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第66話【アキシオンは開放する】

 ポリゴンなんで表情はわかりにくいけど、きっと彼女クスクス笑って、


 「私を発見し、利用していたものたちによる防護措置は施していた様ですが、こんな物で、この私を封じられる筈ないですよね、人の思考は結局のところが僅かな質量によって支配されています、こちらの世界を作る『水』程度を溶媒としての存在から生み出される程度では、私は縛ることはできません」


 とか言う。


 彼女の言うことっていちいち難しくてわからないけど、なんとなく、言いたいことはかるから、つまりどうすることもできなかったと言うわけだね。


 「ともかく、僕、ダンジョンを渡すわけにはいかないから、今は僕よりも有利な状態になっている白馬さんに勝たないといけないんだよ」


 と、僕の方の都合も説明しておく。


 そんな僕に向かって、なんとも言い難いって顔して、いや表情は変わらないんだけど伝わって来るんだかけど、ああ、なんか僕、この子だから、剣の考えてる事がわかる様になって来てるぞ。


 ガッカリしてるっぽい。


 「オーナー、あなたは一体何を言っているのですか?」


 よかった言語化してくれる。これで会話になるね。


 「いや、だから、あの人に勝ちたいって言うか譲れないって言うか」


 「勝敗を、つまりは勝者を演じたいのですか?」


 んー、ごめん言っている意味がわからない。


 「概念として、もうオーナーは私を所持している以上、勝つとか負けるとか、その様な立場にはいません、ただ、その力を示す為にその様な演出が必要ならその様に致します」


 いやいや、だから今戦ってる真っ最中なんだって。


 そう言おうとすると、


 「この世界は全て、オーナー、あなたのものなんですよ、つまり、自分が自在できる世界において、そこにオーナーを対象にして勝敗などありません、私はこの世界、人類が未だ到達すらしていない全宇宙の22%です、そしてそれを利用して、全ての物質を事象を操作が可能です」


 つまり、一体、どういこと?


 「好きにして、って事です」


 ああ、わかりやすい。


 「じゃあ、つまり君はもう、あのフランベルジュっぽいマテリアルソードも問題ないって事なんだね?」


 「白馬、葉山両名のの持つアキシオンは意識の確立、オーナーとの相互理解により既に私の一部です、従属関係になります」


 と言ってから、


 「回収しますか?」


 って聞いて来るから、


 「いいよ、ってかダメ、あれはあの二人に持たせておいて」


 と言ってしまう。


 「現状、所有権をオーナーに、専用権を、それぞれの人物と決定しいます」


 なんだろう? 大家さんと店子さんみたいな関係でいいのかな? 僕の事オーナーって言ってるし。


 「現状のままです」


 って言い直してくれるから、


 うん、そうそう、それでいいよ。


 「では、オーナー、アキシオンはこれより密閉型より開放型へ移行します」


 え? 剣が開くって事???


 まさか変形???


 「いえ、あるべきところにあるべき姿に戻ると言う事です」


 「ごめん、もっと分かりやすく言って欲しい」


 「オーナー、この場合その意思を強く伝える為にも『お前の言ってる事、全然わかんねーよ!』が的確な語彙かと、もちろん侮蔑な感情とともに吐き捨てる様にです」


 いや、それ僕の性格に無いから、変な期待をしないで欲しい。


 って言葉を優しく、わかりやすく言おうとすると、


 「ああ、その、蔑んだ目、ありがとうございます」


 いや、引いたけど、蔑んで無いから、そんな性能、僕には無いから。


 ひとしきり満足した彼女は、


 「私は剣の姿を解かれます」


 その言葉に、僕、反射的に、


 「え? 剣がなくなってしまうって事??」


 本当に脊髄反射的に、そう思ってしまう。嫌だよ、僕、この剣以上に上手くやれる自信なんて無い。これを手放すなんて考えられない。


 焦りと言うか、ああ、これ不安だね。そんなものが僕の心を満たして来る。本当にいっぱいいっぱいになる。


 すると、アキシオンな彼女は、激しく振動する。


 なに? もう開放とか始まってる?


 すると彼女は言うんだ。


 「それは、『結局、あの人はどんな事言ったって私から離れられないの、怒鳴られても打たれても、それを受け入れられる私の所に帰って来るのよ』的な……」


 喜びに打ち震えていたみたいだね。すごい振動だったからびっくりしたよ。本当にこのまま弾けてしまうかと思ったよ、ある意味弾けているみたいだけど。

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