第68話【最強、最高、最便利アキシオン!!】
大柴ラボでの奪われた3種のアキシオン、全部は計画で予定通りデイ、今までのことは、全部、僕を追い詰めるための段取りであって、ここへ導く為の手段だったんだ。
ちょっと、ゾッとした。でもその対象である彼女は、至って普通の顔をして、
「で、どう、アキシオンは、どんな感じなの?」
って聞いて来るから、一応は言葉を選んで、
「Mっぽい子だった」
って言ったら、
「へ?」
って、全く想像もしていない言葉だったみたいで、雪灯さんのこんな間抜けな声を初めて聞いた気がした。
「母さん!」
と突然現れた雪灯さんを娘の雪華さんが回収してゆく。
そして、
「おい、真壁!」
って白馬さんも少々パニクってる。
「あ、ごめん、続きだね」
って聞くと、
「今、お前は斬られたよな?」
「うん、斬られた」
これ、斬った本人と斬られた本人同士の会話、なんか間抜け。
「なぜ何も無い?」
「そう言うことにしたみたい」
そして、二人して、その会話の後に
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になる。
「剣はどうした?」
僕は、その手の中にスッと剣を出す。
「手品か?」
「違うよ、こう言う仕様になったんだ」
いいんだよね? 間違ってないよね?
そして、今度はこっちから、
「ねえ、白馬さん、もうやめない?」
率直に、素直に言った。だって、僕はこの後に及んで白馬さんを傷つけたくはなかったんだ。
「なんだ、真壁、まるで自分が負ける要素など無いみたいな言い方だな」
って言う、その顔、どこか嬉しそうに言うんだよ。いつもの白馬さんだなあ、って思った。
「うん、そうなんだ、もうこうなっては白馬さんが僕に勝てる筈もないんだ」
なんか、とってもイキがった言い方になるけど、決してそれは白馬さんを侮辱しているつもりも無い、それはちゃんと白馬さんに伝わってるみたいで、
「かもしれん」
って言うんだよ。
「しかし、だからと言って、この戦いを止めるつもりはない」
この時、自分の信念に対しての白馬さんの本音を聞いた気がした。
だから、
「わかった、じゃあ、動かなくなってもらうよ」
と言う。
「また、せーので行くか?」
って言うんだけど、
「白馬さんのタイミングでいいよ」
って言ったら、その瞬間来た、やっぱ凄いなあ、白馬さん相手を確実に倒すタイミングとしてはバッチリだよ。こっちは何も準備できてない。
時間はいつも通りでいい。折角だから剣を持たないバージョンでやってみる。
白馬さんは僕の技術をそのまま、マテリアルソードを振り下ろして来る。
前なら、上からの攻撃に受けるだけが精一杯だった。でも、受けて同時に、僕の攻撃のイメージが5個、いつもなら一番いいのが出る筈なんだけど、今回は全部でる。同時に出る。
最初から勝敗なんて見えてた、僕のことをわかってない白馬さんが最初の一撃を無効化出来たら、そこで白馬さんは詰みになるのわかってる。
確かに白馬さんは僕の技術を持ってる。
でも同じ技術を5個には対応できない。
受けると同時に僕の刃は、白馬さんの四肢の筋組織を分断して、そこに伝達する力すらも斬られてしまった白馬さんは倒れて行く。
筋肉だけを斬ることも出来たけど、わかりやすく皮膚から行かせてもらった。出血が多く見えるけど太い血管は避けたから、これなら負けも認めやすいよね、きっともう動けないけど。
凄いなあ、って思うのは、結構な痛みを伴うのに一言も悲鳴を上げないでいる事、でも、今、腕足血まみれで、彼の体に何が起こっているかってのは、その表情を見ると位置も瞭然だよ。
雪華さんもいるし、すぐに治療してもらえばいいよ、って思う僕に白馬さんは、
「どうなっている? お前、剣を失った筈だよな?」
と苦痛に塗れる顔で、疑問をぶつけてきたから、
「いや、違うんだよ、多分、僕の剣なくなっていないんだよ、拡散しているらしいんだ」
その時、僕の耳の奥で、さっきまだ話してた女の子を模した彼女の笑い声が聞こえた。
「どう言う事だ?」
「多分だけど、この世界全体が僕の剣になった、みたいな?」
すると、白馬さんは大声で笑って、
「なんだそれは」
と言うから、僕も多分、白馬さんと同じ気持ちだよって思ったけど言わなかった。
だって、長くなりそうだから、あの子の言うこと、難しくてわからないんだもの、本当に説明するならもっと簡潔にわかりやすくしてもらいたいよ、って思ったら、
僕は、僕を包括するこの世界と空気と温度の中で、その全てを得る事が出来る感覚で、確実に彼女が喜んでいるって理解出来る。
なるほどね、姿は見えないけど、常に側にはいるみたいだって、改めて感じた僕だったよ。
でも、何で女の子だったんだろ?