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第62話【消えた僕のマテリアルソード】

 でも、白馬さん、ちゃんと話したんだな、その上て、この剣を渡したみたいに彼に追従している人も、同じ自衛官もいるんだなって思うと結構な人望もあるじゃんって思った。


 だから良いじゃんとはいいたけど、それとフラれるのはちょっと別問題だから、


 「そりゃあ……」


 と残念な言葉をかけようとすると、


 「良いさ、気にしないでくれ」


 先にその言葉を切ってくれた。そしてさらに、


 「すまんな、気を使わせた」


 ほんとだよ、そんな事言われると、こっちもやりにくくなっちゃうよ。


 気まずい空気が流れる、僕と白馬さん。何ともやり切れない空気の中で。


 「良いんだ、気にしないでくれ、自分は今、お前のダンジョンを奪う為にここにいるから遠慮はいらないんだぞ」


 ってところまで配慮してくれるんだ。

 

 この白馬さん、良い人だよ。とても仲間思いで、優しくて。


 「本気なの?」


 と再度問う僕に、


 「ああ……」


 と言う。


 マジかあ……、と僕は思った。


 「世界征服ってなると悪の秘密結社の首領とか、魔王とかにってしまうけど」


 「その呼び方はどうなんだろうな? いや、そこまで考えてなかった」


 と白馬さんの答えに、僕は考えてしまうんだよ。


 いやだって、こう言うことって、真面目な人ほど拗らすよね。僕みたいに、どっか適当の思ったり、考えたりできれば良いのに、一点に集中して、どう考えてもそこは奈落だよね、ヘルな感じに一直線なのに。もう進み出したら、脇目も降らず一直線なんだよ。


 そんな僕の複雑な気持ちなんて気にもしない様に、


 「じゃあやるか、真壁」


 って言い出す。


 まあ、そうだね、僕、ダンジョン渡すつもりもないからそうなるね。


 すると白馬さん。


 「一撃で行かないか?」


 って言い出す。


 「俺はこの後、ここに集まってる多国籍軍を蹴散らさないとならない、早く終われせた方がお互いの為だと思わないか?」


 その申し出は、確かにその通りだと思った。


 今、白馬さんが僕の技術をそのまま持っているのだから、どんなに長く戦っても、どれほどの時間を費やしても、結局は白馬さんの言うう通りの形になる。


 どんな形かって言うと、お互いのレンジに入って、思いっ切り打ち合う。


 接点は多少真ん中からずれるとは思う。武器の長さが違うからね、でもその接する所に一番、力が入ることになるから、結局は一緒なんだ。


 「ダメです! そんな事言ったら、ますます秋先輩が不利じゃないですか! 武器の優位性において、白馬隊員の振るうマテリアルソードには勝てないんですよ!」


 って言ってくるけど、


 「黙りなさい、雪華! そうね、白馬くん、その通りね、良いわ、それで、アキシオン同士が誘発されるのね、うん、良いわ、最高ー! そうしましょう!」


 「母さん!」


 雪華さんの怒鳴り声は、常軌を逸して気が触れた様に騒ぐ母に向けられた声が響く。


 なんかすごいね、雪灯さん。どうしちゃったんだろ?


 ちょっと心配になるけど、まあ良いや、


 と思って、僕は白馬さんと良い感じの距離になるように近づいこうとすると、その手を掴む手が。


 見るとそれは蒼さんの手だった。


 「どうしたの?」


 「ダメです、お屋形様……」


 とか言う。


 「ダメだよ、真壁」


 と葉山も言って来る。


 「いや、大丈夫でしょ? 第一、死んでも蘇るし、ダンジョンじゃんここ」


 って言うと、


 「そうだけど!」


 って葉山がとても怒る。


 大丈夫、最悪一回死ぬだけだよ、それに、ダンジョンだからさ、ここで死んでも良いやって思うじゃん。


 そんな形にならない気持ちが、多分、葉山に悟られる。


 だからそっと手を離してくれる。


 そして、蒼さんの手も僕から離してくれる。


 そして言うんだよ、


 「何よ、春夏、春夏ってさ……」


 いや、僕そんな事、一言も思ってないけど。


 「行こう、蒼ちゃん、こんな奴、一回死ねば良いのよ!」


 「いや、でも、お屋形様が……」


 心配する蒼さんを引っ張って後ろに下がってくれる。助かるよ、葉山、死んだら頼むね、生きかえらせてね、と心の底からお願いしておく。


 さて、


 僕は、再び白馬さんと対峙する。


 恋人距離と友人距離の間くらい。


 「お別れは済んだのか?」


 なんて言って来るから、やめてよ縁起でもないって言いたくなる。


 「じゃあ、始めようか」


 と、いつの間にか僕らは公園の真ん中に立って、互いに向かい合ってる。


 手にはそれぞれのマテリアルソード。僕はロングソード型、で白馬さんはフランベルジュ、だから大剣型。お互い、の位置、どちらもレンジの中に入ってる。


 相手は僕の技術を持った、僕より体格の良い白馬さん。


 「じゃあ、せーの、で行くか?」


 と聞いて来るから、互いに、小さく息を吸って、


 「せーの!」


 で斬り合う。


 と言うか僕の剣消えた?。


 あれ?


 って思うまにズバン! って感じで斬られたよ。


 あー、僕死んだかも。

 

 

 

 

 


 

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