対して頭を下げる。


 でも、紺さん、その姿にも怒りを覚えるようで、再び、


 「そりゃあ、蒼様はいいですよ、今も、これからも、お屋形様に頼めば大抵の事はなん

でもしてもらえますから、でも私たちは、普通の、強いとは言っても常識の範囲内です、だから、町に縛られるんです、何も変えられないんです!」


 そう、一気に言った。びっくりしたのは僕も巻き込まれてた事。


 「一人っ子ですよ、みんないい人ですよ、いつもご飯出してくれて、そんな人から子供取り上げて、こっちに引き込んでしまうなんて、もう諦めるしかないじゃないですか、何をどうしろって言うんですか!」


 紺さんぼろぼろ泣き出す。


 その後ろでは藍さんがオタオタしてる。


 そしたら、


 「私達、多紫の女は情が深いんですよ、生涯一度だけかもしれない恋ですから、たくさん考えてしまうんです」


 って三爪さんが来ていてそんな事を言った。


 怒られても、怒鳴られても泣いてる紺さんとか、心配してる蒼さんだけど、いつの間にか来ていた水島くんがちゃんと寄り添ってて、安心した。だから、僕の側で二肩さんの命乞いをする会長さんには、「大丈夫です、何もしないから、二肩さんと一緒にいてあげて」


 と僕は言った、僕、彼女のお母さん知ってるんだ。だからかな、今回が初めて会うんだけどどこか知り合いって感じがするんだ。


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