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第98話【前へ】

 角田さんはニヤリと笑って言うんだ。


 その笑顔っていうか、余裕がさ、どうにも僕には強がりにはみえないんだよね。


 「一応、倒せないまでも足止めはしようと思います。さすがに外に出ようとしているエルダー級ラミアは放置できませんからね」


 って言いながら、自分の身なりを確認してる。金属のバットとか見てる。


 そんな姿を見ながら、僕は、この角田さんって人は、やっぱり相当に強いダンジョンウォーカーなんだな、って確信するよ。まったく動じてないもの。


 そんな角田さんは、僕に向かって、


 「相手と場所がわかった以上、移動の手段として、シリカは必要になりますから、このまま連れて行きます、戦闘領域から離したところでシリカを下からと、新なギルド増援の連中と合流させます、それまでの時間稼ぎくらいはやろうと考えてますよす」


 うわ、カッコいいなあ、角田さん。なら僕も言うよ。


 「じゃあ、僕も行くよ」


 角田さんは、一瞬、考え込んで、


 「いやあ、秋さん今回は来ない方がいいですよ」


 と言う。


 僕はそれなりに自信というか確信はあるんだよ。多分、そろそろ大丈夫、僕はこのダンジョンに最適化してるって思う、剣も持ってるしさ、それに、真希さんとかと同様、角田さんも只者じゃあないから大丈夫じゃないかな?


 本当は、もうちょっと、きっかけというか状況があればよかったなあ、って思うけど、相手がモンスターなら遠慮はいらないと思うし、最悪、このダンジョンなら死んでも生き返るしね。


 それでも多分、今の僕とは、全然レベルが違うって言う確信はある。


 その確信は僕に言うんだ。


 それでも、僕がいた方が有利に戦えるんだって、僕の中から、いや、この剣を握る手からかな? 


 それはもう、予感なんてものではなく確信になってる。


 ちがうな、僕はこんな状況を心のどこかで待っていたんじゃないのか?


 いいや、それを考えるのは、いいや。今はいい。必要ない。


 教えてくれる。必要不必要ではなくて、多分、不可欠って言う形が僕らにはある。って気がする。そして、この窮地は僕にとっては、チャンスでもある事を僕は自覚してる。間違ったら死んじゃうけどね。


 「死ぬの、痛いですよ、秋さん」


 ほらね、もう角田さんも、断ったりしない。


 やっぱり、この状況は僕の状況でもあるんだよ。


 で、僕もさ、一応は言っておく。


 「春夏さん、僕は角田さんと行くから、帰った方がいいよ」


 「秋くんが行くなら私も行く」


 間髪入れずにそんな答えが返ってくる。


 まあ、そうだよね、そう言うよね。春夏さんは怖がる様子もなく、至極当然って顔をしている。さすがだよね。


 僕らみんなの意思は前へ進むことを決めたんだ。


 ひとまず、急ごう、地下5階『鏡界の海』。


 「そうですか、皆さんの決意はコッチコチんなんですね、硬くて重くてですか?」


 シリカさんはみんなの顔を見て、決心は固いって事を確認してたみたいだ。


 「なるほど、わかりました。では、私は、心の底辺から『いってらっしゃい』をここに宣言します」


 「いや、あなたは行かないとだめですよ」


 普通に突っ込んでしまう僕だった。


 「無理です、ラミア無理、私、ただちに死にます」


 なんかシリカさん、涙目だ。


 そうならない為に僕らが行くって言っているのに、なんかもう台無しだよ。


 「じゃあ、今度こそ出発しましょう」


 と言って、角田さんはシリカさんを小脇い抱えて歩き出す。すごいな、完全に彼女の扱いに慣れている。有無を言わせない行動だ。


 「やめなさい、角田、私はお荷物ですよ、完全にお荷物なんですからね」


 って言っておきながらシリカさん、


 「そこの階段を降りなさい」


 って抱えられながらノートを見ながら指示を出すのはさすがマッパーだなって感心した。 


 「いや、もう敵も場所もわかってるから、お前意味ないだろ」


 って情けのない言葉に、


 「おー」


 って納得しているのかしていないのかどっちかわからないシリカさんだった。


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