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第67話【世界全部が僕の剣】

 だめだ、この剣、性能はともかく性格は本当にいろんな意味でダメだ。


 「やはり、あなた以外に私のオーナーはいない様です」


 ちょっとどこ押しでそう言われてるかわからないけど、認められてよかったよ。もちろん、今更、認められなくても手放すつもりも無いけどね。


 「それもいいですね」


 とか言ってる。いいよもう、先に進んでよ。


 「ご安心ください、私は片時もオーナーの側を離れることはありません、だから、オーナーが剣を、私を失う事もありません、私はあるべく姿に戻って、この世界の2割を構成する仮想素粒子、暗黒物質に戻り拡散します、そしてそれにより全てを操作します」


 そして、彼女は言う。そして、あまり大きくもない声で、続けて言った。


 「私が支配できないのは、この北海道ダンジョンを由来するもの、そして、この次元とは異なる世界のものです、しかし、もう既にオーナーは、このダンジョンの力を余す事なく受けているようですね」


 そんな事言われて、僕はちょっとだけ、春夏さんが僕に寄り添ってる感じがしてさ、嬉しくて、でも悲しくなった。


 「私は二番目と言う事ですね」


 とか言い出すアキシオンな彼女。


 いいや、一番とか二番とかないし、それに君がいないとダンジョン守れない。


 「ああ、いいですね、都合のいい女扱い、最高です、でも離れられない、みたいな!」


 なんかだんだんめんどくさくなって来た。


 「では、ここから、全ての時間、空間にオーナーがいる限り、私は存在すると言うことになります」


 すると、手の中に剣が、いつもの剣が出現する。で、すぐに消える、あ、また出る。で、また消えた、あ消えそうになっていや出っ放しになる、でまた消えて、今度は逆の手にでた。


 僕は、思ったんだ。


 これって、


 すごい便利じゃん。


 もうトイレとかお風呂に忘れたりしないじゃないか、あと市電の中にとか。

 いいね、この機能。


 「では、オーナー、永遠の誓いを、その対価を求めます」


 とか言われる。


 つまり、この能力、この莫大な力を享受する為には代償が必要だって事らしい。


 いいや、なんでも持って行ってよ、命とかはダメだけど、将来的に魂とか言われても一考の価値ありかなあ、って思ったら、


 「つねい傍に置いてください」


 そんなあっけない簡単な願いに僕は、


 「そんな事でいいの?」


 「はい」


 と言ってから。


 「時には侮蔑はほしいです、軽蔑は常にお願いします」


 と言った。


 いや、難しいだろ、この性能を罵るなんて、本当になんでもできそうだし。


 「人は理不尽なものです、自分自身が何もできなくとも、他者を罵る能力に長けています、だから何度か練習して理想的なオーナーになるよう努めてください」


 無理だと思うけど、


 「わかった、頑張ってみるよ」


 と返事だけはいい僕だった。


 「では、この空間を解除します、そして、現在、胸部から腰にかけて斬り裂かれている現実を廃棄、時間経過はそのままに、切り取った事象だけを2秒前に軸をずらします」


 ああ、そっか、僕、完全に斬られてたんだね、まあ、いきなり受けようとしてたこの剣が消えてしまうんだから仕方ないよね。で、その事実はなかったことにするんだ。


 まあダンジョンだから生き返るからいいんだけどね。


 そんなことを考えていたら、


 「オーナー、言い忘れていましたが、唯一、あなたが失ったものがあります」


 と言うから、


 「何?」


 って聞くと、


 「敗北です」


 え?


 って思う前に、


 「では、これより開放型として拡散します、最後に確信させてください」


 いいよ、ダンジョン守れるならなんでもしてあげる。


 そんな覚悟の僕に、彼女は言った。


 「責任とってくださいね」


 え? なんの?


 って聞く前に、僕は元いた位置に戻った。目の前には確実に僕を斬った事を確信している白馬さんは、元の状態に戻されていた。


 あの場所、白馬さんの刃が今、振り下ろされてる瞬間だった。


 あれ? ちょっと動きが違うなあ、遅いっと言うか、僕と白馬さん動きがおかしい。


 今さ、僕の体にあたりかけてる白馬さんの剣がさ、ゆっくりと僕の体に触れてくる。


 そして、今、僕の手に剣はなかった。


 だけど、なんだろう、剣が無いって感覚がないんだ。


 手ぶらなんだけど、僕、いつもみたいにあの剣を持っているイメージがあるんだ。


 だから、そのまま白馬さんの剣を弾いてしまえ、って思うと、今度は体が動いてさ、いや動いてないな、でも僕は白馬さんの刃をはじき返した。


 時間の流れが戻る。


 驚いてる白馬さん。


 そして僕の手には剣は無い。


 すると、後ろというか急に叫び声が聞こえた。


 振り向いたら、雪華さんおお母さん、だから雪灯さんがいた。


 凄い興奮してる顔。


 「今、秋先輩斬られて、そして、同じ場面が二度続いたわね?」


 って僕に言ってから、今度は振り向いて、雪華さんに、


 「雪華も見ていたでしょう? 秋先輩は、確かに、こっちのお兄さんに斬られてたわよね? みんなも見たでしょ?」


 そう言ってから、今度は、


 「君も斬ったでしょ? その事実は通って来たわね?」


 って聞いてた。


 そして、僕にすがりつくように迫って来る、近い、顔近い雪灯さん。


 「できたの?」


 っていうから、


 「アキシオンは、開放って言ってたけど……」


 そう言うと、多分、この人、それが確認したかったんだなって思って、剣では無い、このアキシオンを研究開発してたんだ。


 つまり、雪灯さんは結果を、研究の結論をここで得たんだ。


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