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第64話【アキシオン目覚める】

 一瞬、意識の疎通を図る為なら別に剣のままでもよかったんじゃあ、って思って、慌てて口を閉ざす。


 あっぶない、これ、きっと相手の努力を否定する一言だったよ。ダメだね考えて口にしないと。


 だから、


 「そっかー、助かるよ、うん、そうだね、そっちの方がいい」


 と言うと、


 「オーナーの意識と今の言葉が若干、不合しますが、どちらを優勢すればいいのですか?」


 とか聞いてくるから、


 「今の言葉に決まってるじゃん」


 と、ここは堂々と言っておいたよ。これ以降余計な事を考えない様にしようと思う。僕の場合、混ざった部分がなくなって、頭が良くなったって、そう捉えていたんだけど、実際はさ、感じるのが、余計な事を考えてしまうことが多くなったんだよ。


 だから、今まで多めに見てくれた人とかあんまり見逃してくれなくなって、言葉の端々を攻められるよになったよ。特に葉山とか葉山とか葉山とか。


 で、今の状態なんだけど、これって……?


 一応、周りをみわ達すんだけど、なんか四角四面の空間で、


 「ここはどこなの?」


 って聞いてみると、


 「オーナーの部屋を再現して見ました」


 って言うんだけど、


 どこか? って一瞬言いかけて、ああ、なるほどね、この台座になってるのよくみるとベッドだね、それにブロック小さいやつみたいなのは枕かあ……、で、そこから出てる、幾何学模様の一種かなって思ったはみ出してるベッドと同じ質感の中で描かれたのは、昨日の夜、読みかけた雑誌だね、はみ出てるって事は、また妹が勝手に入って物色したのだろうか?


 きちんと再現されてる。


 ゴミ箱らしい立方体の横に散らばるヒトデみたいのは、きっとゴミ箱に投擲して外れた紙ゴミだね、きっと鼻かんだ後の奴。踏めば怪我しそうだけど、大丈夫理解できた、

ここ僕の部屋だ。


 一応は気を使ってくれてるみたい。要は自分の部屋だからリラックスしろって、そう言う事だよね。


 だから僕はそのポリゴン少女の前で、四面なベッドに腰を下ろした。


 少女が近づいて来て僕を見下ろす形になる。


 一応、まだ疑問はある。その姿は? って聞きたいけど、今、ちょっと忙しいので、その件は後回しにしようと思う。


 「さっきの話だけど、『血』の事、あれはどう言う意味?」


 たぶん、この状態の核心を話してくれているのだろうと思うので、こっちから聞いてみる。


 「いいですか、オーナー、この世界のあらゆるものは『有る』と『無い』に分類されます」


 うーん、わかる様なわからない様な、でもいいや続けて。


 「つまりそれは血液における、有用な組織、血球と、それを搬送し躍動させる溶媒である血漿に別れます」


 そんな話を聞きながら、最近、学校行ってないなあ、なんて余計な事を考えてしまう。


 でも、まあ、だいたいわかるよ、このくらいは一般知識の範囲内だよね。


 つまり指先切ったら血が出て痛いって事なんでしょ?


 そんな思いを胸に、彼女を見上げると、


 「私は『無い』側です」


 と言う。


 いや、あるじゃん。


 「確たる存在ではありません、正確に説明するなら、未だ観察されない対象です」


 ああ、そっか、見えないって事だね、それならわかる。


 「しかし、在ると仮定しないと、論理的にはこの世界が成り立ちませんので、未だ観察されず、あくまで仮定の物質として、その名を知られています」


 僕はその説明の中で、いつかの多紫町であの青き鬼、微水様の言葉を思い出してしていたんだ。


 「ダークマターって事?」


 「正確には『アキシオン』が私を表す一番適した名称です」


 つまりはその一部というか、そういうものらしい。


 「世界の物質は全て私の中にあって、その2割が私そのものです」


 途中までなんとなく飲み込んで来たけど、最後の方が意味がわからない。


 「どういう事?」


 「つまり私は剣ではありません」


 「え?」


 思わず大きな声出ちゃった。いや、何を行っているのさ? 剣だよ、剣そのものじゃ無い。 


 「この形に密閉されて、質量を持たされ、酷使されて来ました」


 と言う。


 確かにそうだね、僕は、この剣をもらってから、一応は借受けるって形から譲渡って形になって来たわけだけど、この剣のことについて考える様になったのは最近の事で、それまでは何も考えずに、このアキシオンの気持ちなんて考えずに酷使はして来たかもしれない。

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