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第69話【宣戦布告】

 今度は右手。


 じゃ、左手。


 そんな風に思いながら僕はアキシオンさんを出したり消したりしていた。


 やっぱり面白いね、この機能。とても便利だし。


 アキシオンさんに言わせると、決して出たり消えたりしているのではなく、存在の確率と不成立を同時に顕現させている状態なんだって。僕がそこにある事を望むからそこに在るって言ってた、もうすでにこの状況はら時間も空間も関係なんだそうだ、なぜならアキシオンさんは、どこでもいつでも在るからなんだって。何言ってるか分からないけどそうらしい。


 そんな風に楽しんでると、


 「では、オーナー宣言いたしましょう」


 とアキシオンさんに言われる。


 その提案に対して、僕は内容が全く分からなくて、


 「え? 何を?」


 って言っちゃうと、


 「今の状態をです」


 現状ね、現状……。


 「白馬さんに勝ったって事?」


 「はい、これでこの北海道ダンジョンの所有者はオーナー、あなたです」


 まあ、目的がそうだからいいんだけど、なんで今更になる。


 「ここに現在、派遣されている部隊の国家、もしくは企業体はみな営利目的でこのダンジョンを手中に収めようとしています、その動きに対する牽制と、ここに宣言することにより、彼らはこのダンジョンの確保を諦めます、つまり結果、軍は撤退します」


 ああ、なるほどね。そう言うことか。


 でも、こんな札幌の中心地を買えるほとお金持ってないよ。


 と言う問いには、


 「何も土地を買うのではありません、ここにある北海道ダンジョンという施設は現在のところまで誰のものではありませんので、オーナーのものにしましょう」


 それでダンジョンの平和が戻るんなら御の字なんだけど、ちょっと簡単すぎなかな?


 ちょっと疑ってかかる僕なんだけど、アクシオンさんは構わずどんどん行く。


 「では、ここに宣言を、各国の首脳、この派遣部隊の統裁部にメールを送ります」


 「え? そんな事できるの?」


 「可能です、許可いただけますか?」


 考える事ないよね、いいよね。これでダンジョンい平和が訪れるのなら、ここは任せていいと思う。


 「うん、頼むよ」


 って言って、2分後、僕個人に向かって一斉射撃が来た。


 戦車とかもあったんだね、徹甲弾とか飛んで来たからびっくりした。と言うか、なんか赤外線見たいのが一斉に僕に照射されてたから嫌な予感はしたんだよ。


 あ、今、榴弾来た。ビルとか超えてきた。あ、弾けて金属片を撒き散らし始めた。


 白馬さんやばいかもって、思ったら、いつの間にか三爪さんがダンジョンの入り口に引きずって運んでた。あ、雪華さんに治療頼むの忘れてた。


 見た目ほどの出血でもないんだけど、やっぱり早めに治した方がいいなあ。


 って思うんだけど、今声かけても、銃声やら戦車砲やら、ミサイルやらの音で全然聞こえないよなあ、って、みんな平気だね。爆破も流れ弾もビュンビュン行き交ってるのに

報道の人も、その他のダンジョンウォーカーの人たちも被害にはあってないみたいんだね。


 「守ってくれてるの?」


 って聞いたら、


 「ダンジョンです、私ではありません」 


 って言ってた。ああ、そうか春夏さんか、って思ったらちょっと安心してしまった。


 と言うか、みんな酷くない? なんか急に攻撃して来たよ、しかも波状攻撃だよ。止む事なく攻撃だよ。


 一応訪ねてみるんだけど、


 「なんてメール送ったの?」


 「はい、このダンジョンに手を出したら容赦しないぞ、具体的には2分以内の撤退の指示と警告を与えました」


 ん? それって宣戦布告とか言わなくないかな?


 どっちかって言うと?


 「はい、オーナーが察する様に宣戦布告です」


 「いや、ダメじゃん、もっと平和的に解決だよ」


 と言った、そう、戦いは何も生み出さないんだよ、確か、誰かそう言ってた。


 「ですが、今までの経緯では、攻撃に対応したのちに、壊滅させてからの話合いがスムーズでしたので、今回もそれと同じ様に致しました」


 えー、つまりだよ、ここに来てる軍隊を全部倒してから話をするって事。


 ……………………確かに。


 「問題ありませんよね?」


 「だね」


 この砲撃の中、アキシオンさんとはすんなり会話できるから、便利でいいや。


 「今、すごい攻撃来てるけど、全く僕には当たってないけど、どうなってるの?」


 って尋ねると、


 「存在としての相対値をずらしています、あちらからの攻撃は全て素通りします」


 あ、本当だ、だから4丁目ゲートがボロボロになってる。と言っても正面だけ、それ以外は平気みたい、春夏さんが守ってるのかもね。


 「じゃあ、こっちから出る?」


 「その判断は任せます」


 「物は斬っても人は斬らない様にしたいんだけど?」


 だってさ、いくら国連や国に命じられているとは言え、こんな馬鹿らしい戦いで命を落とさせるのは申し訳ないよ、それに、一般の人のダンジョン外での蘇生の話も聞いた事ないし、面倒なことは避けるべきだよね。


 「具体的にはどの様にしますか?」


 って聞かれたから、どうしようかな、って思って、細々と説明するのもなんだし、


 「『いのちだいじに』だよ」


 って言っておいた。包括的にこれで大体間に合うはず。


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